決闘終了、もう一回?
PPPPPP…?
(完結を受け入れたくない)
あの結末は嫌いじゃないしむしろ好きではあるんですが
それはそれとしてダメージが大きい
今回で三人の決闘関連のお話は終わりです。
アヤさんとセンジョウさんの決闘が終わった。
二人の戦闘を見ていたが、私との明確な違いが明らかにあった。
「ふふ、ふふふふふ…」
センジョウさんは私と同じ状況になりながらも
しっかりとした戦いになっていたし、アヤさんに関しても
状況をひっくり返せる余裕を持ちながら終始優位を保ち続けていたが
結局センジョウさんの最後の抵抗に屈して敗北していた。
「…大変見苦しいところをお見せしました」
「謝るべきは俺じゃないだろう…ハンデ付きでも
善戦してたアマチュアにプロが全力出して
戦ってるようなものだぞ?」
「返す言葉もありません…」
敗北で頭が冷えたのかすごく後悔してセンジョウさんの言葉を
聞いているアヤさんを見ながら、私は今日までの自分を思い返していた。
なーにが最強だ最弱が何を言うのか?
センジョウさん相手に読み負け
アヤさんに完敗した私が最強とはちゃんちゃらおかしい。
あぁ、アルルちゃんにあんなに豪語していたのに
私がここまで弱いとは思わなかった。
恥ずかしい、消えていなくなりたい…
「非常に申し訳ありません…その、久しぶりに
良いもの見れたのでやり過ぎました!ごめんなさい!」
アヤさんにそう勢いよく謝られるが申し訳ない、
そんな期待されるような人間ではなくてごめんなさい…
「いえ…私がザコ過ぎたんですよ…
ふふ、何が最強なんでしょうね」
「いやお前、お前…?自信失い過ぎだろ、
十分強いじゃねえか…?」
笑い声にも似た音が口から洩れる。
若干引かれている気がするがかまわない、結局のところ
私レベルによるステータスの差でしか勝てない存在なのだ。
井の中の蛙大海を知らず…
「はははははは」
「いや現実逃避すんな戻ってこい、
てめえが負けたのは実力じゃねえわ!よーく聞け!」
そう言うと私に言い聞かせるようにセンジョウさんは話し始める。
「お前なぁ!召喚獣使ってねえのに本気はおかしいんだよ!
ミソラにファルちゃんにグリム!心獣混身できるかはわからない
やつを含めるとやエアリィほかにも大勢いるであろう召喚獣を
使ってねえのに、俺たちとレベル差揃えて戦ったらそりゃ負けるだろ!」
「そうは言われましても…そういうルールですよね?
技術と読み合いで負けたんですから言い訳できませんよ」
こっちの情報が筒抜けの状態とはいえ、それを前提として動けたはずなのだ。
それにルールはルール、それは変わらないし…
「いーや、お前の動きはそういうのを前提に動いてる。
細けえ話にはなるが、お前は人間相手の動きじゃなくて
モンスター相手の方が慣れてるんじゃねえか?」
「…なる、ほど?」
対人戦…いや、確かにアルルちゃんやグヴァンさんたち
メリーシープのみんなとしか決闘で戦ったことはないな。
「それに加えて純粋な練度の違いだ、俺たちは
このゲームより前からこの手の対人戦やってっから
その辺のノウハウもあっからその差もあるな」
センジョウさんの言う通り、今回の敗北は
私の経験不足、なのだろうか?
しかしそうだとしてもまだまだ自分ができることが
あったのではないかと頭を回してしまう。
「それにお前の手札がこっちに筒抜けってのが
やっぱデカいな。普通ならこっちは見えてる手札…
大体効果が推測できるスキル以外に知らねえスキル
使われたら、っていう考えをしなくていいのはやっぱデカい」
「そうですね、やはりこちらが普通ならば
警戒しなければならないものを警戒しなくても
いいというのはやはり大きいかと思います」
二人に畳みかけるようにそう言われると
さすがに自分も悪い気がしてきて、二人に謝る。
「…すみませんね、負ける機会が少なくて
調子に乗っていたみたいです」
「乗ってもいいと思うぜ、でも今回は俺の一勝だ!」
センジョウさんがそう高らかに宣言する。
一勝…確かに勝たれたのは事実であるが
ここで私が持ち直していなかったらさらに
落ち込んでいただろうに、これはひどいのではないだろうか?
「持ち直したと思ったらあなた…!?」
「へっ!今回は反論させねえぜ?なんてったって
この件に関してはお前の方が悪いからよぉ~?」
そうハイテンションでアヤさんに言うセンジョウさんを
見て、流石にちょっとどうかと思うので私は一言
センジョウさんを咎めるように言う。
「いえ、この件に関しては二人とも普通に悪いと
思いますが…?こっちのステータスを知ってるのなら
お二人のステータスも教えてもらって条件をそろえて
もう一戦してもいいんじゃないでしょうか」
「いやそれやられると多分負ける…いやその目をやめろ!
お前も「いや確かにやってることは酷いし否定できないな?」
みたいな目をこっちに向けながらメニューを弄るのをやめろ!」
センジョウさんが少し声を荒げてそう言いだす。
そもそも本当にこちらだけ情報が筒抜けというのがおかしい、
こっちの情報が筒抜けなら相手の情報も筒抜けになってこそ
対等な勝負というやつではないだろうか?
「いえ、こちらだけ知っててズルいのは事実ですし。
死なば諸共であなたと一緒に自爆しようかと思いまして…
というわけで一回、一回一緒にステータス晒しましょうよ?」
「おまっ、魔法職だからダメージ少ないと思って
ノーダメ理論で道連れにしようとしてんなぁ!?
てめえ、同調して勢い付きやがって…!」
「え、魔法使いの人とそんなに差があるんですか?」
よく知らないことを聞いたので
驚いてそのまま聞き返してしまうと、
センジョウさんは少し考えてから私に説明してくれる。
「格闘系とかは名前で大体の効果わかるし
結局殴る蹴るの延長線上にしか技がないからな…
ぱっと見のスキル名だとできることがまったくわからん。
火魔法だけでも形を持った武器の形状にするものも
あれば広範囲を燃やすってだけの魔法もあるし名前でも
推測しにくいからマジで分かり辛いぞ」
「そうなんですね…じゃあちょっと、
ほんの少しだけでいいので使える魔法の
説明もお願い出来ますか?」
「わかりました。ではセンジョウさんがステータス画面を
開いたら説明してあげましょう」
「結局見せ合うのか…?」
「「え、だってその方が面白いじゃないですか」」
「畜生、そう言えば今日はスイッチ入ってたなぁお前!
あーわかったわかった、分かったよ!見せりゃいいんだろ見せりゃ!」
その後、三人でステータスを見せ合って
もう一度決闘を行おうとしたが…
全員疲れていたのでまともな戦闘にならず、一戦目から
凄くゆっくりでこれ勝負?っていう感じになってしまったので
今日はお開きにすることになった。
今日は凄い酷い負け方をしてしまったが…
その分、まだまだ自分が成長する余地があるとわかって
少しうれしかった。
アヤさんのスイッチ
アヤさんは元々オンラインゲームをメインに
遊んでいるわけではなく、オフラインゲームの
RPG等がメインで遊んでいたため
無意識のうちに「周回作業を行うときの思考」と
「友人と遊ぶ際の思考」、そして今回発動した
「強敵と戦う際の思考」を切り替えており
強敵との闘いの際は相手の情報を整理して
最大効率で自分の全力を叩き込むことだけを意識するため
傍から見れば狂気的なまでの効率厨と化す。




