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チエネツオーバーロード

久しぶりのチエちゃん登場回。

「ねーねー、永華!」


「不法侵入ですよ、早く帰ってください」


クリスマスの数日前、チエちゃんにこの別荘の場所を

把握された後。ある程度の頻度でチエちゃんが訪れてくるように

なった。本気の拒絶で数日に一度へ抑えたが、それでもいつか

毎日来るようになりそうで怖い。


「永華って、SROってゲームをしてるんですよね?」


「何を言っているんですか、

 誰からそんな話を聞いたんですか?」


「えっと、おばさんです!…というか

 ウソつかないでくださいよ、部屋を覗いて

 あの部屋から変な機械とギプスみたいなのが

 なくなってるの知ってるんですから!」


…ギリギリセーフ、兄だったら割とダメだったが

お母さんだったら別に問題ないだろう。


「…知ったとしてどうするの?」


「なんやかんやで手に入れたSROのゲーム機を

 売るか使うか決めるだけです、どうやらプレイしている

 みたいなので私はこれから家に帰ってSROを起動します」


あっちにもチエちゃんが来るの…?

私は非常に不安になり、どうにか対策出来ないかと

SROへログインすることに決めた。



私はログインするとすぐに城へ移動し、ひとまずで

効果的なギルドマスター権限を確認して

城の内部にギルドメンバーの認証がなければ

他人が入ってこられないようにした。


そしてもう一つ、さらに運営さんにテストさせてもらって

その後に実装された自動ブラックリスト機能を一時的に

起動する。これは他人の悪意を検知する機能以外に

特定の相手を自分からシャットアウトすることも可能である。


ちゃんと相手を認識しなければ発動しないとはいえ、

これでこちらからも相手からも私を

認識するのはできないはずだ…!


「さぁ、どこからでも来るがいい…!」


こちらまで来たなら本当に嫌だ。こっちなら

毎日一定確率で接触することになる。


最初に接触したが最後、私はチエちゃんを認識できなくなる。

完璧な作戦のはずだ…!


私は7時間ほど街中をぶらぶら出歩き、

チエちゃんが来るのを待った。


「えー…っと。フジカ?さんでいいんですかね、

 お、姉、ち、ゃ、ん?」


私はすぐさまステータスに物を言わせて高速で振り向く。

しかし、背後には複数人のプレイヤーが群がっており

どれがチエちゃんか把握できない。


「わーすげえ!フジカさんだ!」


「握手してくれー!」


批判が反転して好感と化け物扱いが増えたものの

それが自分の首を絞めるとは思わなかった。

四人程度の新規プレイヤーが有名人を見つけたと言わんばかりの

対応を私に見せている。


「凄いですよねー!尊敬しちゃいます!」


「結婚してください、お姉ちゃん」


「はい皆さん!今結婚してくださいって言った人から

 離れてください、そしたら色々教えてあげますよ!」


最早手段は選ばない、他人を利用してでも私は

チエちゃんから逃げ切ってやるんだ…!


初心者の皆様はすぐさま一定の距離を保つと

恐らくチエちゃんと思われる人間を見つけ出す。


「見つけた…!」


「うわー見つかっちゃったー」


私の視界から一人、銀髪の少女が消えると

初心者の皆様が私に向けて再び近寄ってくる。


「ねーねー!その装備どうやって手に入れるんですか?」


「えーっと…これは確か…町から大分進んだところの

 お墓の地下にあるダンジョンで手に入る素材で

 作った装備ですね、しばらく頑張らないと手に入らないと

 思うので頑張ってください」


「テイマーをする上で気を付けてることって何ですか?」


「召喚獣のみんなと仲良くする事ですかね、

 私が暴走することが多いので…」


「結婚しましょうお姉ちゃん」


質問の返答をしている間に聞こえた声へ

驚いて思わず残る三人から距離を取る。

…!?まさ、か、騙されたというのか!?


疑心暗鬼に陥りつつも、私はもう逃げればいいと気づく。

ここにいる三人の顔を覚えて逃げれば次の機会に

特定する事なんて容易、つまりこの場は逃げるが勝ち…!


「すみませんね、ちょっとギルドのみんなに呼ばれたので

 私は帰りますまたねー!」


「「「ありがとうございましたー!」」」


次こそは、次こそは特定してチエちゃんから逃げ切ってやる…!

私はそう決意しながら安全地帯である城へと急ぐのだった。


◆◆◆◆◆◆◆


あーあ、結局そうなっちゃうかぁ…予想通りかつ望み通りだが。

私、チェーニ・ガラリエータことチエちゃん…もといプレイヤーネーム

ガラテリタはそう呟く。


また逃げられちゃったなあ…普通に遊びたいだけなのだが。

初心者で近くにいた人を巻き込んで接触したのは良いが

やはり自動ブラックリスト入り機能を使用しているらしい…

どうにも必要以上に警戒されてしまっているようだ。


まぁヤバい事をしていた記憶はある。

私としても永華の告白回数を聞いて過剰に狂っていたし

仕方ないだろう…しかし永華もお姉さんが似たようなことに

会っていたらああなるだろうに、私に対して過剰警戒が

過ぎないだろうか?


「お兄さんのせいなのかなぁ…おのれ、

 事あることにいちゃつこうとするばかりに私まで

 被害を被ることになっちゃったじゃない」


恐らく永華は自らに対する愛へ酷く警戒している可能性がある。

無償の愛なんてない、博愛なんてものは絵空事…

それを体現するような存在がいなければ現実的な範囲内で

叶う事を理解していたのかもしれないが、兄という贈り物(価値あるもの)

渡して愛を表現する阿呆が存在してしまったが故にその

考えは形をもって永華の心に宿った。


一目惚れも、深い愛も返せなければ意味がない。

お姉さんへのあの態度も自分が尽くしているから申し訳なさで

返してくれるという感情なのだろう、出なければあそこまで

必死にならない…いや、気付いていたとしても

必死になるかもしれないと永華のことを考えて思った。


私の愛も同じなのだろう、意味の分からない愛は

返せない、意味が分からないが愛されているという恐怖は

明確に永華の心の傷…まあお兄さん関連のトラウマをえぐり

紐づけて私も過剰に嫌いになっているという事だろう…


いや、確かに毎晩ベッドに忍び込むのもどうかと思うし

キス狙いもどうかと思うがあの時の理性は200人前後いた

告白してきた奴らへの憎悪でまみれて正常ではなかったため

許して欲しい、誰に弁解するのかもわからないが…


会えない期間は私から正気を奪う。

海外にいるときは触れなくても平気なのだ、なにせ

会いに行く手段がないから電話をするしかないし

答えてくれる時間もまばらと考えれば仕方ないのだが…

手段と方法が現実的な範囲内であるのならばそれを求めてしまうのは

仕方ないのだ。


「まー、誤解を解くために頑張りますかぁ」


まずは海外でお義姉さんがナンパされてた回数を

バラすことにしよう。数年前におばあちゃんに話していたらしく

具体的な量を知っている私はそれをお義姉さんの別荘の郵便受けに

入れておくことに決め、SROの世界から現実の世界へ戻るのだった。

Q要するにどういう事?

主人公が兄のせいで無償の愛を

信じられなくなっているし、兄と似たような行動理念で

動くチエちゃんを過剰に警戒してしまっているので

なんとかしたいね、そうだ。同じようなことをして

対応から私のことを理解してもらおう!という感じ


お姉ちゃんに対するナンパ

遠目から見ても、地味目の恰好をしても

美人なので複数回ナンパされる機会はあった。

一つの国で10は当たり前、最大回数はヨーロッパの

とある国での200回越え。当然永華は心配した


ブクマ、評価よろしくお願いします。

誤字脱字あれば報告お願いします。

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