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第四回イベントのお知らせと不穏な影

注意:今回は1000文字程度で主人公の出番が終わり

気分が悪いと思われる描写が続きます。

読みたくない場合は次回の前書きで解説しますので

明日の投稿をお待ちください、一応今回はイベント予告回です

SROのイベント予告が来た。

今回はどうやら専用のエリアで戦い合うイベントのようで

私は参加しようかどうしようか迷っている。


「うーん…どうしたものか」


「どうしたんすか?フジカさん」


後ろからネロンスシが話しかられて振り返ると

何やらアイテムを取りに行っていたようで、

ぱっと見て手袋や膝のあたりが、目に見えて汚れていた。


「ネロンスシ君?いやぁ…次のイベントが発表されてたから

 出ようか迷ってて」


「えっ、どうしてっすか!?フジカさん強いですし

 次もトップで独走するんじゃないんですか?」


うん、多分ネロンスシ君の言う通り

私が出たら大体トップ独走とかは余裕だろうけど…


「最近頑張りすぎてるし…加えて運営さんへの負担とかも

 最近凄いみたいで私のせいで負担増やしたくないんだよね」


「あぁ…最近なんだかSROの批判が

 強くなってきてるんでしたっけ」


そう、最近SRO運営に対する批判というか

一方的な批評が活性化してきているのだ。

その理由というか、原因を作ったのが…


「…兄から聞いたんだけど、

 その批評の発端に私が関わってるらしくて」


「そうなんすか!?」


「うん、前回のイベントでエキシビションマッチの戦いで

 私だけ大勝ちしちゃったでしょ?」


それは良かった…というか相対的にまだ

良かった出来事のようなのだが、それを発端とした

出来事が問題なのだ。


「あれで私が運営とグルというか…

 情報を定期的に受け取ってるって

 根も葉もない話が出てきたんだよ。

 そこからなんだか不満とかがわんさか出てきて

 どんどん燃え上がっていって、

 いったん沈静化してたゲーム機側の批判も

 大きくなっちゃったらしくて。

 今出ちゃうとそういうの助長しちゃうなあと」


「…それなら、今回は仕方ないっすねえ」


ネロンスシ君は残念そうに肩を落とすのを見て申し訳なく思うが

…うん、楽しみにしていたようで申し訳ないのだが

今回はおとなしくしていようと思う。


「今回は何にもなく終わってほしいねえ…」


どうにも不穏な雰囲気が漂っていて、私は

無事に終わってほしいという思いでいっぱいなのだった。


◆◆◆◆◆◆◆



「SROプレイヤーの皆様、いつも

 SROをプレイしていただきありがとうございます。

 このたび、第四回イベント「チョコレート・スティールファイト」

 を2月14日から開催予定と告知しておりましたが、

 様々な問題から内容を変更して生産職支援イベント

 「チョコレート・クリエイター!」を開催することに決定しました」


「はぁ?」


男は怒りを露わにした声を上げながら

PCに出てきたその画面を見た。


SROではジェイスを名乗っていたその男は、

第三回イベントの一件で一か月凍結されたのちに

復帰したものの…


他プレイヤーに表示されるステータスに

凍結が行われたことを示唆するマークが付き、

プレイヤーとのアイテム取引や

野良のパーティーを組むといった行為はもちろん

NPCとの交流ですら凍結マークが及ぼす効果によって

非常に…場合によってはプレイヤーとの取引よりも

行いづらくなってしまった。


それに苛立ってか問題行動もさらに重ねられ、

次の凍結通告が来た場合には半年間の凍結もあり得る

ところまで、男は落ちていた。


「チッ、ッチ、ッチィ!

 なんでだよ、次も戦闘イベでいいじゃねえか!?

 せっかくこっちがデータども(NPC)から

 割高なのに回復アイテムもわんさか集めて!

 雑魚を周回してガチャって装備も整えて!その仕打ちにこれかよ、

 わざわざ後ろに籠って俺みたいな奴が

 ちまちま集めた素材をぶんどって金まで要求してくる

 クソ(生産職)どもにもっと頭を下げろだ?ふざけんじゃねえ!」


それらの原因が自らの招いたことであるとは

欠片も思っていない男は、以前からかなりの悪名を世に轟かせていた。


とあるモンスターを育成するゲームでは、

一時通信環境でとある致命的ともいえるバグが発生した際に

そのバグを悪用して相手のアイテムやモンスターを奪った。


またとあるオンラインシューティングゲームでは

煽り行為といった迷惑行為を率先して行い

相手の動きが悪ければ処理落ち狙いで行動することも少なくない。


そしてSROのようなMMORPGを以前プレイした際は

すべてのゲームにおいてMPK、PKによるアイテム略奪を行い

持ち前の話術を用いて恐喝じみたアイテム交換を迫るなどしており

全てのゲームにおいて明確な悪質行為を行って遊んでいた。


男はこれらすべてのゲームから

アカウント凍結やオンラインプレイの制限等の警告を

受けながらも、飽きたと感じるまでそのゲームをプレイし続けた。


「クソクソクソ!これも全部あの女どものせいだ!」


男はゲームを遊ぶことが趣味であるが

一般的な「ストーリーを楽しむ」「ゲームシステムを楽しむ」

「他人との交流を楽しむ」といった楽しみ方ではなく、

ゲームで悪質行為に手を染めることを趣味としている。


この男はしてはいけない、するべきではない暗黙の了解などを

壊すことが何よりも好んでおり、その快楽を

コンスタントに楽しむことができるゲームは彼にとって

非常に容易に手に入るおもちゃだったのだ。


しかし、現状はどうだろう?

SROはその話題性から悪質な行為に対し強い規制を敷いており

確認から通報、そして罰則付与までの手続きが非常に速い。

その上SRO以前のオンラインゲームなどで

それまで存在しなかった、できなかった不正の現場での確認なども

可能にしている。


悪質行為への対策は万全であり、

火急速やかに行われるがために男は

言い逃れることも、責任を押し付けることも

相手の指摘する不正行為をなかったことにすることもできずに

罰則を重ねられ、ついにはプレイすら不可能になりかけている。


その責任を、男は今その始まりとなった人物たちに向けていた。


「なんなんだよあの女、不正してんのは明らかなのに

 運営とグルだからって許されてやがるし

 助けに来た奴らも身内誘ってさんざん通報してんのに

 一切対応がねえ。どういうことなんだよ、ふざけんなぁ!!」


そう言って男は机を叩き壊す勢いでこぶしを叩きつけ、

的外れな不安を吐き出す。


男は一度凍結されてから、SNSにSROに対する批判や

フジカたちに対する誹謗中傷を積極的に行っていた。


最初の批判からいくつかは的を射ておらず、

相手にされてもいなかったものであったが

「フジカは運営の手先で、情報や有用なアイテムを受け取りながら

SROのトッププレイヤーに立ちゲームの進行度を操作している」

と発言したものが話題を呼び、推測や憶測に加えて

SROそのものに懐疑的だった人々の耳に届き

現在の炎上は引き起こされていた。


「擁護してる連中もよぉ!なーにがレベル100ならできるだぁ!?

 数値上でそうだとしても今の上位陣が50ちょいなのにその倍?

 冗談も休み休み言え、そんなレベルだったらチートも疑えや!」


相手を叩くためにあらゆる点で粗探しを行うのも得意な彼は、

そんな荒唐無稽にも思える情報にすら嚙みついた。


彼の中にはそれが正答であるという考えは欠片も存在せず

あるはずのない、出来るはずのないチートをの存在を確信していた。


事実彼の発言を肯定する意見は擁護派にも多数存在するのだが…

チートについては否定的で運営の回し者として

チートではなく経験値上昇などのアシストを受けているというのが

現在の主論となっている。


「…そうだ、そうしちまえばいい」


そんな彼の脳内に、彼女を陥れるための妙案が思い浮かぶ。


「あの女に決闘を申し込んで…ボコボコにしてやりゃあいいんだ」


SROの決闘というシステムにはハンディを付ける機能が存在し

両者のレベルとステータスを合わせるものや、相手のみに

制限をかけるようなルールも存在する。


「そうじゃねえか、あいつに疑惑を晴らす手段を与えて…

 その上で俺があいつをボコボコにすれば万々歳じゃねえか」


あいつが負ければ、この騒動は野次馬が確信をもって

さらに燃え上がりSROというゲームそのものが崩壊するだろう。

俺が負けたら…間違いなくそんなことはないだろうが、

今回の疑惑を完全にはらしたうえで俺が…


「いいや、そんなわけねえし。

 圧倒的に強い俺があいつをボコボコに転がして勝つ、

 それが今度起こることだ」


そう思った俺は、今回の炎上でSNS上に新しく獲得した

仲間たちへあの女が断れない状況になるようにするための

協力を持ちかけるダイレクトメールを投げ始めるのだった。


チョコレートクリエイター

特定の地域にいるモンスターを倒すことで

手に入るアイテムを生産職のプレイヤーかNPCに渡して

専用アイテム「親愛のチョコレート」を作成、入手して

その数を競おう!というイベント。


バレンタイン企画で最後の二択まで残ったイベントだが

スティールファイトの方がエンタメ性が高く採用された。

…ものの、炎上した影響で戦闘イベントの開催が不安視され

もう一度審議が行われて採用された。


炎上理由まとめ

ジェイス「主人公強すぎ!運営とつながってるだろ、

運営と繋がってる奴が実質一位の立場にいるのおかしいだろ!?」

一部野次馬「そうだそうだー!」

SRO批判派「やっぱSROは運営からクソじゃん、ってことは

       俺たちに開示されてない情報(存在しない)あるやんけ?

       この機に乗じて吐かせようぜ」

凍結

五回までセーフでそれ以降は永久凍結となる

凍結が行われた場合は凍結マークが付き、

NPCとの交流にマイナス補正が付く。


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