両者の思惑、戦闘開始
戦闘回です、ジェイス戦開始。
「ははははは!!!運営の奴要求を
飲みやがった!馬鹿じゃねぇのかぁっはっはっは!」
やはり運営も炎上は怖いらしい、こんな条件での戦闘を取り付けるとは…
あの女も見捨てられたらしい。こちらにとっては最高の条件だ!
こちらが取り付けた条件は以下の通りだ。
1、あの女は召喚師ではない中級職Lv10で対戦(俺はLv30)
2、あの女は召喚獣・武器・防具装備禁止
3、あの女は始まってから5秒行動禁止
(行動の定義:攻撃、その場からの移動、回避行為、スキル使用)
4、魔導伝承禁止
対戦動画では10レベル差が開いた状態で勝つのは
ほぼ不可能という話だった、ならば20レベル差があれば
絶対に勝利不可能ということだ。
武器防具禁止は今の装備をそのまま使われてしまったら
間違いなく攻めきれず、ステータスの不足を補われる可能性があり
その点を警戒した。
その上で5秒行動禁止。確実に一撃を当てられる上、
その一撃で倒しきれなければレベル差も考慮して
間違いなくチート、もしくは運営からの支援を受けているのが
明るみになり炎上はさらに激しくなる。
最後に魔導伝承とか言うチートの禁止、
あれはダメだ。あれがあるだけでステータスの差異を潰されるから
禁止にさせてもらった、これで勝たれたらそれこそ化け物か
チートを確信するだろう…
「どちらにせよ、俺は楽しくあのゲームを遊べる…!」
俺は笑いが止まらなかった。
◆◆◆◆◆◆◆
戦闘当日。五時間前に運営さんの文章が投稿され、
炎上原因の完全な否定がなされた。
準備中に炎上につられた輩は遠くからチート野郎などと
叫ぶ輩はいたが、大半は何やらバツの悪い表情で
こちらを恨みがましく見るばかりで何もしてこない人が大半だった。
「よし、これで大丈夫でしょう」
準備は整った。運営さんからの話が五日前にあって
特訓もかねてネロンスシ君たちのために素材を大量に集めまくった。
チョコレートの素材はミルク、砂糖、カカオで
一日ごとに一種類ずつ集めまくり既に渡してきたので
イベントに関しては問題はなく、体は今回の勝負に
勝てるよう調整することができた。
「…あん畜生め」
そもそもあの男、ジェイスが邪魔してこなければ
ゆったりとイベントを進めることができて姉と楽しく過ごせたはずなのだ。
なのに、なのに…!あの男のせいで…!
ここ数日の甘えスケジュールがパーになった!!
「絶対、完膚なきまでにぶっ潰す」
私はすべての因縁を終わらせるため、
運営さんから渡されていた移動用の結晶を使用して
決戦の場に向かうのだった。
◆◆◆◆◆◆◆
場所は第三回イベントと同様、闘技場のような場所。
目の前にはまだあの男は来ていないが
外から見たモニターの類は起動しており、
準備中の画面が表示されている。
「…さて」
石畳の上で軽くジャンプする。地面は割と固い、
場外負けとかはないだろうけど大分広い。
「よぉ、負ける準備はできたか?」
あの男が入ってきて、あの日のように不敵な笑みで
自分が中心に回っているかのような不遜な態度でこちらに歩み寄る。
あの男の装備は胸当てに籠手、脚の部分に騎士のような鎧を身に着け
シンプルな白い長剣を右手に持ち、おまけのように左手に
小さな盾を持っている。
「お前を叩き潰してお前とこのゲームも終わらせてやるよ」
「終わりませんよ、このゲームは」
力強く返答すると、男はせせら笑いながら
「ま、がんばれよ」とこちらを嘲笑いながら所定の位置につく。
『配信開始。運営から最後の確認になるけど
君たち、準備は大丈夫かな?』
上のモニターの電源が入り、運営さんの声が響き
周りに何かカメラのようなものが飛び始める。
「ははは、どうせ終わるんならってゴミ運営は従順だぜ?
俺の方は大丈夫だ」
「準備は大丈夫です、早く始めて貰えますでしょうか」
『承認した、始める前に条件を確認しよう。
プレイヤーフジカ対プレイヤージェイスの
1on1のハンディーマッチを執り行う、
条件はフジカ側は中級職Lv10。
召喚獣・武器・防具を禁止し、更に試合開始5秒後まで
行動禁止、そして魔導伝承の禁止となり
ジェイス側は制限なしで戦ってもらう」
その発言とともに結界のようなものが張られ、
開始処理中と書かれたメニューもどきが私とジェイスの間に出てくる。
『10秒後に戦闘を開始する。両者、構え!』
そう言われたものの、私は自然体で立っている。
「はは、どうせ負けるとわかってそうくるか!
随分と諦めがいいじゃないか」
どうせ避けられないのだから
構えること自体が無駄だと教わったが故に、私は時を待つ。
「5、4、3、2、1…はじめ!」
「はははははは!!!【加速】!」
一秒。ジェイスはこちらに向かって一歩踏み出す。
二秒。ジェイスは宣言したスキルの効果で加速し、私の目の前に現れる。
「【アクセルエッジ】!!」
三秒から四秒、あいつの攻撃が宣言される。
五秒目、私に攻撃が当たりエフェクトが弾けると
同時に動き出し制限が解除されたその瞬間、私は宣言する。
「【殺意】」
スキルを発動し、一撃目を耐える。
殺意の残り回数は5回、まだまだ全然大丈夫だ…
「はぁ!?即死耐えスキルかよ、ふざけんな!」
私は追撃を避けるために後ろに下がると追撃のためか
ジェイスがこちらに向かって走り出す。
「でも!このステータス差なら勝てるわけねえよなぁ!?」
早い、でもまだまだ遅い。
「【変装技術】」
私は変装してヒルデさんの姿に変わる。
それを見たジェイスは高笑いを上げながらさらに加速する。
「はははははは!!手品みてえだな、でもそれでも
HPがギリギリなのは変わんねえだろぉ!?」
右足を前に踏み出し、姿勢を低く保つ。
真正面から叩きつけるように切りかかってきたジェイスは
踏み出そうとした足を私の足の上に置いてしまい、
不意を突かれて転ぶ。
「は」
「手品なら、騙されちゃいけないですよね?」
変装したのは足の長さをごまかして確実に転ばせるためだ、
変化したと思っても長さは変わっていないので
一瞬ごまかす程度ならば十分に効果を発揮する。
生まれた隙に私は思い切り防具の隙間から腹を殴りつける。
「【ドラグアッパー】」
「ゴボッぉ…!?」
私の一撃を食らい、うめき声をあげて地面を転がって
苦しくはないはずなのに、思い込んだ痛みで
剣すら落としてしまうジェイス。
「ゲハッ…ゴホッ…ガハッ…なんだ、何故攻めてこない?」
しかしステータス差からすぐに復帰すると、
疑問に思ってかジェイスはそう尋ねる。
「決まってるじゃないですか」
この勝負は、私がこいつより強いことを証明するためにあるものだ。
「私は強いので、分かりやすく、丁寧に…あなたを叩き潰します」
ずるい手はそんなに使わずに、
私は技術をもってこいつをぶっ潰す。
「ふっっっっざけんな!!雑魚がイキってんじゃねえ!!」
ジェイスは激昂して剣を拾い、
こちらへ向かって走り出すのを見ながら
私も拳を構え直して迎え撃つ。
「さぁ、ここからが本番ですよ」
「言ってろ!すぐぶっ殺してやるからよぉ!!!」
変装技術
アップデートで変装に関する項目が全て統一されたスキル。
外見だけは完全にごまかせるが、戦闘で使用した場合に関しては
リーチなどは一切変化していないためほぼ初見殺し全振りの
フェイントスキルとして機能する
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