第二回戦、大盾対決
二回戦目です。明日は三回戦…と行きたいところですが
掲示板回の予定。
すごい文章量になってしまった…
あれからしばらくして同時並行して行われていた試合も
勝敗が決まり、二回戦目が始まろうとしていた時に
遅れてくると連絡があったネロンスシさんとフィムさんが到着する。
グヴァンさんがまだ来ていないが、何かあったのだろうか?
「間に合ったぁ~!!っし、ギリギリセーフっすよね?」
「遅くなりました。今のところどうでしょうか」
「本当にギリギリセーフだよー、早く座った座ったー」
二人が席に座ると同時に試合開始の宣言が行われ、
引き続きアルルちゃんの試合が始まる。
相手はうちのことを見ていたのか、だいぶ警戒して
間合いを広く保ちながらアルルちゃんの相手をしている。
「相手さんかなり避けるのうまいね、
全然じゃないけどアルルちゃんのほうがダメージ受けてる」
「かなり近づかないとさっきみたいな感じにはならないしね。
相手もそれがわかってるんだと思う」
重い一撃を何度も食らうからさっきのスピード決着が起こっただけであり
当てられたらすぐ避けるを実行すればダメージ量を減らすことが出来る。
故に相手はちまちま一撃を与えては逃げてダメージを稼ぎながら
体力を温存しているのだ。
なお、アルルちゃんもそれがわかっているので突撃して
ダメージを着々と与えてはいる。それよりもアルルちゃんのダメージが
多く、相手の勝ちが近づくように思われたが…
「でもあそこで終わらないのがアルルちゃんなんですよ」
突然対戦相手の人が転び、その隙を逃さないとばかりに
アルルちゃんが追撃を加える。
「おっ、決まったな。相手さん驚いてら」
「…足元に何か仕掛けてました?」
「あぁ、ライカの覚えてた妨害用の魔法を覚えたんだよ。
足元に草結びみたいな地味に嫌なトラップ仕込むんんだよな、
あの魔法」
そう、アルルちゃんはライカさんに手伝ってもらって
ライカさんの覚えていた魔法を習得した。
それがうまく決まり、一人目のHPを削りきることに成功し
一戦目はアルルちゃんの勝利となった。
私もあれを使われたときは本当にきつかった。
前回の仕返しと言わんばかりに絶妙なタイミングで
使われたので、妨害込みの茨縛りを使って四方八方に
攻撃しなければ割と負けが近かったかもしれない。
二人目の相手がフィールドに上がり、装備が明らかになる。
「次の対戦相手は大盾が武器…ですか?」
「そうみたいだね。アルルちゃんは割ときついかも」
「え、そうなの?あの感じだったら押し切れそうなものだけど」
トピアさんが驚いたような声を上げるが、
あの手の相手は防御が固い上に一撃一撃が重く、
HPも相当高いことが予想される。なので
重い攻撃をいくら当てたとて相手の方のHPが有利
なんてことも往々にあり得る。
第一試合の三人抜きは相手の防具が薄く、
インパクトに押されてそこまで避けられなかったこその勝利であり
防御がしっかりしていればこちらが完全に不利なのである。
「ありゃ確かに分が悪いかもな、あの素材だと
俺の作ったやつじゃ相手が固すぎてダメージが入りづらい」
「しかもお相手さんはそれを武器として大会に持ってくるってことは
使いこなしてると同義だ。こいつは難敵だぞ…」
ロルルアさんが相手の装備を分析し、
テットウさんさんがそれを補足する。
アルルちゃんの勝利を信じたいところではあるが…
相手が悪いので厳しいだろう。
「アルルちゃんの次はグヴァンさんだけど、
グヴァンさんも大盾だよね、大盾ってどう戦うんだろう?」
と、サクラが大盾についての疑問を口に出すと、
それにテットウさんが返答する
「大盾使いっつても種類があるんだよ。
お相手さんがどんな種類か分からん以上どうなるかもわからん」
「え、あれ種類あるんですか?」
ただ守りつつ質量で押しつぶすだけだと思うのだが…
大盾を使う以外にどんな戦略が…?
「分かりやすく言うと三つくらいある。
単にでかい盾で身を隠しつつでけえ攻撃をぶち当てるための
手段として大楯使うやつと、シンプルに重い素材を使って相手をボコす
脳筋なやつ、あとはガチャ産とかのギミック付きの大楯で大楯そのもの
を変形させて他の種類の武器として使うタイプもあるな」
色々あるな…お相手さんはどのタイプなのだろうか?
試合を見ていけば分かるだろうと、再び試合を集中してみてみると。
「変形タイプ、ってやつですかね?やっぱかっけぇですね、ああいうの」
「…まぁ、それ以外ではないでしょうね。
あれってMP消費でしょうか?魔法っぽいエフェクトが見えるのですが」
「ものによるな、MP消費するやつと体力消費のやつ、
どっちもメリットはあるがあれはMP消費のやつだったみてぇだな」
相手は大盾を大剣に変形させてアルルちゃんに手痛い一撃を加えていた。
それにネロンスシさんは目を輝かせながら相手の武器を見ていて、
フィムさんは魔法っぽい部分に興味津々といった感じで
テットウさんに質問し、テットウさんはそれに答えていた。
魔女というか魔法そのものに対する憧れもフィムさんにはあるのかもしれない。
そしてHPを大分減らされたアルルちゃんは
何とか巻き返そうとするも差は大きく、結局は負けてしまった。
「負けちゃった…」
「あと二戦ある以上完全にうちが負けたわけじゃありませんが、
相手もかなり強いですね…グヴァンさんは大丈夫なのでしょうか?」
「多分大丈夫だ」
と、後ろから声がかかったので振り返ってみると
グーフィーさんがそこに立っていた。
「遅くなってすまんな、仕事が長引いたんだ…
ちょうどグヴァンの試合が始まるみたいだな?」
「はい。相手も大盾使いで、変形型の盾を使うみたいで…」
「ならなおさらだ。あいつはそういうのに強いからな、
軽く叩き潰せると思うぜ」
自信満々にいうグーフィーさんを横目に試合が始まる。
相手は動かず、逆にグヴァンさんも動かずに機をうかがいあうが
先に動いたのは相手のほうで、大盾を先ほどのように大剣に変形させて
グヴァンさんに襲い掛かる…が、大盾で受け流したと思ったら
大盾を置き相手の腹に蹴りを加える。
相手は受け止めきれずに宙を舞い、その間にグヴァンさんは大盾を拾って
相手の方向にぶん投げて走りそのまま追いついて相手に叩きつける。
「すごいフィジカルだねー」
「あいつメイン武器があれなのたまに忘れるくらいには
動きが軽いんだよな…」
「ありゃ大盾ブラフに見せかけたメイン大盾戦法ってことか?
一度置いてメイン火力は蹴りとかのステゴロ
と見せかけて本当は大盾であってるみてぇな」
「そうだな、大体そんな感じだ」
ティタさんとグーフィーさん、テットウさんは試合を見ながら
そんな話をしているが…私もそう思う。
本当に身軽に動いているので模擬線の相手として戦った時、
食らった大盾の重さを忘れそうになるが…
グヴァンさんも大分スキルの使い方や防具や武器の組み合わせを
考えてあの動きを実現しているのだろうし、
すごい熱意でゲームをしているのだなと思う。
「わ、相手さんに何度も盾たたきつけてる。
あれはもうダメかなー」
「ヒールプレイってやつですかね?」
ティタさんとネロンスシさんはグヴァンさんの攻撃方法に
そんな感想を言っているが…
確かにヒールプレイ、としか言えない攻撃なのでその評価は正しい。
流石にあれはちょっと…
「否定したいけど、あれ有効そうね…」
「うーん、なんでお姉ちゃんに見せてくれないのさフジカー」
「仮にもお姉さんだよね…過保護じゃない?」
トピアさんはあれに対し強そうという感想を述べ
姉は目を覆う私の手を払おうと頑張っているが負けるものか…
あんなおぞましいもの見せてはいけない。
せすさんの言うことはもっともであるかもしれないが、
あんなのスプラッタ耐性がない姉に見せたら失神してしまう。
この前新居祝いで間違ってその手の映画を見たら失神していたので
この場の状況を見せたらまずいだろう…
と、そんなことを考えていると二人目のHPが尽き
グヴァンさんの勝利が確定する。
「すごいねえーさん…三人目の人怯えちゃってるよ」
「…気の毒だね」
あんな残虐ファイトされたらああもなるだろう。
三人目の人は恐怖からリタイアし、二戦目も突破することができたが
少なくとも今日の夜まではあの光景が
脳裏に焼き付いてしまうだろうと思った。
魔法を獲得する方法は三つあり、
・NPCから教わる(魔導伝承で獲得する場合もこれに該当する)
・ガチャで○○魔法の書というアイテムを獲得する
・ダンジョンに潜りボス討伐や宝箱などから獲得できる
○○魔法の巻というものを使用する
といったものになります。
ライカさんの獲得したものはダンジョン産のものだったため
一緒に攻略してアイテムを入手し、習得しました
大盾は割と素材変更の恩恵を大きく受けており
通常以上のサイズを作成したり軽量化及び重量化が可能になっています。
変形機構付き大盾はガチャ産またはボスのレアドロップに存在し
手裏剣みたいな使い方ができる風車や今回登場した大剣、
変わり種として魔法の矢を生み出す弓などが存在するようです。
変形機構についてはほかの武器種にも存在し
他の武器タイプだとアルルちゃんのように
プレイヤー作成可能な武器もありますが、大体ピーキーで
使いこなしにくいものとなっています
(弓から変形して大鎌、大剣から変形して双剣のようなものがある)
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