閑話:ハイガラス組と秘密の地下迷宮②
前回の続きです。
扉の先には石造りの通路と
その道がいくつも分かれた迷路が存在しており、
見るからにダンジョンという感じの光景が広がっている。
「ここは別に道順変わんないんだよな…
モンスターの配置だけランダムで、所々の宝箱はそのまんまだから
取りながら進むか?俺はランダム報酬でほしい奴があるから
探したいところだが」
「いつもなら、下手な戦闘を避けたいですし
ほしいものがないときは無視しますが…このメンバーなら
大丈夫でしょうし行きましょうか。フジカさんもそれでいいですか?」
「はい、私は素材さえ手に入ればなんでもいいです。
ね、アオイちゃん」
アオイちゃんはぴょんぴょん飛び回り
私の発言を肯定しているように見えるものの何やら動きが
混じっているような気もするが…気のせいかと
流して二人の後ろについて地下迷宮を進み始める。
このダンジョンは中で進める人数に限りがある。
召喚獣含めて4人まででしか挑めず、召喚獣に関しては
一旦一人出してそれを戻して別の召喚獣、というのも可能だが
原則4人で進むダンジョンらしい。
そんな中、二つ目の分かれ道を超えた先には
何やら大きな蛇が待ち構えていた。それに対し、
センジョウさんは少し喜びをあらわにした声を上げて
あの蛇を指さす。
「お、お目当てらしき奴が来たぜ?
あの蛇は結構いい防具の素材になるんだよなぁ」
「そうなんですか?なるほどなるほど」
蛇かぁ…別に嫌いではないものの戦いにくい記憶がある。
正面の蛇は毒をもっているようには見えないが、一応警戒した上で
アオイちゃんからファルに召喚獣を切り替えておく。
「おや、おはようございますご主人様!
こんな暗いところで何をするんですか?」
「しー、今からあの蛇を倒すから手伝って」
こくこくと口元をふさいで首を縦に振るファルと一緒に
蛇へできる限り近づいていく。
「よぉーし、いっきますよぉ!」
そして、ファルが突っ込んでいき、
首の上から半分に切り落として蛇を倒す。
リザルト
経験値
ラビュリントスネイク討伐 30000
合計 30000
〈迷宮蛇の皮〉×2を手に入れました
〈迷宮蛇の牙粉末〉×4を手に入れました
〈迷宮蛇の目玉〉を手に入れました
皮と目玉、それに牙の粉末…ファルは顎から砕いたらしく
そんな感じのアイテムを手に入れて先に進み始める。
「今日も快調だなぁ…すげえハイペースでぶっ飛ばすと
見てるこっちも気分がいいぜ」
「…いや、よく考えてみたら待っていただけますか?
ここの迷宮の仕組み、少しばかり説明した方がいいのでは?」
「…仕組み?なにかあるんですか」
私はアヤさんの一言が気になって聞き返してみると
やはりといった表情で返答を返してくれる。
「このダンジョン、名前は封獣の迷宮というのですが
色々なルールがありまして…一つは先ほど言った四人制限、
そしてパーティーの平均レベルを参照してモンスターを強化される
のが二つ目です」
「…つまり私がファルたちを出すと敵のレベルが
凄く上がるという事でいいでしょうか?」
「…残念ながら。そうです」
「そういやあんたはレベル100越えだったな。
どこで戦えばそんなことできるんだ…?」
「うーん…これちょっと運営さんに苦言を呈されまして。
ちょっと私みたいな事されると困っちゃうので…
申し訳ないんですが教えられません。」
「そうかぁ…いつもの暴走で無限に潰しまくったとか
想定してたけど…いや、すまねえな。俺は普通に積み重ねで強くなるよ」
「それの方がいいと思いますよ…
というかほぼ二倍になるくらいですからなんかすごい場所を知ってるんですよ。
そんな場所隠しておきたいに決まって、
運営さんに止められたってどういうことですか???」
「…ノーコメントで」
最近は行っていないがあそこの効率は凄いが死ぬほど頑張らないと
本当にHPをゼロにされかけることが何回もあった。
たまたまミソラたちに助けて貰ったりして
なんとかなったり色々話はできるが…
そもそもにあそこを使えるのを把握されると
運営さんへの負担が酷そうなので私だけの秘密としておきたい。
「それじゃあ先に進みましょう。
話によればもうすぐ一つ目の宝箱なんですよね?」
「おぉ、そうだな!さーて、布出ろ布~」
◆◆◆◆◆◆◆
「物理センサーが…物理センサー許すまじ…」
あれから階段を一つ降りて地下二階。
最下層は地下三階で、次の解はボスのいる部屋らしく
実質的にここでダンジョンは終わりらしい。
「まぁまぁ、レア装備は入ってたんですから
交換とかで何とかなりますよ」
「うぅ…あんなはずい装備ぜってえ
ギルメンに買い戻されてプレゼントされる…!」
先程手に入れた装備は布面積は多いものの
なんかチャイナ服?の類に見える服らしくセンジョウさんは凄い
テンションを落としていた。
(ちなみに私は一瞬ゴスロリ系に見えて意識を刈り取られかけた)
私はモンスターを大体倒して進んでいた。
あれから一応不意背後からに攻撃されたらまずいという事で、
偵察役としてアオイちゃん、戦闘時にはフランベルさんに
出て戦ってもらっていた。
アイテム自体は結構集まっていて、中々いい量になっている。
…しかしメニュー画面のアイテム欄を見たら数が大丈夫なのだろうかと
不安になっているので何か私はおかしいのかもしれない…
そんな話は置いておいて、とりあえず二階の半分程度を
探索し終わったようだ。そしてこの場にはこのダンジョンに今残っている
宝箱最後の一つが置かれており、先程からセンジョウさんが祈りながら
引くのをためらっている。
「ほら、早く開けちゃってくださいよ。他四人もいるんですから
早くしなくちゃ待たせてしまいますよ」
「う~、う~!フジカさん、開けてくれ!
交換できるもんは交換するから布を出してくれ!」
「…いえ、いいですけど本当にいいんですね?」
あまりに怖すぎてどうやら私に任せるようだ。
私は願いを叶えられるよう、頑張って引き当ててやろうと
宝箱を開くのだった…
チャイナ服
フリル多めのチャイナ服風の服。
実際のところ主人公が使うと強い系統の補正を持っている
アイテムドロップ
基本的にフィールドのモンスターなどが落とす。
しかしボスなどは基本報酬としてメールに贈られる場合も多いため
ボス戦の際はアイテムドロップがないことが多い
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