踏み外せ一歩
ラブコメっぽい何かがあります。
次回からはSROになる…はず?
最近、幼馴染の藤野永華がよそよそしい。
クリスマスの夜に何かあったようで
その翌日の朝にはヘンタイと耳元でささやかれて
妙な扉を開きかけたりしたが…僕が一体何をしたっていうんだ…?
「…きみはじつにばかだな、おーさん。そんなんだから
告白できないんだよ」
「なにさ福音、君は何か知ってるの?」
福音に非常に馬鹿にする声と表情でそういわれるので
すこしむっとして言い返す。が、福音は続けてこう言った。
「あーんな大胆なことしちゃってー、このむっつりスケベめー」
「大胆なこと…?僕スプレーで眠らされて、
一度起きてからも眠くて廊下で倒れてからの記憶がないんだけど」
正確には永華さんに手を引かれ、布団の敷いてある部屋へ
向かおうとした瞬間から意識がないのだが。
なんだか最後にむにっとしたものに頭を打った気がしたが
何にぶつかったかすら記憶すらない。
「…え、じゃああんなこと寝ぼけてやってたの?」
「僕本当に何やってたの!?」
そこから福音にあの日の夜僕が何をしたのかを説明された。
僕は途中膝から崩れ落ちそうになるがなんとか話を聞き切るまで
立っていることに成功する。
「…ってことをしてた」
「僕は本当になんてことをしてるんだ…!?」
完全に寝ぼけてたとはいえ永華さんにそんなことを…!?
いきなり肩をつかんで抱き寄せただけに飽き足らず、
胸を揉みしだいたり変な声を出させたりとか
僕は何をしているんだ…!!
「どうしよう、どう謝ればいいんだ…!?」
「…致し方なし、幼馴染のピンチとあらば
この天使フクネエールが助けてあげよう…」
◆◆◆◆◆◆◆
放課後、ふーさんにある程度の事情を説明された上で
私とまーさんは運よく誰もいなかった屋上に訪れていた。
「ごめんなさい永華さん!」
「…いや、別に怒ってないよ。ちょっと恥ずかしかったから
顔合わせにくかっただけだし…それに逆に怒りたい相手が出てきたしね」
ふーさんが起きていた、その上で助けを無視したという事実を
知った今、私が怒らなければいけないのはふーさんの方である。
寝ぼけていたまーさんには一切非はないし、
そもそも私も眠くて頭が回りきっておらず
もっといい解決方法があったであろうにそれを無視して
足をつねるなんてことをしているのでおあいこ…
ではないが、それでも情状酌量の余地はある。
「いや、寝ぼけていたとはいえそんなことをして
許されちゃダメなんです。僕が納得できません、
その…幼馴染の友人として」
「…そっか。なら、これからすることを手伝ってもらうかな」
本人が納得できないならば仕方ない、
これからすることには人手が必要だろうし
協力してくれるのはありがたい。
「分かりました。僕は何をすれば?」
「これからあの寝たふりをして私を助けてくれなかった
ろくでなしをとっちめにいくからそれ手伝って」
「…え?」
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「まぁぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
こんの薄情者がぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
私は激怒した。必ずあの耳年増の幼馴染に
天誅を下さなければならぬと決意した。
私には、恋愛がわからぬ。私はただの姉好きの妹である。
姉の別荘で姉を愛して暮らしてきた。
けれども、幼馴染の悪戯心にはしっぺ返しを食らわしてやるという
思いは人一倍であった。
「ひゃぁぁぁぁぁぁ!!!おーさんが寝てるだなんて知らなかったんだよー!!
幼馴染の睦言に水差すほど私は落ちぶれてないんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「だったらなんで助けを無視したぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
睦言なら助けを求めるわけないでしょうが――――!!!」
「そういう、そういうプレイかなぁって!」
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
それは私にもまーさんにも失礼だ!
しかし、地と距離の利はあちらにあり
地形をうまく利用して逃げ回っているため
もうすぐ逃げ切られてしまいそうだ。
「へっへーん、ここで巻いてやるー!べろべろべー」
そう言って入り込もうとしているのは人通りの多い道で
下校途中というのもあり大分人がおり、そこに紛れるつもりのようだ。
「じゃあねーってわぷっ!?あ、ご、ごめんなさ」
勢いよく走り出すが、前にいた人にぶつかって
転んでしまう。しかし私が追いかけている手前
謝罪して走り出そうとするが…
腕をつかまれそこから羽交い絞めにされる。
「捕まえました!」
「でかしたまーさん!」
ふーさんが逃げる先を予見してまーさんを待機させていてよかった…
私の予想通りふーさんはこの道を選び、捕まえることができたのだから。
「なっ、仲直りさせてあげた恩を忘れたか!!」
「仲直りする必要のある出来事を生んだのは
ふーさんでしょーが!!!!」
「ごもっとも!!!」
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捕まえることに成功した私たちは姉の家にふーさんを連行し
椅子に縛り付けて尋問を開始する。
「…で、動機は?」
「助けない方が凄い面白そうだったから!!!」
情状酌量の余地なし、そう判断して私は
まーさんに頼みごとをする。
「よーしまーさん、冷蔵庫の中に中身が真っ赤なペットボトルが
あるからそれ取ってきて」
「わかりました!」
「ま、待って!?ままままさか真っ赤なペットボトルって…」
「どうだろうなー、ふーさんが次こんなことがあったら助けてくれるって
約束するんなら教えてあげるんだけどなー」
「助けるから!あれは、あれだけは許して!!」
「わかった、二杯飲むだけで許してあげよう」
「そんなこと言ってそのでっかいグラスは何さぁぁぁぁぁ!?」
「さあパパっと飲ませるよ…この特性しそジュースを!!」
私はまーさんから体形維持用に作って常備している
しそジュースを受け取り、とぽとぽとグラスに注ぎこむ。
「やだ、やだ!独特なにおいが鼻につく!!」
「へへへ…味の感想を聞こうと思ったのにこっそり
他の人に飲ませてることが分かって気づいたときは
本当に心に来ていたから飲ませられてよかったよ」
「え、あの時そんなことしてたんですか?」
「うん、問い詰めたら他の飲みたいって言ってた子に飲ませたって
言ってていつか飲ませてやると思いながら今まで
恨みをため込んでた」
上手くできたか分からなくて、みんなにおすそ分けした時
お持ち帰りするねーといって持って帰ってしまった時点で
その結末はわかり切っていた…が、それはそれとして
もう本当に心にきたのだ。
「うわー!うわー!助けてー!」
「私も助けてもらえなかったんだから
自分だけ助けてもらえると思うなー!!」
まずは一杯目、続けて間髪入れずに二杯目を口の中に運ぶと
蒼い顔をしながら早く飲み切ってしまおうと必死に飲み込んでいる。
最後の一滴まで飲ませ切ると、ふーさんは壊れたように
謝罪の言葉をつぶやき始めた。
「ごめんなさいもうしませんごめんなさいもうしません」
「ありがとうまーさん。これで、寝ぼけた件はチャラでいいよ」
「ありがとうございます…本当に申し訳ありませんでした」
「…辛気臭いのはなしだよ、ほら仲直りの握手でもしよっか」
そう言って手を握り…握り…
「あれ、どうしたんですか永華さん?」
握れない、あの夜の出来事が鮮明に頭の中に浮かび
抱き着かれている時の力強さがフラッシュバックして
顔が真っ赤になっている気がする。
「…ご、ごめん、後ろ向いてちょっと待っててくれないかな」
「…?はい、わかりました」
いやいやいや。どうしてこんな感じになってるんだろう?
まーさんはただの幼馴染で、優しい男の子で…
私にとって大切な友人だが他意はないはずだ。
そう理由をつけて私は深呼吸をしてからまーさんに声をかける。
「だいじょうぶ、ごめんね。振り返ってもらって大丈夫だから」
「…本当に大丈夫ですか?顔が真っ赤ですし、
どこか体調が悪いのでは」
パーソナルスペースをかなぐり捨て至近距離でこちらを見つめてくる
まーさんだが、近いちかいちかい!少し私より高い身長を
はっきりと認識してしまい顔がさらに赤くなる。
「だだだ大丈夫だよ!ほら握手握手!」
「は、はぁ。わかりました…ごめんなさい」
その後数分かかったもののなんとか仲直りの握手をして
ふーさんを解放してこの場は解散になった。
帰り際にふーさんが「まさか…あと一歩まで行ってる?」
とか言ってたが、どういう事だろうか?
またしそジュースを飲ませようと思いながら
この騒動は終わりを告げるのだった。
Qなんで永華はこんなにラブコメっぽい感じになってるの?
姉の一件から分かるようにこの主人公はギャップ萌えが
魂の底からの性癖なのでふにゃっとした雰囲気だったまーさんに
あそこまで力負けするとは思わず癖に刺さったせいです
しばらくしたら多分大丈夫にはなるけど、
その後の対応は間違いなく変わる
しそジュース
私の祖母が作ってたので覚えてたジュース。
なんか酸っぱい感じだったってだけ覚えている
調べたらなんかダイエット効果があるらしいと知った
ふーさん
こいつ、もしかしたらもう少し押したら堕ちるか…?
という思考が頭をよぎったがすぐに霧散した。
だって主人公翌日から(外面だけは完璧に)
平然を装うんだもの…
まーさん
単純に心配で近づいたら凄い慌てられた。
多分あの夜の出来事を思い出してしまったのだなと
気づいたのはその夜、申し訳なさでベッドで悶えた。
(好かれているとは思っていない、こいつら似た者同士か?)
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