りゅうこあいうつ
今日はちょっと短め、これにて
「ウタハヒビキ、リュウコアイウツ」編は終了となります。
「大体…わかんない!アル君が教えてくれたりして
わかりやすい説明だったかもしれないんですけど、
私にはわかりません!!」
「堂々と言うことじゃないと思うよ…」
アルジェン君の想い人?らしき子のパラムちゃんはそう言って
考えすぎて疲れた、もう無理といった表情で地面に倒れる。
「…はぁ、一度戻すか。一旦『内包』」
そうニールさんが言うと、再び体が闇に包まれて
体がアルジェン君の姿へと戻る。
「あーっ!俺の体でッ…すみません」
「大丈夫だよアルジェン君、私もその気持ちわかるよ…」
理不尽に理不尽な行いを責められるつらさは
こちらもよく知っている。
「すまねえが名前も知らねえあんたに同情されても―
いや、すまねえ。気が立ってた」
「…そういえば、確かに私は名乗ってないね」
こちらは一方的に記録を見て知っているだけで
アルジェン君に私の名前は教えていなかった。
というわけで、私は落下した時についた砂埃を払って
自己紹介をする。
「魔女のフジカ、よろしくね。アルジェン君」
「魔女?にしては、
あんたに従う召喚獣の類が随分といる見てえだが」
「あはは…色々あったんだよ」
その一言から元はテイマーだったあの頃を思い出すが
姉とのレベリングやリーズヴァルトさんとの戦いを経て
私のステータスはこのようになっていた。
ネーム『フジカ』
Lv109
職業:竜友の魔女
副職:中級鍛冶師
副職2:二代目竜姫
SP:50
HP4500/18000
MP2000/37500
STR:700
VIT:300
DEX:200
AGI:600
INT:400
〈スキル〉
〈テイム〉〈十三の祝福〉〈高速回避術〉〈緩急の心得〉
〈高速駆動〉〈殺意〉〈魅了の歌声〉〈武具整備〉
〈短縮詠唱〉〈生存本能〉〈採集技術〉〈変装技術〉
〈発狂加速〉〈発狂剰撃〉〈竜姫武術:熟達〉〈協力攻撃〉
〈必殺撃〉〈強化魔法〉〈疑竜魔法〉〈疑獣魔法〉〈従魔融合〉
〈高速換装〉〈登攀技術〉〈悪路踏破の心得〉
〈真友讃歌〉
運営さんからの苦言を受けて最近はペースを落としてはいるのだが
今のレベルはこのような感じになっている。
称号はもう取り過ぎて相当下にスクロールしないと
全部見られないので、存在を認識できていないものもある上
アップデートで称号についてくるスキルは何やら本になって
持ち物に入ることになるらしく
それらを使っていないので現状のスキルの数はさほど変わっていない。
「…申し訳ないのですが、あれはどういう事でしょうか竜王様」
「見て感じたとおりだが」
動転に動転を重ねまくって目が死ぬどころか
生き生きと泳ぎ出したアルジェン君は、先程までの冷静な態度とは
一転して初恋相手との関係を友人に揶揄されたような…
所詮本命に対して素直になれない男の子に変わってしまった。
「これ、何とかする方法がありますか…?」
「あるにはあるが…お前の体をその娘に渡すか、
もしくはその童に幽霊の姿で生活してもらうことになるが?」
「大丈夫ですハイ!親友を甦らしてくれてありがとうございます!!」
なんだか幽霊という言葉に過剰反応しているようだが…
何かあったのだろうか、と思いつつも
次のニールさんの一言に目を剥くことになる。
「あ、そう言えば小娘、そいつを監視役として付けるから
早く召喚獣にしてしまえ。腹の刻印に触れれば契約完了だ」
「「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!??!??!?」」
どういうことだ、アルジェン君&パラムちゃんを召喚獣として
仲間に加えると!?
「ちょちょちょっと待ってくださいよ!俺の意思は!?」
「復活させてやっただろう、対価なしと思っていたのか?
ほぼ蘇生魔術に近いものをかけてやったというのに」
「うぐっ、だ、だけど…!」
「私の考えも聞いてくれてませんよね!?」
「元々貴様のポカが原因だ、我が見えない地でも
こいつがいれば刻印を中継して監視ができるしな、監視役だ」
ダメだ、理屈は正しくても心が同意を拒んでしまう。
仲間になってくれるのはうれしいが、これは、これは違う…!
「うぅ…しゃーない、触れ」
「アルジェン君!?本当にいいの??」
「そんなこと言っても相手は竜王だぞ!?竜王に逆らったら
どうなるか分かんねえ、しかも相手に借りがありと
断れない要素で役満だ!さあやれ!俺の気が変わらないうちにな!!」
そう言って覚悟を決めてお腹をこちらに差し出すアルジェン君。
…本当にいいのか、疑念を持ちつつも私はお腹に触れようとするが…
「だめー!!アル君は私のなんですぅー!
あなたのものじゃありませーん!!」
体が闇に包まれてパラムちゃんに変化し
私の手からお腹を守りだす。
「童…?話は聞いていただろう」
「召喚獣?っていうのはよくわかりませんが
アル君がこの女の人のものになるのは許せません!」
それを見て、私は感涙の涙を流す。
そうか…そうだったんだ、私は澄み渡った頭で
最高の発想を思いつく。
「うん…パラムちゃん、その気持ち私にもよくわかるよ」
「女の人はわかってますね!」
「…ならば、我が無理矢理でも」
私はそうなると完全に予測がついていて、
分かり切っていた結末に対してログアウトという手段を用いて
抵抗した。
「お幸せに、頑張ってね」
その一言が届いていたか届いていなかったかは私にはわからない。
でも、二人の未来が明るいものであると願う事だけは
願ってもいいのではないだろうか?
世界は暗転し、意識が覚醒しつつある中で私はそう思った。
その後のお話
主人公「ログイン (噴水広場に出る)」
ニール「待っていたぞ、早くやるのだ
(パラムちゃんの首根っこをつかみながら)」
パラム「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
主人公「パラムちゃん!?!?!?」
裏話
リュウコアイウツをカタカナにした理由としては
竜虎相搏つの元々の意味である強者との闘い、
及び相打つ(竜の一族と虎獣人の全滅)
愛鬱(愛憎劇が発端であったため)の三つの意味を
込めていたから、というものです
次回はシナリオ詳細を語る予定です、
実はかなり最初の方でルート分岐が存在したりする
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