梅雨の日の出来事②
ナンバリングを忘れてました…
前回の続きのリアル回です、
良い子のみんなはアルコールには気をつけようね。
作者との約束だよ
「で、二人ともなんで今日は私にあんなことしたの?」
「えーさんのためといいますか、ちょっとあの場で言うには
あまりに重大な惨事だったといいますか」
ふーさんの歯切れが悪い。
なんだ、何をしたんだ過去の私…?
「はっきり言ってくれた方がうれしいんだけど」
「というかえーさんなんで元気になってるの?
ほら外見てよ雨だよ?まだ梅雨だよ…?」
「ここで聞かなきゃ後悔すると思って必死に力を振り絞ってる」
窓を指差しながらはぐらかそうとするふーさんだが、
午後はつらい授業はないし…何より今聞かないと
一生はぐらかされる気がしてならない。
「…腹をくくりましょう、折れませんよ絶対。
だって藤野さんは根拠のない悪評には立ち向かいますよ?
もうはぐらかせないですよ」
「うー…でもこれは、これはちょっと…」
「記憶にない分本当になんで
そんな反応されてるの遺憾でしかないんだけど???」
間違いなく何か大きな失態をさらしたことを前提とするなら
やらかしを推測すると大本命は私がパッチテストの際に
酔って気絶したとか、ゴスロリを幻視して泡を吹いてぶっ倒れた
事の二つ、大穴は酔って暴れ散らかしたという感じだが…
「…覚悟を決めるよ、えーさん、えーさんもちょっと
もだえる準備をしてほしい」
「場所を移しませんか?僕としてもちょっと
大勢に聞かれるとまずい話だと思います」
「中学時代にどんな闇を抱えてるの私…?」
余りにも大仰過ぎないだろうか?正直ちょっと
知るのが怖くなるくらいには凄い恐怖を煽られている。
ひとまずまーさんの言う事に従って
私たちは教室から出て、今誰もいないであろう
屋上へ向かう階段に向かうのだった。
◆◆◆◆◆◆◆
「とりあえず、これから話すことはちょっと…
いや正直大分話したくはないよ。なんでかっていうと
えーさんにとってすごい恥ずかしい出来事だろうから」
「こっちに来てからまーさんが顔を俯かせて
何かうわ言言ってるのが凄い怖いんだけど分かった。
教えてほしい」
さっきから後ろをついて来てるまーさんが非常に怖いのだが。
本当に怖い、何か変なことをしてしまったのは分かるのに
何も覚えていないというのは本当に怖い。
「中学二年生ぐらいのころかな?保険の授業で
パッチテストをしたの。あの時のえーさんの席は
教卓の前で、順番が回ってくるのもすぐだったの」
「あー…うん。そんな時期もあったね」
ちょっと時期としてはズレている気がするが、
過去の話に時期の整合性を求めても話がややこしくなる
だけなので追及はしないでおく。
ふーさんは更に続けていく。
「パッチテスト自体は問題なく終わったの、
全く問題なくね。えーさんの気分は少し悪そうだったけど…
授業は進んでいったの」
「…あれ、今のところ何の問題もないんだけど」
おかしなところは何もないし、特筆すべき問題もない気がするが
この二人がそう言うので茶化すわけもないと困惑する。
「そうだね、でもここからが問題なんだ。
…パッチテストで使ったアルコールの容器がね、たまたま
蓋が緩んでる壊れかけの奴で、机の端っこに置かれてて…
先生が結構黒板に板書する時に活発に動く先生だったから
アルコールの容器が机から落ちちゃったの」
「それを私が頭からかぶっちゃったの…?」
「いや、ちょっと飛び散ったのを飲んじゃったみたい、一回
ふーさんの机に飛び散りかけて、梅雨の時期だったから
少し俯いて授業を受けてたからそこそこの量、まぁ
カクルトの容器の半分くらいだったらしいけど」
「え…?そういうの飲んだらマズいんじゃないんだっけ…?」
「うん、結構ヤバかった。一応手洗い用とか
そういう感じのやつだったからね、学校側もその後
てんやわんやだったよ」
逆に問題なく生きられてるの凄いな…
いや、姉を思いながら健康体を維持し続けた結果か?
やはり姉はいなくても存在を信じるだけで偉大な存在である。
「それで一旦教室の中は騒然としたよね、でも驚くべきは
そこからだったの…一度それなりに急激なアルコールを摂取した
ふーさんは」
「私は…」
どうなったんだ?ぶっ倒れたのだろうか、それならば
まーさんが俯いて二人が事実を隠そうとするのも無理は…
「急に酔って制服を脱ぎだしたの」
「え」
唐突な話に私は顎が外れるかと思った。
え、真面目な話じゃないの…?
「その時は近くにいた私が止めたから半脱ぎ状態で止まったんだけど
近づいた私をめっっっっっっちゃ猫なで声で私をお姉さんと
誤認して甘えてた」
「…………え?」
「それで私がおーさんに助けを求めたら、
おーさん側をいきなり褒め殺しはじめたの。
何なら胸元に抱き寄せてた、半脱ぎの状態で」
「え……………??」
羞恥で顔が真っ赤になるのを感じる。
え、なんで?酔ってる私何やってるの…?
「で、人目をはばからず15分くらいおーさんを抱きつつ
私に頭を撫でることを要求したあとに意識を失って保健室に
送られたんだよね…何とか撫でてる途中で制服は元に戻したけど。
…これ本当に話したくなかったよ、どうせ話すなら
私たちが成人してお酒飲む時くらいに話そうかなって思ってた…」
「え、あの。え…ごめん」
するすると謝罪の言葉が出てくる。
いや…もうなんでだろう、二人を巻き込んでしまって
なおかつその後も気を使わせてしまうとは本当に大きなやらかしだ。
「いやいいんだよ…容器壊れてるのに気づかなかったのと
容器が落ちる場所に置いてあったっていうのが原因の事故だし…
保健体育の先生もその後反省して気を付けて
行動するようになったらしいし…」
「いや単純に二人を巻き込んでごめん…」
「いや、信頼を感じられたからいいんだよ…
でも本当にお酒とアルコールには気を付けて欲しい」
「肝に銘じます…」
心の底から反省して、アルコール関連に関しては
自分を絶対に信用しないことを心に刻む。
「…で、その記憶を恥だと思って申し訳なさで
茹で上がりつつ自分を戒めてるのがそこのおーさんだよ」
「おーさん…私が、私が悪いんだよ、だから…
お経を唱えながら壁に頭突きするのは辞めて!!!
怖い!!」
「色即是空空即是色受想行識亦復如是舎利子是諸法空相不生」
早口なのが本当に本気で煩悩を消そうとしている意思を
感じて事の緊急性を感じる。
その後、二人に何もしないのは申し訳ないので、
今度遊びに行く際に私が奢るという話で今回の一件は解決した。
なお、直接的な被害がさらに大きいまーさんには
追加で可能な範囲内でお願いを聞く権利をあげたのだが…
更に妙な挙動でお経を唱えそうになってしまったところを、
ふーさんの必死の説得で何とかなった。
いや…本当に申し訳ない、
私は今後絶対にお酒を飲まないという誓いを個人的に誓った。
ん?今なんでもするって…をリアルでやられると
ちょっとあの茶色の化け物のミーム汚染が酷すぎて
そっちの意味にとられる場合が多い気はするんですけど
大抵は純粋な子供のお願いの対価としてなんでも、
を提示すると思うので私の心はかなり薄汚れているのかもしれない
ブクマ、評価よろしくお願いします。
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