あなたはだあれ
今日は早めの投稿、
イベント攻略回です。
後書きにてお知らせがありますので
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
他の人には見えていなかったクソトカゲをアヤさんが魔法で
細切れにした後、私は事の発端である女性と話していた。
「…私の名はハウリア、
姓はザスアカビスと申します」
「フジカと申します。姓は…」
適当なものを考えて答えよう、
そう思って言葉を組み合わせている途中だったのだが
少し申し訳なさそうに服の裾を握られてハウリアさんに
言われる。
「いえ、使者様ともあろう方が姓を
持つはずはありません。配慮はありがたく思いますが
下手な謙遜は軋轢を生みます、ご遠慮を」
「そうは言われましても…」
私は使者様とやらが何なのか自体分かっていないのだ。
自分の知らないうちに知らない情報を言われてもわからない…
「…失礼を承知でお聞きしたいのですが」
「なんなりと。使者様の望みは我が身が成せる
全て持って叶えさせて頂きます」
…バレたらマズいしバレなくてもいたたまれない、
だが私が話を理解した上で進めるにはこうするべきだろうと
私はハウリアさんにこう告げる。
「…実は私、記憶を失っておりまして」
◆◆◆◆◆◆◆
「…と、いうのが使者様の役割にございます」
「なるほど…私が偽物であるとは疑わないのですか?」
「私の声が聞こえているのが何よりも動かぬ証拠にございます。
今の私はこの首飾りにより不可視の怪物たちから
身を隠していた状態、看破するのは至難の業ゆえ…
声が聞こえるのは強者として紋様をどこかしらに
刻み付けた使者様の持つ力のみでございます」
金属が擦れる音が聞こえるため
何やらペンダント等の何かを手に持ったらしいが
私には見えない、とても気になる…
というか紋様、紋様とは?手などにはついていないし
私の顔についていたりするのだろうか。
…そんな個人的なことは置いておいて、
ハウリアさんの話をまとめるとこうだ。
壁に囲まれ、その壁と屈強な戦士たちが
魔物の侵攻を防ぎ切っている
この国の名前はヴルム聖竜王国、白の竜王である
アマトさまなる人…いや竜が納めている国で、
この国では今回の件に関する出来事が
数日中にあるそうだ。
それが他の竜王が納める国から王本人とその従者、
及び竜に奉仕する一族の代表者を総じて使者と
呼んで王国に招き同盟や諍いを解決するために
一堂に会して話し合う会議があるらしい。
訪れる人物は総じて実力者、竜王は言わずもがな
従者や一族も非常に腕の立つ実力者であり、
一族に関しては竜という種族に奉仕しているのみで
竜王が余りに愚者であったり性根が腐っているのならば
問答無用で殺せる実力を持っているため、
パワーバランスはばっちり…とのこと。
「それに加え、一族の方に関しては
公平な判断を求められるために一時記憶を封印する
薬品を使うと聞きます」
「なるほど」
「人によっては効きすぎる場合もあるという話もありますので、
おそらくそういうことなのでしょう…流石に
名を忘れていたならば私も違うと判断しましたが」
私は使者の一団で、その中でも一族から選定された実力者と
判断されている…というのが今の状況ということか。
「現在私は議長を務めさせていただくために、試験も兼ねて
必要な身分を証明するための証を取りに祭壇へ向かっていました。
…しかし、その最中で試練の獣に後れを取ってしまい
足を負傷してしまったのです」
「試練の獣、というのは先程のトカゲでしょうか?」
「はい、彼らはこの試練の時のような有事の際を除いて
戦士たちと国を守っており…私も侮ってはいません
でしたが、やはり強いですね」
「…倒してはいけませんでしたか?」
あのトカゲが番犬のような扱いだったのかということを理解し
倒してはいけなかったのではと考えてしまうが
ハウリアさんは元気に笑い飛ばす。
「いえ。別に問題ありませんよ、不可視の敵として
兵の特訓にも利用される程度には簡単に作り出せる上
数もあるものです。使者様ならば倒しても問題ございません」
「…そうですか、ならばいいのですが。
ところでその足で証とやらを取りに行くのは大丈夫なのでしょうか」
「大丈夫です。とっさに使えなかっただけで
回復用の薬も持っていますので」
ハウリアさんはそう言って小瓶を取り出し
足に振りかけて傷を癒す。
「ふぅ…では、また会議の際に」
「はい、そうですね。ではまた後日」
そう言ってハウリアさんは歩き出し
少し距離が離れた時にセンジョウさんから話しかけられる
「…フジカ、一つ聞いていいか?」
「え、はい」
話を聞いていなかったとかそういう話だろうか?
そう思って耳を傾けると…
「…お前ら、何の話をしてたんだ?
というかなんであいつはどっか進んでいってるんだよ」
「え、私の話…あ」
そういえばハウリアさんは
声も聞こえないと言っていただろうか。
ということは姿は見えるが声は聞こえないし
私が相槌を打ちながら喋っている
という何とも分かりづらい状況になっていたということだろう。
「えーっと、ですね」
私はセンジョウさん含め全員に
事のいきさつを説明することになった。
…元の話が結構長かったので説明するのに
時間がかかりそうだが、なんとかがんばりたい。
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それから30分後、
私はハウルアさんに聞いた話を
みんなにすべて伝えきった。
「なるほどな、とりあえず今は念のためで
うちの二人であいつを追ってもらってるが…
なるほど、よくわからんが重要な役職について
重要なイベントに参加するってことだな」
「大体そんな感じですかね…
でも凄く素直に喋ってくれますね、
それこそ途中で聞いた通り偽物の可能性もあるのに」
「よくわからんがその辺は助けた一件で
なんとかなってんだろ、下手に悩んでも仕方ねえ」
「うーん…とりあえず、私たちもハウルアさんの
様子を見に行きますか?…というか探していた扉も
見つからないことですし場所を聞いてみるという
理由もありますし」
「それでよさそうですね。センジョウさんは如何でしょうか」
「大丈夫だ、というか現状俺たちの持っている情報が
フジカが使者で会議とやらが近い、そして見えねえ敵とかがいる
ってくらいしか知らんしな」
そんなわけで私たちは
センジョウさんがギルドメンバーの方々に
連絡し場所を把握しつつ、ハウルアさんの
向かった方向へ進むことになるのだった。
次回、ハウルアさん視点…の予定です
そして一つお知らせですが、ここ最近の遅れのお詫びや
2.5周年祝いの意味も込めて4月1日に
連続投稿しようと思います。
現在の予定では本編、せすさんとふぃろーさんの日常回、
前々から考えていたエイプリルフールネタ
の三本なっておりますが、他に見たいものがあれば
感想欄にコメントしていただければ一部の変更も可能です。
ブクマ、評価よろしくお願いします。
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