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閑話:福音とお出かけ

気付けば200話を突破していました。

皆様が読んでくれていたからここまで来れました、

ありがとうございます

ゴスロリに気絶して数か月、再び私はふーさんと出かけていた。


今日、私とふーさんはあの日できなかった

洋服を買いに行くという目的を果たすため

あのお店が合った通りを避けて大きめの洋服屋さんに行っていた。


そして、今の私はというと…


「ほーら。よしよし頑張ったねえ」


「ひぐっ…えぐっ」


「ガチ泣き…傷は深いみたいだね?」


「ふぐっ、うっぅ…兄さん殺すぅ…!」


「元凶に対する殺意に変わった!?そんなに怖いの…?」


それはもう、ぐしゃぐしゃに、泣いていた。

途中までは良かったのだ、途中までは…


しかし、お店の中を見て回っている時に

ふと見つけてしまったのだ。


「いやぁ…運が悪かったね、一部分だけあんな感じとは」


そう。春のかわいいフェスティバルだか何だか知らないが

一部のスペースにゴスロリがマネキンに着せられて置かれていたのだ。

しかし、運がいいことに見たのが一瞬だけだったことと

よく見なければゴスロリ以外の服に見えないこともなかったため

なんとかガチ泣きで済んだ。


「よぉし…私がおいしいお菓子を買ってあげよう!

 この近くにいいお店があるんだ。ささ、行こうか!」


そんなこんなで私の背中をさすりながらふーさんはそのお店に

向かって進んでいくのだった。申し訳ない…


◆◆◆◆◆◆◆


「ほら、あそこだよ!」


福音に案内された場所は五分程度歩いた場所で、

そこそこ住宅街に近い場所だった。


福音が指差した先には小さめのカフェっぽい建物があり

どこかで見たような人が店前で接客を…


「あれ゛、非泳(びえい)さん…?」


「おや、見つかってしまいましたか。

 …福音さんから連れられてきたので?」


やっぱり涙目で少し見えにくいが非泳さんだ。

ここでアルバイトをしているのだろうか?


「うんうん、ちょっと具合が悪くなっちゃってね」


「それは大変ですね、少しお待ちください。

 おとうさーん!ちょっといーいー!?」


「店長って言ってー!どうしたのぉー!?」


どうやらお父さんがここの店長さんのようだ。

優しそうな声がこちらに返答をすると同時に厨房らしき場所から

店長さんが出てくる。


「ちょっと友達が具合悪いみたいだから

 端っこの方借りてもいいかな?」


「そりゃあ大変だ!でも、病気なら

 病院行った方がいいんじゃないかな?」


実際相当動けないとかじゃなければ病院へ行くべきなのだろうが

今の私はゴスロリのダメージを引きずっているだけなので

しばらく休憩すれば大丈夫だ。


「…ちょっと、ふらついてるだけなので…多分大丈夫です」


「そうかい?…なら大丈夫だ、常連さんも今はいないし

 ちょっとしばらくは休憩にするから元気になるまでここにいるといい!」


店長さんのやさしさがとても染みる…

私はふらつきながらもふーさんの手を借りながら席に向かって歩き出す。


「ありがとうございます!ほら、大丈夫?」


「さっきよりかはだいじょうぶ…」


「お水持ってきますね。ごゆっくりお休みください」


そう言って厨房に戻っていく店長さんにお礼を言いながら

何とか端っこの席に歩いていき、柔らかそうな椅子に深く倒れこむ。


「ふぅぅ…」


「理由は知ってるけどさ、どうしてあんなに拒絶反応が出るのさ」


「…何かとても嫌いなものがあるのでしょうか?」


水を三人分持ってきて、非泳さんはこちらに質問してくる。

ああ、そう言えば非泳さんには教えていなかったか…


「私、ゴスロリが苦手で…見るだけでちょっと、気分が」


「えっ…SROの街中でたまに見ますが、あれはどうなんですか?」


非泳さんが驚いてそんな質問をしてくる。

確かにそれはそうなのだが…


「あれはギリギリ大丈夫…私じゃなくて

 他の人が着ているってだけだからまだ気持ちをごまかせる」


「それは私も知らなかった…どういうのだとダメなの?」


「ゴスロリがマネキンとかに着せられてるとか

 ちゃんと着られる状態で置かれてたりする時」


マネキンとか無個性なものだと自分が着せられている錯覚を受けるし

着られる状態でいるとそれはそれでダメージを受ける。


「それはそれとしてさ、お兄さんに押し付けられたのはわかるけど

 気絶するくらいに怖がるのは異常だと思うよ…」


「仕方ないよ…ふーさんもあの生活を体験してみたら私みたいになる」


「ちょっと待って何があったの!?お兄さんなにしたの!?」


仕方ない。これは私も語らなければならないだろう…

あの生活を、恐怖のゴスロリ生活を。


「ポトリーさんにプレゼントされた次の朝なんだけど」


「うん」


「着替えがほぼ全部ゴスロリ系になってて」


「うん…?うん」


「怖くなってお母さんに聞いてみたらそこにいた

 兄さんが誇らしげに自供して」


「うん」


「これがね…何度いつもの服に直しても

 ゴスロリ系に戻るし、なんなら量が増えてて」


「はい」


「しかもだんだんマネキンとかに自作のゴスロリを

 置いて行って」


「マネキン…」


「しかも日ごとに量が増えていって、なんかデザインも

 いいのが増えていって…マネキンにゴスロリ着せてるところとか

 着られるように置いてある状態のゴスロリはダメになっちゃった…」


「そんなことが…」


「新手の怪談みたい…確かに、それは嫌いになるね」


ほぼ条件反射でゴスロリに反応する体になってしまったのだが…

私も何とかしたいものの、ゴスロリを一枚目にするだけで

あの日々を思い出してその日の行動に影響が出るので

なんともできていないのが現状である。


「姉が、すきだから着たいけど…でも私は、私は」


「…おーよしよし!大丈夫大丈夫、お姉さんは

 そんなことしなくてもえーさんのこと大好きだからねー!

 無理しないでいいんだよ、えーさんはえーさんのままで」


ふーさんにふんわりと優しく抱きしめられる。

うん、うん…


「ごめんね…」


「大丈夫大丈夫、誰も出来ないって責めたりしないし

 ダメだなんて言わないんだから。えーさんはえーさんのままで十分、

 十分…いや、本当に充分だからちょっとムカついてきたな?」


流れが変わってきた。


「なんだーこのふにふにのほっぺはー?

 髪もサラサラでとても羨ましいぞー」


ふぁめへ(やめて)ひはひ(痛い)ひはひ(痛い)


そこから福音に褒め倒されると同時に

ほっぺで遊ばれて、ほっぺが痛くなったが…

心の傷は少しだけ和らいだ。

ちゃんと直したし、変えられないように対策したりしたけど

日に日に増えていくホラーを見せつけられた


ブクマ、評価よろしくお願いします!

誤字脱字あれば報告お願いします。

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