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ミソラとマシェルさん②

前回の続きです。

しばらくして、晩御飯の時間になったのでみんなにリクエストを

聞いてオムライスを…ミソラと一緒に作っていて

今私が卵を盛り付けて完成したところだ。


「…はい、どーぞ」


盛り付けた料理をミソラに持って行ってもらうと

不破さんはそれに対してすごい目で見た思う間もなくすぐに

口角が緩んでいき、ゆるゆるになってよだれも出てきた。


「…だ、大丈夫ですか?」


最高、もう(大丈夫、)死んでもいい(まだまだ)かもしれない(いける)


「まだ大丈夫ですね」


少なくとも言いたいことと心の中の言葉が

反転する程度であればまだまだ大丈夫だ、

もっとひどい時には一周回って冷静になって

しばらくしたら感情の濁流に呑まれて気絶するくらいに

なるので現状はむしろいい。


「美味しそうですね…」


「ありがとうございます。すぐに全員分持ってくるので待っててください」


「久しぶりだねー永華のオムライス楽しみだー♪」


「コフッ」


「ん?どうしたの藤川さん」


「いえ、持病なのでお気になさらず」


「え!大丈夫!?お薬いる?」


ほんろお(本当)にお()になさらず、

 …んく、数分で元に戻りますので」


そう言って取り出したハンカチで口を隠して

口の外に出かけた唾液と言葉を飲み込む藤川さん。

恐らくは「声がふわっとしててかわいい」

と言おうとしていたのだろうか?


「むぅ…」


最初がおかしかっただけでその後は

普通に談笑しながら晩御飯が進んでいき食べ終わって

食器を片付けることになった。


「片付けちゃっていいですか?」


「お願いします」


「おいしかった、ご馳走様」


「あ、私も手伝うよ!」


二人のお皿を姉と一緒に運んでいき

食器を洗おうとしたのだが、ミソラに肩を掴まれる。


「ご、永華。私がやるから、

 ファルが準備してたしお風呂入ってきたら?」


「…?わかった、ありがと」


どうしたのだろうか?ミソラの尻尾は

ブンブンと壊れないか心配になるほど左右に揺れているし

こちらをじっと見つめて離さない。


「どうかしたの?」


「つーん、気付かないなら教えてあげませんよーだ」


何かしてしまっただろうか…

うーん、今考えても分からないし

とりあえずお言葉に甘えてお風呂に行ってこようか。


洗い物をミソラに頼んで、お風呂へ向かおうと

ミソラに背を向けて歩き出そうとした瞬間、そういえば

洗剤の中身が切れていたので詰め替えをお願いしようと

振り返って話しかけようとするが…


「危ない!…せーふ」


「あ、ごめん」


ミソラがお皿の一つを落としてしまっていた。

何とか滑り込みセーフで拾えたが、いつもならしないミスに

何やら違和感を覚える。


「本当に大丈夫?ダメそうなら変わるし相談乗るよ」


「本当に大丈夫だから…!」


「永華さん、私が見守っておくから

 早く行ってきた方がいいと思う」


「不破さんが?ええと、どうしてですか?」


そんなやり取りをしていると、不破さんが後ろからそんなことを

提案してくる。本当にどうしたのだろうか?


「ちょっとお話したいことがあるのと、危なっかしいから。

 見ててミスを補佐するくらいなら私もできるし」


「わかりました。じゃあ、行ってきますね」


私はひとまず不破さんにお願いして

お風呂へ向かうのだった。


◆◆◆◆◆◆◆


「ふぅ…どうしたんだろう」


お風呂に入ったものの気になるのは先程のミソラの反応である。

いつも沢山頼っているし疲れが溜まってしまったのだろうか?

湯船に深くつかりながらも、私の脳内はミソラでいっぱいなのだった。



「ミソラちゃん。溜め込むのはよくないよ」


度々見つけてはご主人のもとに連れてきたり

手出ししないよう指示をされたりするマシェルさん…

こちらでは不破さんというのだったか?にそう言われる。


「貴方に何が分かるんですか?」


本当に、ただ見ていただけの人が何を言うのか。

私の不満なんて私しか知っているわけが…


「匂い、足りないんでしょ」


「!?」


思わず横を向いてしまうが

食器は先程と違って落としてはいない。


藤川さんなる人もお姉さんと作業部屋に向かってこの場におらず

私と不破さんだけがこの場に残っている。


「な、なんで…!?」


「あと頼られて褒められるのも足りてない、

 最近永華さんもなんでかレベル上げにフィールドに

 出る機会が減ってるし最近ファルちゃんの方が頼られることも多い」


確かに最近戦闘は減っているし、

ファルの方がなんだか呼ばれる機会も多い。

この前の泥の化け物と戦うときもファルを先に出していて

なんとなくもやもやしたのを覚えていた。


「えっ、どうして、なんで?」


「…さっき君が考えていたであろう通りだよ。

 君たちをいつも見ていたから…仕草に態度、雰囲気に口調

 尻尾と耳の動きで分かるよ」


「え、怖い。どうしてそんなに見てるんですか?」


本当に。確かに不満をあらわにしていたかもしれないが

基本的に鋭いご主人の目を欺けているので大丈夫だと思っていた。


「来た時から言ってるでしょ?推しカプ、

 つまり君たちが仲良くしてくれるのを見るのが好きなの。

 だからそんな不仲の原因になりそうなことを取り除くのは当たり前」


「…どうすればいいんですか?」


そう言って私は目の前の彼女に問いかける。

確かに言われたことは図星であるものの、現状を変えようがなく

私にはどうしようもないものなのだ…


「ミソラちゃんはね、もっとわがままでいいと思うよ」


「わがまま?」


「そう、わがまま。流石にファルちゃんみたいなのはやりすぎだけど」


わがまま…具体的にイメージできない。


「ミソラちゃんは頑張り屋さんだから、

 褒められるのが好きだし安心する人の近くにいるのは

 気持ちいいんだと思う。でも最近できなかったんでしょ?

 なら、自分のしたいことをしたいようにしてもいいと思うよ」


「でも、迷惑なんじゃ…?」


私はご主人の同族ではないし、

場合によってはいらない子になるかもしれない。


「さっきも言ったけど君は頑張り屋さんだから。

 いつも頑張ってる分、ちょっとだけ悪い子になってもいいと思うんだ」


人差し指を立てて少しにやっと

悪い笑顔を浮かべた不破さんは、

何かを思い出すようにうれしそうだった。


「悪い子に…」


「そうそう、私の友達もね。頑張りすぎちゃって

 お休みの仕方が分からないし、お休みしたくてもできない

 時もあるんだ。だから君みたいな子へのアドバイスも

 その子と似たようなアドバイスにはなっちゃうけど…

 参考になったかな?」


…なるほど、なるほどなるほど。

私は不破さんに感謝を伝えて、

言われたとおりに悪い子になってやろうと

ちょっと仕込みをしにご主人の部屋へ向かうのだった。



ミソラは最近のファルの大活躍にちょっと不満げだった模様

次回で終わる予定?です

マシェルさん「(今回の一件を話して)君たち似たもの同士だねー」

担当さん「今度覚えておいてね(ボールペンをへし折りかける)」


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