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示せ、導きの歌とともに④

引き続き探索パート。

あと少しお知らせなのですが

今後前書きで文字数に触れる際には

2500字以下=ちょっと短め

2500以上3000未満=言及なし

3000字以上=ちょっと多め

と表記させていただきます。


今年もあとわずかですが、よいお年をお過ごしください。


村の案内を粗方終えると、事前にコンジキさんから

名前を聞いた少年…アルジェン君たちが戻ってくる。


なんだか満足そうな顔をしていた彼はこちらを見ると

苦汁を飲んだようなゆがんだ表情を浮かべて

後ろへ走り出せるように構えるものの…私が肩をつかんで

逃げ出せないようにする。


「げ、どうして今なのさ…!?」


「ほーう、サボり魔が戻ってきたか…

 ただ俺は心が広い。今日はこの二人に免じてお仕置きは許してやる」


「え、本当に!?二人ともありがとう!」


どうやら心変わりの要因が私たちのおかげだと思っているようで

お礼を言ってくるアルジェン君だったが、それに対して

コンジキさんは諫めるように言う。


「でも、俺もいつも言ってはいるが

 俺だって意地悪したくてやってるわけじゃないんだぜ?

 この世の中、あぶねえ魔物も人間も大量にいるんだからよ…」


「…分かってるよ。俺は弱いし、おじさんの気持ちもちゃんとわかってるよ」


「…そうかぁ?」


どうやら本当に信じていないようで

本気の困惑を尻尾と表情含めて両方で表現するコンジキさんに、

畳みかけるようにアルジェン君は言う。


「でも、俺だってここに来たばっかのころよりも間違いなく強くなってるんだ。

 …だから、もーちょっとだけ優しくしてくれない!?」


「ダメだが。というか強くなったならもっと量を増やして

 もっと強くなってもらうが?」


そう真顔で考えるような顔で言うコンジキさん。

あの顔から考えるに今後のトレーニングメニューについて考えているようで

それを見てアルジェン君は少し怯えたような顔をしながらも

すぐに真剣な表情を取り戻して言う。


「っだぁー!!なら時間を短くしてもらうだけでいいから、

 もうちょっと俺に自由な時間をくれないかな!?」


「…圧縮するとかその段階にはねえからな、

 単純にお前がまじめにやりゃあ時間は短くなるだろうよ?

 でもお前がそんなに必死に言うってことは今までなかったし

 どういう心境の変化だ?」


「…少し、やりたいことがあるんだ」


「やりたいことねぇ…危ねぇことじゃないだろうな」


「そんなことじゃないよ!怪しいと思うならこっちのお姉さんに

 ついて来てもらっても構わないよ!」


「…今日彼と行動した私も肯定します。

 彼がやっていることは別に危ないことではありません」


そう言ってファルを指さして共犯者に仕立て上げようとするアルジェン君に

ファルも肯定を返し、危険なことをしていないことをアピールする。


「わかった、あんたの連れの言う事ならまだ信用できるだろうしな…

 アルジェン、信用してやるが無理なことはするなよ?」


「…もちろん!ありがとうおじさん!」


そう言ってコンジキさんに抱き着き、感謝の意を示す

アルジェン君に、コンジキさんは柔らかな表情を浮かべて

優しく笑いかけるのだった。


◆◆◆◆◆◆◆


あれから数日後、祭当日の早朝。

時間については確認したが、ヒルデさんの記録を見た場所のように

いつもの数倍時間が加速しているようで

現実時間では一時間も経っていないようだ。


教えてもらった歌についてだが、しっかり歌えるようにしてきた。

教えてもらったコンジキさんからも褒めてもらえるほどまでに

練度を上げて、準備万端といった感じで祭りに臨むことができている

…が。


「アルジェーン!どこいったー!」


「アルジェンくーん!どこですかー!」


何があったのだろうか、昨日の時点ではいたはずの

アルジェン君がいなくなっていた。


そのうえ、ファルに確認してきてもらったが

いつも行っている場所にはいないという。


一応私もついて行って真偽を確認したがいなかったので

何かに巻き込まれたのかとこうやって探しているのだが

どうも見つからない。


そうして、日が少し上り始めたその時。


村の入口の方から爆発音が聞こえる。

ここに来た時のような、地面が爆ぜるような音ではなく…

村をかこっていた柵や敵への対策に掘られた深い堀など

堅牢に築かれたものが破壊され、砕け散る音だ。


「…くくくッ…くはははははは!!!!!!

 見よ、あの獣畜生共の阿鼻叫喚!協定など

 早くかなぐり捨ててしまえばよかったのだ!」


「確かになぁ、獣畜生共が喚いておるぞ?にゃあにゃあにゃあにゃあ

 うるさいなぁ…早く息の根を止めてやらにゃならんなぁ??」


燃え盛る村の周りに幾人かの巨大な爬虫類のような翼を持った

人…いや、人と認めたくないナニカが降り立つ。


「なっ…奴らは!」


そう叫ぶと同時に、背後からフルアさんが飛び出して

彼らに攻撃を加える。



「貴様ら…協定はどうした!祭中は手を出さない、

 100年は続く貴様らとの因縁と交わされた戦ごとについての

 協定、忘れたとは言わせんぞ!!」


私に向けたような怒りではなく、義憤を露わにして

ナニカに問いかけるフルアさん。何かはそれに対して

一瞬きょとんとした表情を浮かべたと思えば高笑いをして

こちらを嘲笑う。


「おうおう、畜生が喚いておるわ。兄さま、教えてやるがいい」


「我らは貴様らとの協定を破棄する。

 貴様ら獣畜生の小細工に乗る方がおかしかったのだ…

 我らの先祖は何を考えていたのか、正気を疑うなぁ妹さま?」


「本当になぁ?こんな獣畜生如きに敬意を払うなど…

 竜のすることではない、他の竜に馬鹿にされてしまうなぁ…?

 あぁそんなことをされる前にこいつらを根絶やしにしなければな」


そう言って、爪を、拳を、足を、翼を、牙を。

自らの武器を構え、フルアさんとナニカたちは交戦を始めようとするが…


「待て、フルアさん。あんただけじゃ分が悪い…俺もやる!

 旅人さんはアルジェンを探して一緒に逃げてくれ!」


「いえ!私も戦えます!」


私の能力は一切制限されておらず、いつも通りのフルスペックで戦える。

そう強く宣言するが、それを片手で制して彼は言う。


「わかってる!こんな時代で旅なんてしてんだ、相当強いんだろうよ!

 でもだからこそ、助かる可能性の高い俺たちよりも

 助かるかもわからないあいつを助けてくれ、

 俺たちはあいつらの相手に慣れてっからな…!」


そう言って、覚悟を決めたように私に背を向けて

ナニカに立ちむかうコンジキさんとフルアさん。


「…分かりました!ご武運を、死なないでくださいよ!」


「舐めるな、よそもん!俺たちゃ何年何十年も奴らと戦ってんだ…

 負けはしねえよ!」


その一言を聞いて、アルジェン君を探して私は走り出すのだった。


「生意気だなぁ、妹さま」


「奴らの悲鳴(うた)を開戦の狼煙として響かせてやろうぞ!」


◆◆◆◆◆◆◆


「ご…じ……ま!ご主……ま!ご主人様!」


ファルの声が響き、私は目を覚まして体を起こしてあたりを見渡す。

周りを見回すと最初に迷い込んだ洞窟のような場所に戻ってきていて

傍らには涙目のファルが私の体を触っていた。


ごずずんざばぁ(ご主人さまぁ)~!!!」


「…ごめんねファル、一回話しかけてくれたのにほとんど無視しちゃって」


「だいじょぶ…です。状況は何となく、察してたので」


【連続シナリオ「ウタハヒビキ、リュウコアイウツ」

 第一段階をクリアしました】

【続けて第二段階を開始します】

【呪いが体を蝕み始めました】

【現在加速中のゲーム内時間で

 約二か月以内にクリアできなかった場合、

 シナリオ失敗の上ステータス大幅半減、

 一部アイテム等の消失などのデメリットが生じます】

【第二段階開始及びタイムリミットの

 カウントを開始いたします】


「呪い…ね」


体を見回してみても、何もおかしな点はないが

今後影響が出始めるのだろうし、早く終わらせてしまおうと決意する。


「…状況は大体理解いたし(心を読み終わり)ました。

 どうなさいますか?」


「とりあえず、この道を通れるようにするよ」


「了解しました、物理で突破したいところですが…

 崩落の危険があるという事でしょう?」


「うん、早くこの岩をどかして…今の村を見に行こう」


そう言って私は祠の前、元々(過去)は道があった場所を

通れるようにするために岩の撤去を開始するのだった。

ちょこっと豆知識「竜の名前」

前提としてなっっっっっっがいほど弱く

短いほど強い。強くなるほどに名前を失っていくので

長い名前を持っている個体は年若い個体の判別方法とされていたりする。

なお、例としてニールさんの若いころ(名前が消える前とも言う)の名前は

「ファヴニール・ジークフリートブラッドレイン・シュバルツフェザー」

となっています


ブクマ、評価よろしくお願いします!

誤字脱字あれば報告お願いします。

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