ミソラとマシェルさん③
マシェルさんとミソラ回はこれで終わりです、
今回割と書いてて楽しかった
お風呂から戻って、置き忘れていた上着を取りに
私は自室へ向かっていた。
マシェルさんはうまくやってくれただろうか。
最悪事態の解決はできずとも、何か知っている様子だったが…
そんなことを考えても仕方ないなと思い
私は自室のドアを開けて…
「ぎゃっ!?」
中に入ると同時に何かに縛り付けられて、
これは拘束だけに特化した薬品無し使用の奴!?
誰が…?と、思ったものの。
「あれ、ミソラ?」
私のお腹に、ミソラの頭が押し付けられており
ぐりぐりと押し付けられていてちょっと痛い。
「うぅ~」
私が気付くと同時に押し付けるために組まれていた手が離れ、
片手で私の手を掴んで自分の頭の上に持っていくミソラ。
「…撫でてほしいの?」
「…ぅん」
小さく頷き小さな声で肯定を返すミソラ。
私は断ってからちょっと移動してベッドに座って、
ゆったりと頭を撫で始める。
「どうしたの、今日は?いつも言ってるけど
何かあったら本当に相談してくれたらできる範囲内で
なんでもするけど」
「最近…戦うときに呼んでくれないですよね」
「うん」
確かに最近ファルばかり呼んでいたし、効率を少しでも
下げようと私と他一人、といった感じで進めたりした。
「ほめてくれないし」
「うん」
「なでてもくれない」
「うん」
確かに最近呼んでいないし、いつも一緒にいるせいか
褒める回数は前より減っていたし
褒めるときに撫でるのが習慣だったので最近は撫でたりするのも
少なくなってきていた気がする。
「さみしいのに一緒にいてくれない」
「さみしかったの?」
「前からファルにばっかりかまってて
あっちでは私にいっぱいかまってくれてたのに
最近は構ってくれないからぁ…!」
涙声になっているミソラに、私は優しく声をかけて
ゆっくりと頭を撫で続ける。
「…ごめんねえ。確かに最近は構ってあげられなかったね」
「だから今日は悪い子になるんですー!」
いつものファルからは絶対聞けないような言葉に、
私はちょっと困ったような顔を浮かべる。
「へえ、どんなことするの?」
「まずはー、洗濯もの散らかす!」
「えぇ…ちょっとやめてほしいなぁ」
「ご主人の布団に、じゃんけん無しで潜り込む!」
「ファルが一番怒りそうなことだ…悪い子だね」
「うん!まだまだもっともーっとやるよ!」
悪い子ではあるが、何ともかわいらしい程度のいたずらで
このくらいであれば何ともないだろうと思わせられてしまう。
「ふふ…明日お休みだから、
明日なーんでもいう事聞いてあげるから。
今は撫でるのと寝るのだけで我慢してくれないかな?」
「…今日はそれで許します、だから…もっとなでてー!」
「おぉ~かわいい奴め~!」
わしゃわしゃと髪を撫でると
ミソラは気持ちよさそうに目を閉じる。
そこからしばらくの間、準備を済ませて
寝るまでのあいだ、ずっとミソラに引っ付かれて
撫でたり、抱き着き返したりしていたのだった。
「明日は、もっと遊んでくださいねー…」
「もちろんだよ。約束したし…いつも頑張ってくれてるしね」
ファルのお願いよりも優しいものだろうし、
頑張れば達成できるものだろうと思いながら
私は眠りにつくのだった。
◆◆◆◆◆◆◆
次の日の朝。私、不破優月は眠い目を擦って
頑張って朝の活動を開始していた。
昨日の夜は最高だった。
私の高性能な耳は二人の会話を聞き漏らすことなく
反芻することが可能なほどまでにしっかり記憶している。
その興奮のまま作業へ向かえば最高のコンディションを保って
最近の中でもかなり速いペースで作業は進み
終わった作業を作業所のアシスタントさんの方に
本来昨日終わらせるはずだった作業と今日の作業と共に
送り終えることができた。
「うんうん、仲良しが一番。仲違いと相互に恨み合うのは解釈違い」
そういう作品に需要があるのは理解できるし
たまーに私のSNSにそう言った作品を望む声が来ることもある。
だが個人的にはその手の作品は苦手だし、
何よりそう言う作品をかいてもキャラを愛せないので
私はコミカライズなどで描く場合以外はそういった作品は
書きたくないと思っている。
…まあ、なんだかんだ昨日の一件で疲れてしまったのか
まだ起きてきていないようで、お料理中のお姉さんに頼まれて
私は永華さんの自室に向かっていた。
「入りますよー」
一旦そう断って、私は扉を開き
目に飛び込んできた光景に思わず涙を流す。
「圧倒的感謝…必須栄養素がみるみる補充されていく…!」
永華ちゃんはまだ眠っているが…しかし、
ミソラちゃんはどうやら先に起きたようで
じっと永華の顔の一点を見つめながらちゅーをしようかと
迷っている姿がそこにあった。
「えっ、なんで、あ、時間!?」
私が思わず上げた声でバレてしまったようで、
ミソラちゃんの顔がゆでだこのように赤くなる。
SROの会社はどこまで人智の及ばぬ技術力を持っているのかと
愚考しかけるが、こんな光景を前にそんなことを考えるのは無粋だと
理性と本能で無理矢理思考を止める。
「こ、この件は内密に…!」
「大丈夫だいじょーぶ。焚きつけたのは私だし、
君たちを応援してるんだから私が言いふらすわけがないでしょーが」
そう言うと、明らかにほっとした表情で
胸をなでおろすミソラちゃん。
「んにゃ…あれ、もう朝…?」
私たちの声で目覚めたのか
永華さんは起き上がって周りを見渡し、
私を見つけて不思議そうな顔をする。
「あれ…どうしたんですか不破さん?」
「お姉さんに呼んできてほしいって言われてね。
時計を見てごらん」
そう言って私は部屋にある時計を探すが
やはり部屋の主の方が見つけるのが早いようで
時計の時間を見た永華さんは慌てた表情を浮かべる。
「え、寝坊しちゃった!?姉と料理したかったのにぃ…!!」
「うーん。君はいつもそんな感じなのかな?」
「そうですねー。永華はいつもこうです」
すこしはにかみながらもそう言うミソラちゃんに
慌てた永華さんはそれに対して少し怒ったように反論する。
「いつもは寝坊してませんよ!」
「寝坊してることを言ってるんじゃないよ?」
「そうですよー永華、永華はお姉さん大好きですねーって。
不破さんは言ってるですよ」
そう言うと、永華さんはほっとした表情をして
布団を直して起き上がる。
「当然ですよ、銀河一可愛い私の姉さんですよ?」
「ふふ…そういうのはミソラちゃんに言ってあげてよ。
私はそっちの方が大好きだから」
口角が凄い上がっているのを感じるが…
でも、本当のことなのだから仕方ない。
「そうですよー、今日は私に目いっぱい構ってください」
「え、ミソラ…!?」
攻め攻めなミソラちゃんに動揺しているのかすこし及び腰になる
永華さんに、私は一つアドバイスをする。
「永華さん、ミソラちゃんは頑張り屋さんだから
気付かない内に疲れをため込んじゃうこともあると思うんだ。
だから永華さんがこまめに、ちょっとだけでも気にかけてあげて」
「…なるほど」
そう言って永華さんは少し微笑みながら、私に続けていう。
「アドバイスありがとうございます。それじゃあ、
早く準備して料理を手伝いに行きましょうか。
多分あと一分くらいでミスが一つくらい見つかって
呼ばれちゃうかもしれないので」
「…君のお姉さんに対するその異常な勘はなんなんだろうね」
「妹ですもん、当然です」
最後にそんな一言を聞いて、着替えを始めるからと
私は部屋を追い出される。
「はは…最高だなあ」
うん、やはりミソフジは至高。フジミソでも良いが
どちらにせよ私はあの二人に仲良くしていてほしいと
心の底から思うのだった。
ミソラとは撫でてあげたり抱き着いたり
比較的近い距離で過ごしていた模様。
ボードゲームも多少やったものの、途中で
参加した姉が半泣きになり始めた時点でお開きになった。
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