それいけハイガラス組②
中ボス戦。次回も続く予定です
町からしばらく移動して、かなりの距離を歩いて
ボスがいるらしい大きな岩山を上っている。
件のボスは挑むために行く場所も面倒らしく
非常に分かりずらい上に足元が不安定な山の道を歩いている。
「うーんと、こっからこーいってこうのこう」
「こっからこういってこうのこう…ですか」
「いや、確かに言いたいことはわかりますが…
説明が雑過ぎませんかね」
今はなにやら浮いている石の上を進む順番を教えてもらっており
間違った石を踏むと落下してふもとからやり直しにさせられるらしい。
大体わかるのでいいと思うのだが、アヤさんは気になるようで
センジョウさんに雑ではないかと聞くと
それに対して確かに、と肯定しながらセンジョウさんは答える。
「でもよ、こういうのは雑な方がいいんじゃねーの?
ギルメンに指示する時は下手にしっかりとした指示すると
妙な動きになりかねねぇから
雑なくらいがちょうどいいと思うんだが…」
「あー…そうかぁ。
確かにそれなら雑に言ったほうがいいですね、
右から左、左横に行って左下とか言ってると
逆に悩む羽目になる奴ですね」
「だろー?俺はなんとか意地張って
それで覚えようとしたけど挫折した」
「考えてる間にごっちゃになるやつだ…すごく分かります。
数学の問題解いてる時とか本当に…」
長い時間勉強していると疲れてきて使う式がこんがらがって
式を書いたノートを見返すとよくわからないことに
なっているとかそう言う感じだろう。
「あー…確かに似てるな。今数学の問題解こうとするとなんで
解けたか分からん問題がいくつかあるんだよ、
練習用のノートでは解けてたのに今解こうとすると一切分からん」
「確かに、昔は難なく解けたのに今解こうとすると
解けない問題とかありますよね…先日その手の問題が出てくるゲーム
をしたのですが全く思い出せなくて2時間くらい
問題とにらめっこしてました」
ファルとグリムなら頂上まで飛べる、と思ったのだが
二人から「下向きの風が強すぎて飛べない」と言われたので
そのままここまで来た。二人含め召喚獣のみんなは落ちたら困るから
一旦石に戻ってもらっている。
「魔法さえ使えれば楽に行けるのに…!!」
「仕方ないだろ、ここ中ボスとボスしかモンスター出てこないんだから。
使おうと思ったのかもしれねぇが
戦闘中の魔法使いグリッチも最近修正されたらしいし」
「え、あれ修正されたんですか!?」
「魔法使いグリッチ…?」
センジョウさんの一言が記憶のどこかを掠める。
なんだろう、前兄がうっきうきで言っていた発言に
あったような…
「戦闘中は処理の関係で地形の変動が緩やかになるので
それを利用して移動系の魔法で突破困難な地形を
無理やり突破するバグスレスレの小技なんですが、
まさか修正されているとは…」
「ちょうど昨日通知来てたからしゃーねえよ、それに
グリッチ系はひとまとめに修正されたって出るからな。
その中でうちの魔法職が気付いてたまたま俺に連絡入れたから
知ってたけど即座に察するのは難しいって…」
「ぐぬぬ…楽だったんですがね、
修正されても仕方ないものであったので納得する気持ちと
運営に抗議したい気持ちが戦っている…」
「俺もいっぱいあるぜそんなの。
この前蹴り系のスキルで次の一撃の威力を上げるスキルと思って
使ってたら本来の効果と違ったらしくてな。
修正されたときはマジで驚いたよ」
二人は自分の使っていたグリッチ?の話をしているが、
私も似たようなことはあっただろうか、スキルでちょっと変わったこと、
変わったこと…変わったことなくない?
「私は…なんだかそういうのないですね。
この前運営さんにレベル上げすぎって愚痴こぼされた位でしょうか」
「それはそれでどうかと思うが…」
「修正する点がないにもかかわらずあの強さなんですか…?
レベル以外運営の想定内というのはやはりとんでもないというか」
「…話ぶった切って悪いが、次戦闘あるから準備しておいてくれよ。
誘ったボスじゃないが面倒な奴だ」
「分かりました。準備しておきます」
そんな雑談をしつつも浮石エリアを進み切り
大体山道の半分進んだところで。
山道の中央にでっかい鳥が座っており
それを見たセンジョウさんは凄く嫌な顔をして言う。
「あーあ、ランダムな中でいっちゃんめんどいのきた。
カマキリ鳥野郎がよ…」
「え、あれ鳥じゃないですか?」
鳥なのにカマキリとはどういう事だろうか?
「…もしかして魔法害獣シリーズですか?」
「ああそうだよ、他の奴らは大体ボスとかなのに
ここだけ中ボスだし他の奴らより倍ぐらいウザ強い」
「ヒェッ、カマキリってことは風ですかね…
炎蟻より面倒なんですか?」
「あいつはスリップダメージと視界がウザいけど
あいつは魔法で届きにくい位置まで飛ぶし早いし
魔法で無視できないダメージ与えてくるしで
ボスじゃないから判定どうなのか分からんけど
ほぼ十中八九魔法害獣シリーズだと思う」
「魔法害獣シリーズ…?」
この二人といるとよく知らない単語がポンポン出てくる…
多分ある程度周知されている情報なのだろうけど、
よくわからなくて二人の話についていけなくなる。
「あぁ、現状4、いや5種類だったか?
そんくらい見つかってる似たような基本的に害悪性能で
魔法使ってくるボスの名称だよ。
火の軍隊蟻に水のネズミに、雷のクモに…氷のイノシシと確か
土のモグラで害獣系統で固めてきてるから魔法使ってくる害獣で
魔法害獣シリーズ」
「魔法の属性を考えるとあと何体かいるっていう話なんですが
いつどこで出てくるか分からないので怖いんですよね…」
そんな会話をしていると魔法害獣はこちらに気づいたようで
甲高い叫び声をあげ翼を広げる。
「Qooooooooooooooo!!!!!!!!!!!!!」
「ひー!!!なんですかすっごい耳障りなこの高音!?」
「こういうのもあるから害獣なんだよ…ともかく行くぞ!!!
フジカは召喚獣出しとけ、ここなら飛べるからな!!!」
「了解しました!!この害獣を早急にボコボコにする!!」
そう言った瞬間に私はファルとグリムとミソラを呼び出して
戦闘態勢に入る。センジョウさんは紫色のガントレット、
アヤさんはシャンデリアみたいな結晶の杖を取り出して構え
害獣は空高く飛び立つ。
サギリアルウィンド Lv76 HP■■■■■■■■■(風障壁状態)
「飛ぶ前に仕留めればよかったのでは!?」
アヤさんがあたりに鳴り響く害獣の高音をかき消すように叫びながら
センジョウさんに問いかける。
「あいつ飛び立つまではほぼ無敵の耐性持ちなんだよ!
飛んだら耐性消えて落とせるけど早え!!」
「マジで害獣じゃないですか!!」
いや本当に。届かない場所から打たれるのに届かない場所から
落とせない敵とか怖いな…
そんな思考をしている中、ミソラはファルに向けて叫ぶ。
「ファル、いける!?」
「…確かに、それならば行けるでしょう!
わかりました。協力しましょうミソラ!」
私の心を読むようにミソラの心を読んだらしいファルは叫ぶ。
「〈竜の構え〉、〈刹那飛び〉、〈ドラゴンテイル〉!」
ファルは構えてから強く踏み込んで飛び、ドラゴンクローのような
オーラとともに爬虫類のような尾が出現し、それをミソラに向けて放つ。
「〈堅体術〉、〈白虎の構え〉、〈跳虎撃〉!」
ファルの尻尾に防御を固めて踏み込み、
高く飛んで害獣の肉体に蹴りを加える…が
風の壁らしきものに阻まれて吹き飛ばされる。
「グリム!」
「はいはーい!今行くよ!」
ファルが言うとミソラはグリムに頼み、
落ちてくるミソラを魔法を使って飛んで回収して戻ってくる。
「こわー!やっぱファルの一撃きくねぇ!」
戻ってきたミソラは地面に降り立つとファルの一撃が
相当怖かったようでかなり怯えた声を上げていた。
「アヤさん!縛れるか!?」
「わかりました!【オレンジチェイン】!」
アヤさんは絵の具で描かれたようなオレンジ色の鎖を出し、
翼を拘束しようと動く。
が、害獣はそれを避けて少し高度を下げて回避する。
あれより上に良ければいいだろうに下に避ける意味はあるのだろうか…?
「いよし!ぶちかます…【月兎充填】、【大跳躍】!」
センジョウさんは大きく跳び、ガントレットを構えて
害獣に一撃をぶちかまそうと振りかぶる。
「痺れて落ちろやこんちくしょうめぇ!!【伝雷一閃】!」
害獣の腹にセンジョウさんが電気を纏った一撃をぶち込むと
害獣は地上に堕ちてくる。
「全員ぶちかませぇ!!早くしないと面倒なことになるからなぁ!!」
センジョウさんが叫び、次の一撃の準備を始めると同時に
その一言に全員で頷き返答を返す。
「「「「了解!!」」」」
地面に落ちると同時に、私たちはいっせいに攻撃を開始するのだった。
サギリアルウィンド
モチーフはサギ。風で防御してるし一定時間ごとに範囲攻撃で
クソみたいな火力の攻撃をかまして来る。(しかも届きにくいはるか上空)
ある一定以上の空はなんか山の大将が出張ってくるので上がらず
その躊躇を狙えば一時的に落とせる。
空から撃ち落とすには風の防壁を破壊したうえで電撃とかで翼を使えない
状態にする必要がある。地上にいても風の障壁をさらに展開して
範囲攻撃乱打するし、翼折っても風魔法で代用するので
マジの畜生とされている
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