開始前の場外乱闘
今回の話はちょっと出すの怖い
(文章量は多いものの、ギャグゼロシリアスゼロのため)
掲示板回にあった喧嘩祭り云々のお話です
「受けろよ、オイ」
目の前でガラの悪い大柄な男が詰め寄ってきている。
開催式が終わり、ステージを出ると一旦控室に入る前にいた場所に
飛ばされたので会場まで急いでいたのだが…
その途中にこの男に絡まれてしまった。
正直言って早く観戦に行きたいが、先程から
決闘受けろ決闘受けろと初対面にもかかわらず詰め寄ってきていて
GMを呼ぼうとしているものの、邪魔されてできない。
今のところは地精ちゃんに頼んで近くにいるスタッフさんを
呼んでもらっているが…まだまだしばらくかかりそうだ。
「評判だけの雑魚がよ、どうせ雑魚いから俺の勝負受けねぇんだろ?
勝負受けねぇんだったら辞退しろよ辞退。
お前のエキシビションマッチ枠、俺に譲りな」
「…さっきから言っていますが、私より強いと思うのであれば
勝ち進んでエキシビションマッチで戦えばいいじゃないですか」
「屁理屈こねんじゃねぇよ!いーまーだーろ、今!
ここで受けろよ雑魚が!!」
さっきからこの調子で、話がちっとも進まない。
どうしようか…と思ったのだが、後ろから感情のこもっていない
冷え切った声が響く。
「あなた。そこでなにをされているんですか?」
声の主はアヤさんだった。
男が邪魔で顔は見えないが、怒っているようで
手に握っている杖に力が籠っているようだが…
「おん?…あんたは涙のフィナーレのギルドマスターか。
あんたもこんな雑魚がお仲間なんて嫌だろ?
だから辞退させて俺がその枠に収まってやろうってことよ」
「そうですか…」
大柄な男の発言を聞き切るか聞き切らないかというタイミングで
アヤさんは私の前に立ちはだかる。
「うぉ!?なんだよ、あんたこの雑魚の肩持つのかよ」
不機嫌そうにアヤさんのほうへ苦言を呈すが
アヤさんは怒りを込めながら男に返答する。
「お話にならないようですね、そもそも運営が
貴方が言うように有象無象の雑魚を呼ぶわけないんですよ。
運営がプレイデータを確認した上、その中でも強い人物を選んで
呼んだと思われるの妥当です。雑魚ならそもそも呼ばれないんですからね
貴方みたいに」
「あ?んだてめぇ、喧嘩売ってるみてぇだな…?」
「素寒貧の貴方に買える喧嘩なんてこれっぽっちもないのでは?
その貧しい心と足りない頭からどうにかひねり出した屁理屈と一緒に
喧嘩買ってやりますから売ってみなさい、売れるもんなら買いますよ」
「上等じゃねぇか後衛職、後ろからちまちま魔法打って
稼いだもん全部無駄にしてやっから覚悟しな」
すごい速度で罵倒が飛び交い、一触即発の雰囲気が漂い始めた…
が、ここでようやく地精ちゃんが帰ってきて、
私の肩に飛び乗ってそのままポカポカと叩く。
この状況で申し訳ないけど、すごい癒しを感じる…!
「フジカちゃんどうしたの、って思ったけど。
面倒なことに巻き込まれてるみたいだね~?」
「あぁ?んだてめぇ、部外者は黙ってろよ」
地精ちゃんが呼んできたのはティタさんだったようで
秒で事情を察してくれたのはありがたいが…
男は怒りの矛先をティタさんに変えたようだ、
ティタさんに掴みかかり怒りをぶつける。
「おいおいおい。こんな雑魚に喧嘩売っただけで
取り巻き二人からボコられるだぁ?おめえら卑怯だなぁ…」
「卑怯はどっちだボケが」
背後から声がしたと思ったら、センジョウさんがそこに立っていて
後ろにはギルドメンバーらしき二人が仁王立ちしていた。
その後ろにはいちゃもんを付けてきた男に似た
二~三人のプレイヤーが倒れていて、
ここに来るまでで倒してきたということが推測される。
「取り巻き数人周りに待機させといてよく言うぜ。
元より応じなかったらリンチするつもりだったんだろ」
「へっ、何のことかねぇ」
ヘラヘラしながらセンジョウさんにそう返すと
男は何かを地面にたたきつけると煙が発生し、周囲が煙で見えなくなる。
「とんずらさせてもらうぜ…うぉ!?」
「逃がすとお思いですか?」
しばらく辺りを漂い続けると思われた煙が一瞬で払われ、
晴れた視界には絵の具で描かれたような鎖に拘束された男の姿があった。
「さすがに逃がすわけはないんですよ、
このままGMコールして終わらせます」
「あ、それは大丈夫。私がやっておいたよー」
アヤさんが魔法で男を拘束している間に
ティタさんはGMコールを行ったようで、GMがこの場に
ゲートを通って出てくる。
「GMコールを受理いたしました。どのようなご用件でしょうか?」
「悪質行為の摘発です。フジカさんが会場へ向かう途中で
その進路を妨害、決闘を申し込み嫌がるフジカさんにしつこく
決闘を行うこと、そしてエキシビションマッチを辞退することを
強要。その上で仲裁に入った私たちにまでいちゃもんをつけてきました」
「わかりました。プレイヤーフジカ、発言に虚偽はありますでしょうか」
「ありませ――」
「虚偽だよ虚偽、全部虚偽だ。こいつら俺が気に入らねえからって
GM呼んで摘発しようとしてんの、こいつらの方をとっちめてくれよ」
私が肯定しようとすると、男が話に割って入り
私たちの発言を虚偽だとGMに反論する。
「本当ですか?」
「あぁ、道を聞こうとしたのにこいつら
俺のアイテム狙って集団で襲ってきやがったんだよ、
しばらく応じなかったらGM呼んであんたが出てきた」
化けの皮が厚過ぎやしないだろうか?
先程のオラついた態度はどこへやら、嘘をつきまくる男に
GMは冷静に回答する。
「わかりました。事実確認のため、この場での映像確認を行います」
「は?」
GMさんがそう言うと、メニューもどきに映像が流れ始め
先程の会話とともに男の行ったことが映し出される。
「確認の結果、プレイヤージェイスの虚偽申告及び
プレイヤーアヤの申請したGMコール;申請項目悪質行為の
正当性が証明されました。そして、プレイヤージェイスの
悪質行為に対する報告件数が4件を超えました。
アカウント1ヶ月凍結処分を実行いたします」
「な、待っ」
男は強制ログアウトされたようで、
光とともにこの場から消える。
GMさんは私たちにお辞儀をしてその場から離れようとするが、
その手前で立ち止まる。
「ご迷惑をおかけいたしました。時間の都合上
ここから会場まで進む途中で一回戦が始まってしまい
見逃してしまう恐れがありますので、こちらをお使いください。
会場観客席まで直通のゲートです、ご迷惑をおかけしたお詫びですので
遠慮なくお使いください」
そう言うとGMさんは飛び去って行き、ゲートだけが残される。
せっかくだしありがたく使わせてもらおうと
みんなでゲートに入り、会場の中で別れる。
「…つかれたね、地精ちゃん」
肩でまだ私の肩をたたいていた地精ちゃんを撫でる。
あんな面倒な人がいるんだな…気をつけなきゃ、と思いながら
私はみんなが待っている場所に急ぐのだった。
害悪プレイヤーもいるよ、というのが書きたかったけど
書く必要があったのかはいまだ疑問が残っている
ジェイスについて
二陣からSROを始め、
恐喝行為とかMPKとか色々マナー違反をやらかしていた
実力としては中の下、性格もカス過ぎてギルドメンバーも
集まらなかったので今回のイベントに参加できず
そのストレスを実力がエキシビションマッチ相手に選ばれた
他二人に対してそこまで明らかになっておらず
強いという噂だけの主人公に喧嘩売って発散しようとしていた
ブクマ、評価よろしくお願いします。
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