それいけハイガラス組④
今週はこれで終わり。
ボス戦導入みたいな回です
「もう大丈夫そう?」
「はい、大丈夫ですよーご主人。ばっちり回復です」
呂律が回らなかっただけでさっきから大丈夫だったんですけどね、
と付け加えつつミソラは自分が元気だとアピールする。
「うし、じゃあ行くか。さっき言ったことは頭に入ってんな?」
「はい。エアリアル…エアリィさんも大丈夫ですか?」
「はい、グリム先輩のおかげで大分落ち着きましたし
作戦?も頭に入ってます」
妖精ちゃんたちの名前自体は決まっているのだが
呼んで名前を付ける前に今回のボス討伐の予定が入ったので
倒し終わり次第みんなに名前を付けるつもりだ。
うん、なのでエアリアル・ハーピィの名前を先に付けるのは
仕方ないのだ、二人から「お前早く名前付けろよ、
しなかったら分かってんだろうなぁ?」といった圧を込めた
視線を向けられたから仕方ない。
…本当に怖かった、
下手なホラーよりも酷く現実的な殺意に似た圧を食らったので
もう名前を付けるしか選択肢がなかったのだ。
「あそこらへんを越えたらボスのいる場所だ。
気引き締めていくぞ」
「はい!よろしくお願いしますビリビリ姉さん!」
「おう、進化してから初めての戦闘だ、気張ってけよ!」
「私もアシストしますから、気負い過ぎないようにしましょうね」
「ありがとうございます魔法使いさん!」
すごくフレンドリーなので最初の慌てまくってた様子が
嘘のように思えるが、よく見たら足が小刻みに震えているので
まだまだ慣れてはいないようだ。
流石に全裸のままはまずいのでエアリィくんには持っていた素材を使った
装備を着てもらっている。エアリィくんの要望で翼を動かすのに問題ない
Tシャツの亜種みたいな奴に半パンのような何かを着ているのだが
パッと見た感じだと悪ガキ感がすごい、
さっきの戦闘の弊害もあるかもしれないが…
「一応確認するが…相手は事前情報が正しければクソデカドラゴン、
名前にアースだかなんだかついててから土系の魔法とか使ってくる」
「あ、頂上の竜主様ですか?あのお方は確か…地に根付いた
種子の成長を促すような魔法をお使いになられる方だったような…」
「…よおし、思わんところからの情報だが確定だぁ!
とりあえずさっきその情報が欲しかったがしゃーない、
とりあえずそれを念頭に入れて戦うぞ!」
音頭を取ろうとしたセンジョウさんだったが、
エアリィくんがいきなり情報を出してきたので半ばやけくそに締める。
倒す前の記憶があるんだ…え、どのくらい残ってるんだろう?
気になった私は聞いてみることにした。
「えっと、エアリィくん?一つ聞きたいんだけど…
私たちと戦う前の記憶ってどのくらい残ってるの?」
「記憶に抜けはありませんよ?恐らくは
死んだ瞬間の記憶が消えたくらいであとは全部覚えていますとも!」
続けてエアリィ君は「まぁ覚えてたとしても
お腹爆発させられて痛いくらいの記憶しかないと思いますがねー」
と付け加える。いや、元凶私とはいえ心が痛い…
「有力な情報ありがとうございますエアリィさん。
お陰で勝ちやすくなりそうです」
「そんな、魔法使いさんとご主人様とビリビリ姉さん
の強さなら余裕で勝てますよ!」
アヤさんに褒められて頬を書きながら照れる。
すると、それと同時にセンジョウさんが指差した方向から
声が返ってくる。
「うーん何か不敬な一言が聞こえたぞぉ~?
サギ、おぬし何やっておるんじゃ?」
「ピィ!?りゅ、竜主さま!?」
声の主はだんだん近づいてきていてその姿が明らかになる。
人…と、いうよりはファルのような竜が
変身したようなものなのだろうか?
鹿の角のようなものがこめかみあたりから生え、
謎の紋様が書かれた布で顔を隠した
巫女のような格好の女性が歩いてくる。
「ぬ、なんじゃその姿。めんこいのう?
…あぁ負けて調伏されたのか。
主はそこの黒の竜王様の気配を漂わせているやつかの?」
布越しに見えているのか指でわっかを作ってこちらを見てくる。
黒の竜王…ニールさんだろうか?すると目の前の女性は
手をポンと叩いて明るい声で言う。
「おぉそうじゃそうじゃ、黒の竜王のニールの匂い。
儂も数か月前に会ったのう、何でも妻の魂を継ぐ者が現れたと」
「あー…なかよし、なんですか?」
「かっかっか!なかよしときたか!確かに我ら岩竜と黒竜の中は悪くない。
だが、たかが一山の主が竜王と対等とはいえんの、単に情報屋として
使われておるのよ、そこのサギのような奴らに情報を集めさせてな」
そう言ってエアリィを指差し、エアリィは…
怯えてはいないようだ、見知った仲なのだろうか
むしろ厄介ごとを見るような目で女性を見ている。
「…あいつら。そういうことかよ」
「センジョウさん、何かお気づきになられたのですか?」
センジョウさんが天を仰いで何かに気づいたようで、
それにアヤさんが反応する…が、それを気にせず女性は話し続ける。
「あぁ。そういえば名を名乗っていなかったな、
儂の名はリーズヴァルト。しがない竜主…まぁ
人間で言えば乳母のようなものよ」
「乳母さん…?」
竜主イコール乳母さん…どんな関係性?
よくわからないのだがどういうことだろうか。
「竜はな、種ごとの母から生まれ適した環境にいる竜主に
子を預けるのよ。竜の子育てはすぱるた、という奴で
下手に情を籠めないために我ら竜主に生まれからの子育てを任せる。
基本的に子の側としても楽だから人化の術はすぐに覚えてその状態で
育てるんじゃよ。我も最初は乳もやるしおしめも変えるが…
人間との違いがあるとすれば、竜は成長が早いから
半年もすればすぐにここを離れてしまうことかの」
「すごいですね…今は子供はいらっしゃるんですか?」
「いんや、今地母竜様はお休み中じゃ。
数年に一度5、6人産んでは休みを繰り返すのじゃが
ちょうど半年前に前回の最後の一人が巣立ったから今はおらんよ」
子供の竜…最初の方のファルのようなものだろうか?
少し見たかったのだが何とも惜しい。
「あいつらな、多分見え張ってウソついたんだよ。
魔法害獣が中ボスで次のクソ強いボスがいると思わせて
俺に褒めてもらいたかったんだろうな…」
「なら魔法害獣がボスになるという事ですか。
本当ならば確定ですね、でもあの竜主なる女性は…」
「多分スコアアタックとかの要素だろうよ、
その辺でごまかせる部分がないとあいつらはそんな嘘つかねえ」
「おぉ、そこの女子は腕試しかの?数日前に五、六人の人間が来たが
なかなかの腕じゃったの…お前らもその手の客か?」
「あー…どうする二人とも。俺としてはどっちでもいいぜ」
「私もいいですよ、どちらでも私は付き合います」
そう言うとセンジョウさんとアヤさんはこちらに意見を求めてくる。
うーん、せっかくここまで来たしやってみたいし
イエスで返答を返そう。
「はい。よろしくお願いします」
「応とも、ではついてくるがいい」
私たちはリーズヴァルトさんの後ろをついていき
腕試しの場へと向かうのだった。
アヤさん:クロオンに登場する主人公の弟の姿を
エアリィに重ねた。プレイ中の色々な記憶がよぎって
とても甘やかしたくなる
センジョウさん:幸薄感が性癖に刺さった、男のタイプとは
違うもののゲームキャラとしての好みは
刺さりに刺さったので機会があれば
貢ぎまくろうかなと思っている
ブクマ、評価よろしくお願いします!
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