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閑話:4月の喧騒

連続投稿期間中二度目の更新です。


まぁゆるりとした日常回、入学式というか

チエちゃん入学後の話は前の章が終わり次第やろうと

思っていましたので、今回の話はそういう感じです

四月、私は進級して二年生となり

始業式から数日が経過したある日のこと。


「永〜華〜!」


教室の扉が開き、私と同じ制服に身を包んだチエちゃんが

私の席に突撃してくる。


…数日前に晴れてうちの高校に入学してきたチエちゃんは

昨日までは入学関連の行事等で忙しく、うちのクラスに

突撃してくることはなかったりしたのだが。


まぁ、それが終わったなら当然突撃してくるか。

新しいクラスメイトの方々もなんだかびっくりしているが…

どちらかというと私と同じ顔の人が来ているのに

驚いているように見える。


そういえば進級してもふーさんとまーさんは

一緒のクラスだった、二年生のクラスは

そのまま卒業まで同じメンバーで生活していくので

二人とは三年間一緒という事になる。


これは素直にうれしかった。

知り合い程度のクラスメイトは何人かいるが

仲の良い人たちがそのままクラスメイトでいてくれるのは

中々に安心するものだ…


「元気だねチエちゃん、そんな大荷物でどうしたの?」


「だってだってだって!入学してからしばらく

 時間はありませんでしたが…

 初めて一緒にお昼食べられるんですよ、

 テンション上がりませんか!?」


「そうだね。でもだからって

 そんなに大きいサイズなんて…」


「いえ、永華には申し訳ないですが…大体私のです!

 お腹すぐ減っちゃうので!」


「…うちにいる間はセーブしてたの?」


両手いっぱいのお弁当箱を見ながら私はそう聞いてみる。

…いや本当に大きいな、私が耐えかねて別荘へ行く

くらいまでもう少し量が少なかった気がするのだが…?


「大体寝てたので!それに腹八分目が

 いいと言いますし…でも今日は張り切っちゃいました!」


「張り切っちゃったかぁ…」

 

睡眠薬に食欲減衰の効果でもあったんだろうか?

ともかくあの量があの身体に…いや入るな間違いなく。

兄や我が愛しの姉が食べる量に若さと元気とかを

プラスすると大体あんな量になるだろうか?


「いっぱい食べるねぇ。まぁ落ち着いて食べようか…

 野木さん、ちょっと席借りてもいいー?」


私の質問に、前の席の野木さんが

少し離れた場所からオーケーサインを出す。


それを私が認識すると同時くらいに、

ふーさんとおーさんが私の席に近づいて来て

いつも通り席を囲み始める。


「やーおじゃまするよえーさん、ちーちゃんおも久しぶりだねぇ。

 元気だったー?と言っても数日ぶりくらいだけど」


「はい!お久しぶりです福音さん、入学式ぶりですね。

 私は永華がいるので元気いっぱいです!」


「僕もお久しぶりです、チェーニさん…?へ」


「永華に近寄らないでください、シャー!!」


しかし、まーさんが席に座ろうとすると

チエちゃんがちゃんが猫のように威嚇してそれを阻む。


「え、どうしたのチエちゃん…?」


どうしてだ、以前までは本当に普通の関係だったはずだが…

なぜ今になって威圧するほど嫌いに?私の知らない

何かあったのだろうか…?


「直感です、直感ですが…多分、微量だった以前より強く

 なんとなく永華を取られそうな気がしているんです…!」


「…いやそんなわけないでしょ?

 ほらまーさんもふーさんも座って一緒に食べよ?」


…私から何かそう言う気配が出てきていたのか?

それとも逆にまーさんからそう言う雰囲気が…

いやいや、そんな訳はないだろう。


「…どう思う二人とも?」


「俺は3組だぞ、お前らとは隣のクラス程度の関係だ…

 いやだが、しかし俺としてはまぁ。まぁ…は?だな」


「新たなる同士だな山下。

 今度義兄弟の杯レモンサイダーを飲み明かそうぞ…」


「ま、お前らも同じ気持ちで先達の俺も鼻が高いよ…」


「「いや、誰だよお前」」


「お前ら二人と共通の友達だわ!中学からの仲だろ俺たちは!」


…新しいクラスメイト一人と去年からのクラスメイトである

高橋君と須田君がそんな話をしているのが聞こえる。

それを聞いてチエちゃんがさらに燃え上がり、私に対して反論してくる。


「ほら、先輩方もこう言ってますよ!

 直感は正しくて、やっぱり奥間さんは私の敵です!」


「え、えぇ…?」


「…そう言って駄々こねてるとまた出禁にするよ?

 二人とも、お弁当食べよー」


困惑するまーさんを見て、流石にやり過ぎだなと思い

わたしはチエちゃんへそう警告する。


「そ、そんな!そんなに悪いことしてないですよ私!」


「少なくとも幼馴染を悪く言われて

 黙ってるほど私は薄情じゃないんだよ、ほら

 チエちゃんも黙って食べる。私と一緒に食べたいなら

 いくら警戒してる相手だとしても我慢してほしいな」


ふーさんが困惑しているし、少しではあるがクラスメイトも

巻き込んでいる…少し静かにしてほしいというのも

正しい意見だと思う。


「…ちーちゃん、それは本当に正しいかもしれないけれど。

 でも二人が認識する前に猛アピールで追い抜けばそれは

 貴方の勝ちなんだよ…だから今は黙ろう、反撃の機会を伺うんだ」


「ふーさんは前々から思ってるんだけど何を言ってるの…?」


「…確かに疑惑程度で追い詰めるのもダメかもしれません」


そう言ってチエちゃんは納得した表情で私の隣を陣取る。

あれ、そこは武田君の席じゃ…?いや武田君、笑顔になる要素は

ないと思うよ、なんでサムズアップしてるの…?


…腑に落ちない出来事が多々あるが

そのままお昼ご飯を黙々と食べて、三人で雑談して

昼休みは終わった。




…余談だが、雑談の中であまりにまーさんへの警戒が酷すぎたので

三日出禁と昼休みに一緒にご飯を食べない刑を科すことになった。


流石にまーさんが一言喋るたびに睨んだり

文句言ったりするのは問題だと思う…その刑の執行に対して

チエちゃんが絶望した表情を浮かべたのは想像に難くないだろう。

クラスメイトから見たチエちゃん

男子数名「「「あれが話題になっていた従妹…??

       年下であの体格差なのか…?」」」

    「ちちしりふとももオールパーフェクトの

     盛り加工藤野さんか…アリだな」

    「…武田、やれ(首を描き切るジェスチャー)」

    「リョウカイ、テンマサマ(弁当箱を奪い取り

     食そうとし始める)」

    「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!やめろ、男子高校生の

     食べ盛りの腹にダイレクトアタックを決めるな!!」


女子数名「普通にキレイ系で永華ちゃんとは違った魅力が」

    「ペアルックとか見たくない?個人的に似合いそうな

     服こういう感じだと思うんだけど(スマホから写真を見せる)」

    「あ゛ぁー…確かに解釈一致だわ。

     でもこっちの方が個人的には好み(同上)」

    「わ…流石わが友、理解(わか)ってるじゃん」

    「…私は激怒した。かの邪知暴虐なる友を

     除かねならぬと決意した…!」

    「元親友を合法的に殺すため

     邪知暴虐の王を利用するメロス…!?」

    「もうなんかそれだけで一つのコンテンツ

     築けそうなネタを作り出すな…今晩書く内容決まったわ

     (文芸部部員の一言)」

     

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