リーズヴァルトさんの腕試し①
少し早めの投稿。後書きにお知らせがございます
「よし、ここからが社じゃ。すごいじゃろ、
ここまで全く建物があると分からんのではないか?」
少し歩いて進むとリーズヴァルトさんは立ち止まり
そんなことを言い出すが、目の前に広がっているのは
先程までと同じ岩山のごつごつとした光景が広がっており
何らかの技術…エストールさんのお城にかけられていた
身隠しの術なるものと同じものだろうか?
「ここになんかあんのか?」
「まあ見ればわかる。進んでみるがいい」
そう言って数歩進むと景色が切り替わる。
「おぉ…隠しエリア特有の水落ち感が」
「久々だなーこれ」
「おぉ、身隠しの術は見たことがあったか。
残念じゃのう」
大小さまざまな岩と砂が広がっていた光景から一転、
木々に溢れた場所の中央に鳥居と神社が建っていた。
「今度はちゃんと社だ…」
「む、おぬしはなんじゃその反応。
もしやエストールのところに行ったか?」
「エストールさんのことご存じなんですか?」
「ここに仕掛けてあるのはあやつの手製よ。
この世界に仕掛けられた身隠しの術はあやつが仕掛けたか、
他の妖精女王が仕掛けたか、自然に湧き出たか。
人工のものもあるようじゃがわしは理屈を知らんのよ」
「なるほど」
エストールさん以外にも似たような方が
いらっしゃるということだろうか。今度探してみようかな…
「まぁ御託はさておきとっととその鳥居をくぐるがいい。
腕試しは神社でやることではないしの、
ちょいとばかし移動してもらおう」
「おう、わかった」
「はい。了解いたしました」
「私も大丈夫です。皆、行きますよ」
「りょーかいご主人。足止めしちゃった分はしっかり働くよー」
「むむむむ…私のほうが強いと証明して見せますよご主人様!」
「いや、そんなに対抗心燃やさない方がいいよファル」
「先輩方はやる気満々ですね…!自分も頑張ります!」
それぞれの決意を固めながら鳥居をくぐり、
再び景色が移り変わる。
【イベント「竜主の腕試し」を開始します】
【イベントエリアへ移動します】
◆◆◆◆◆◆◆
鳥居をくぐると、円形の土俵のようなものと、周囲の四方に存在する
しめ縄の巻かれた岩が配置された謎の空間が広がっていた。
空は見えるが、岩より先が全く見えないので
多分ニールさんが使ったようなやつだと思う。
「ここは子らも使うような闘技場ゆえな、
暴れても大丈夫なように強度をしっかり確保せにゃならんし
厚めの結界を敷かなきゃならんのよ…その影響で外の世界が見えんし
不満なんじゃがのう…」
不満そうな表情でリーズヴァルトさんがそうぼやく。
だがそういいながら土俵の中央に向かい、手を地面につけ
魔法を使って案山子のような何かを一つ作りだす。
「これに一人一撃、ぶちかましとくれ。
おぬしらの実力を儂は知らんからのう、力試しじゃよ」
「ほーん、二人とも。俺から行くけどいいか?」
「どうぞー。私はちょっと使う魔法考えたいのでありがたいです」
「大丈夫ですよー」
「順番の話をせずとも、別にいくつか同時に
出せるからそれでも大丈夫じゃぞ」
「あ、そうなのか?」
結果順番関係なしに人数分の案山子もどきを出してもらい、
それぞれの一撃をぶちかます。
「ほぉー、全員かなりの手練れのようじゃ。
そうかそうか…ならば加減は必要ないかもしれんの」
そう言うと案山子を出した時と同様地面に手をつけ
地面を動かしたかと思ったら周りのしめ縄付きの石を
地面に沈める。すると、しめ縄の向こう側が見えるようになり
非常に広大な洞窟の姿があらわになる。
「はい?結界を破壊したんですか!?」
「ほほほ!サギには見せたことはなかったのう、
この土俵では全力を出すには狭すぎるのでなぁ…
これなら竜となっても平気じゃからのぉ!!」
そう言うとリーズヴァルトさんの周りの地面が体を覆い隠し
土の操作で巨大な山が生成されたと同時に破壊され、
巨大な竜が姿を現す。
変身したリーズヴァルトさんは大きなトカゲのようにも見える。
しかし、大きく自己主張する鹿のような角に
極めて堅牢な鉱物が何層にも重なったかのような鱗、
加えて翼はなくとも、前腕の鋭利で鋭い刃物のような
薄い刃の如き翼が主張する、これは竜であると。
「改めて名乗ろう、勇気ある者たちよ!
我が名はリーズヴァルト、地母竜が子、竜主として
貴殿らに試練をもたらさん!!」
地竜主リーズヴァルト Lv??? HP□□□□□□□□□(鉱鎧状態)
「レベル分かんねえ!?」
「いやそもそも鉱鎧状態って何ですか!?
特殊状態系でも聞いたことないんですが!」
『カカカッ!以前の奴らには土くれで作った像で
戦ってやったが貴殿らにはこちらの方がよかろう!!
行くぞぉ!!』
リーズヴァルトさんはこちらに向かって飛び、
前腕を慌てている二人のもとに振り下ろす。
「来ます!」
「うん、行くよみんな!」
とりあえず考えてもしょうがないので私はただ
相手と戦うことに集中することにする。
「【魔導伝承:竜姫】ッ!!」
青い焔とともに姿を変え、いつも通り変身が完了したと同時に
地面を強く踏みしめて振り下ろされた腕に向かって攻撃を放つ。
「【竜威之拳】!」
『避けるのは容易いが…受けるも一興!』
振り下ろした腕を二人のいない方向に置き、
私の攻撃をそのまま受けるリーズヴァルトさん。
威力を上げるスキルなどは使用せずに殴ったのだが…
「硬ったい!痛ったぁぁぁっい!!!」
なんで!?すごい金属を殴ったような痛みを感じる、
ガントレットしてるはずなのに!!
『カカカ、たかが人の全力でもない一撃なぞ痛くも痒くもないわ!』
「そうですか…ならこれはいかがでしょう!」
リーズヴァルトさんの背後でファルが何らかのスキルを
発動して、攻撃を加えようとしている。
「〈ドラゴンスマッシュ〉!」
「小娘よ…見逃すと思っておるのか?」
「なっ、ぐぁぁぁぁぁ!?」
尻尾で振り払い、よけたところを地面の操作で
追い打ちして再び尻尾の位置に戻して壁にたたきつける。
『ふん。他愛もない、同族だと警戒したがさすがに軽すぎるわ』
「残念ですが!」
ファルの声が聞こえ、リーズヴァルトさんの背中に
大きなドラゴンクローが生成される。
『なっ』
「さすがに人を舐め過ぎです!〈ラッシュクロウ〉!!」
『当たるか小童!』
しかし、咄嗟に地面を操作して攻撃を無力化し
その上で後ろ足でファルを突き飛ばす。
「っぐ、結構いたいですね…!」
『こちらもかなり危うかったがのう。
…そうか、振り払いの際に我のように案山子を作り
先に地面に逃げたか?なるほどのう、
さすがに弱いは言い過ぎたな』
「私だって竜なんですよ、ちょっとしたプライドくらいあります!
ってて。大声が体に響きますね…」
「ファル、頑張ったねー。そんじゃ次は私が行くよー」
『今度は猫か…はてさて、どんなもんかのぉ』
「私も協力しましょうミソラさん」
ミソラが戦う準備を整えるとアヤさんがそれに乗っかり
戦う準備を始め、それにミソラに対して礼をしつつ
ファルに対してお願いをする。
「お、ありがとーございまーす。ファル、連絡役お願いねー」
「ええ、私としてもちょっと喰らった一撃が辛いので
今は支援に回してもらえるのは非常にありがたいです。
アヤさん、私がミソラからしてほしいことを伝えるので
合わせていただけますか?」
「うんうん、大丈夫だよ。拘束とかいろいろ使うから
ほしいタイミングでちゃんと言ってね」
『話は終わったか?来るがいい、魔術師と猫よ!』
「んじゃ、行くよ」
ミソラは気合十分といった感じで
リーズヴァルトさんの方へ駆け出すのだった。
リーズヴァルトさんの竜形態はなんか
玉虫色の部分と銀色の部分の混じった鱗に
真っ黒い角が生えてる感じです
なんで今回リーズヴァルトさんの心読んでるような
描写がなかったかというと目のところにわっかを作るような
仕草をするのが心を読む条件だからです。
ファルは尻尾を上向きにすると読めるようになる
現状まだまだ舐めプできるな…って感じで手加減してる
リーズヴァルトさん。基本的な防御力は結構高め
そして最後にご報告ですが、リアルの事情で
明日からしばらくの間更新は難しくなりました。
少なくとも今年中には更新再開したいと思っておりますが
気長に待っていただけるとありがたいです。
ブクマ、評価よろしくお願いします。
誤字脱字あれば報告お願いします。




