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ある男の記憶

今週はこれで終わり、実質次のイベント予告です。

台風等が滅茶滅茶辛いんですが早く過ぎ去ってほしい

(今日の遅れの理由の一旦がそれ)


変更になったのでしばらく新しい更新日程を記載しておきます

現在の更新日程は基本的に月、水、金の週三日更新。

第三、第四週目は土曜日も更新して週四日更新となりました。


8/7追記

体調不良の為今日は更新をお休みいたします。

夏風邪が再発しました、台風の影響です

許せねえよ台風…!雑魚ボディなのも影響してますが

場合によっては水曜日の更新もないかもしれません


『強さ』とはなんだろう、

そんな単純な疑問を持った一人の青年がいた。


青年はただの平民の生まれ、当時栄えていた国の

首都に生まれたこと以外は何も特筆するべき点は

ない一般的な人物だった。


だが、強さとは何かを考え出すと止まらず

所かまわず人にその定義を尋ねるために街の住人からは

「奴の前ではその単語を出すな」とまで言われるほどに

執念深く、熱心にその定義を追い求めていた。


一つ、誰にも負けないこと。

これは違う、青年にとって無敗とは格上と戦い続けて

なるわけではなく、格下と無限に戦い続けても

無敗と名乗るのは簡単であり…それは時間が経つにつれ

不可能となる。青年の定義では無敗は強さではなかった。


二つ、死なず老いないこと。

これも青年にとっては強さではなかった、

何故ならば長生きなんぞしては思考が凝り固まり

進歩しなくなるからだ、進歩しない技術に最強は宿らない。

当人の進歩を前提としたこれもまた強さの定義に足りえなかった。


三つ、定められた特定の基準を大きく上回る力を持つこと。

これもまた青年が考える強さの定義とは違った。

当然である、枠にはまった強さなぞ最強足りえず

その枠組みの中でも優劣がつくかもしれないし

そのような枠組みの中では時折強者を殺す弱者が現れる、

それでは強さなどとは呼べない、そう青年は思っていた。


強く追い求めるが故、青年は強さの定義には人一倍厳しかった。

そしてそんな青年の想像意欲を掻き立てる創作物は

平和だった街の中には溢れていた。


例えば竜王を倒した女性の話。

ただの村娘だった女性が妖精の力を借りて

仲間とともに成長し、竜王を倒すという

人間の成せる域を飛び越えた偉業を超えながらも

最後には人一倍の優しさに殺された。


例えば古い勇者の話。

朽ちず、死なず、衰えず。

魔を打ち破った最初の勇者の魂が宿るとされた

武具はやがて、身に着けるものの不甲斐なさに対する苛立ち、

守っていた国の腐敗への嘆きから魔に落ちて使用者の体を

乗っ取り、国を滅ぼし、かつての栄光を知る地の竜王をして

技に見る影無しと断じて半壊させられた末にいずこかへ封じられた。


例えば最強の騎士団の話。

ある国で一番強いとされる騎士団長とその部隊は

智将の手によって編み出された戦略と屈強な肉体をもって

数多くの国との戦争に勝利した。

しかしそのためか多くの恨みを買い、戦争中に拠点へ

忍び込んだ敵国のスパイに毒を盛られて全員が息絶えた。

最強であった騎士団とその国はその最強であるという驕りと油断から

敵のありきたりでくだらない策略で消滅した。


青年は数多くの物語を見た。

そして自らの強さの定義を決めるべく

自らも世界を旅した。


様々な仲間や敵と出会った。

死にかけることなぞ日常茶飯事、

ただ強さを知るという目的だけであちらこちらへ

放浪する日々…楽な道では決してなかった。


あまりに過酷なその旅を、青年は命からがら歩んでいた。

青年は平凡なれど、魔法やそれに関する技術にのみは

人一倍優秀だったが故に、段々と過酷な旅へ適応していった。


その果てに、青年は強さの定義を決定づけた。


◆◆◆◆◆◆◆


「強さとは、曖昧だ。心が強ければ、技が強ければ、

 体が強ければと例を挙げればキリがない」


その一つでも突出すれば最強と定義するものもいれば

全てが突出してこそ最強と定義する者もいる。

強さとは全てを兼ね備えるものだろう、

全てを兼ね備えなくともそのすべてを上回る究極の技術が

あればそれは違うと言うものもいる。


「そもそも定義が曖昧過ぎる。不確かなものに

 答えなど現れない」


「ならばその定義を作ろう」


「私の極めたこの技術、魔法を使ったならば可能なはずだ」


「魔導伝承を基幹として私は最強を定義する」


最強の定義を求めた青年は狂った。

いや、青年は元より狂っていたのだろう。


偶然家族で旅行に出て、

移動中に勢い付いて更に名を上げようと

していた盗賊に襲われて自らの両親と兄を殺され。


唯一残された肉親である妹は

盗賊に商品として丁重に扱われていたものの

助け出された悪名高い冒険者へ報酬代わりに連れていかれ、

数ヶ月後に路上で半ば奴隷同然の状態で売り出されていた。


何とか稼いでいた日銭と両親の遺産から費用を捻出し、

妹の身柄を買い取ったものの…

妹はたかだか数ヶ月の仕打ちで心を病み

自分を兄だと認識できない程心が擦り切れてしまっていた。


青年が強さとは何かを求めだしたのは

この頃だったかもしれない。


彼の前で強さという言葉を使うなという話も

力で全てを壊された彼を慮る意味もあったのだろう、

だがしかし青年の心はそんな気遣いすら気狂いへの嘲笑に

聞こえるほど壊れてしまっていた。


妹を連れ出して何とか以前の状態へ戻ってもらいたいと

自ら力を、手段を求めてあちらこちらへと放浪した。


両親と見た大きな湖、いつか見た奇怪な色の葉をした木が

生い茂った森…はじめの頃は反応の薄い妹も、

旅が進むにつれて活力を取り戻していった。


そして、完全に元気を取り戻したと

青年が仲間と共に涙ながらの宴会を楽しんだ翌日…

妹は寝床で自ら命を絶っていた。


正気で受け止めるには余りに酷な事実を

正しく認識してしまった結果、彼女は生を諦めてしまったのだ。


少年はさらに狂った。

仲間が止めても、離れてもなお青年は

強さ。力を追い求めて旅を続けた。


その果てに至ったのは人外魔境のその果てにある場所、

竜王にすら危険視された世界を滅ぼしえる力を持った

強大すぎる力を持った化け物を封じた禁断の場所である。


そんな場所に来て青年は大丈夫だったのか?

そんな訳はない、ただの人間である青年が

五体満足なんて訳もなく竜王の手配した腕利きの竜に

その場に元々生息していた凶悪な魔物による傷で、

瀕死と言っても差し支えないダメージを受けていた。

それでも青年は自らの為すことだけを考えて

全てを払いのけた。


「ハハハハハハァhahahhahahaッァハハハッハハハ!!!!!!!!!

 見たかゴミ溜めの竜どもが!!!この私にかなうわけがなかろうが!

 貴様らの死体も余すことなく利用してやるからな、光栄に想え!」


青年は殺した竜の死体を踏みつけ、高笑いを浮かべるが

そしてもう興味もないとばかりにすぐ表情を元に戻し、

お目当てのモノへ視線を向ける。


「ははは、私は思ったんだよ。

 魔導伝承とは他者に技術を贈与、いや押し付ける技術だ…

 押し付ける対象は人間しかできないわけではない、いや

 間違いなく人間以外にも可能だ…その上この獣に意思はないと聞く。

 ならば…はは、竜どもが攻撃してくれて手間が省けた」


青年は自らを魔導伝承とする魔法を使用する。

他社の助力なく魔導伝承を押し付けるには

死して魂になる前にやっておかなければならない。


「どうせ竜王どものどいつかは聞いているんだろう?

 強さとは何か、最強とは何かを問い続けた私が出した答え。

 単純な話だ、私が私を最強と定義して枠組みとなればいい」


考えて、考えて考えて至った狂気。

それは単純な話だ、自分が負けることがなくなれば自分が最強だ。

自分が負ける相手がいなくなれば永遠の自分が最強で、

他の最強を吸収して自らの力としていけばいずれ自らに届く

強さを持つ者はいなくなる。


「そのために、我が計画の糧となれ陽喰いの獣よ」


そうして、青年は…後に語られる偉大なる真の魔術王を名乗った男、

「ガラティ・ダンテ」は自らの命を獣に捧げた。


Qヒルデさんとかの話出て来てるし

 言ってることの年代合わなくない?

Aこういうやけっぱちの実力だけ持ってる人間は

 それなりの数いるのでそういうこと、今回の獣担当だっただけ

 シテイオウ作った奴もいるし他にもたくさんいる

 つまるところ陽喰いの獣は魔導伝承を

 複数持っている(かもしれない)


ブクマ、評価よろしくお願いします。

誤字脱字あれば報告お願いします。

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