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閑話:地精ちゃんの冒険

予告通り地精ちゃん回。

明日はフィムさん回の予定

「おっはよ~!!」


(おはよー!)


私は双葉の地精、えーさん様の召喚獣だ。

私は妖精さんたちに倣って身振り手振りでえーさん様に挨拶する。


久しぶりの出番に、ついウキウキしてしまっているが

気を引き締めなければいけないと心の中で思う。


何せまだまだほかのみんなに比べて戦っていないので

そんなに強くないのだ。


えーさん様に迷惑はかけられないので

頑張って生き残らなければならないだろう、

先日死にかけたが…あれは事故だろう。

だって急に出てこられたらああなるにきまってる。

…あ゛の゛へ゛ひ゛つ゛き゛あ゛っ゛た゛ら゛

せ゛っ゛た゛い゛ほ゛こ゛ほ゛こ゛に゛

し゛て゛や゛る゛か゛ら゛な゛ぁ゛!!! 


…取り乱してしまった。だが久しぶりに成長出来る機会が

来たのなら無駄にしてはいけない。


目下の私の目標は、えーさん様とお話しできるくらいに成長することだ。

ファル様やミソラ様達が自由にお話して頭撫でてもらってるのが

羨ましいとかじゃなく、ただお役に立ちたい。

羨ましくなんて欠片もない、ないったらないのだ!!


私は妖精さん達よりも成長が遅い代わりに、たいきばんせーなる

あとから強くなる存在なのだとお父さまに聞いた。


それ故に、お話しすることもままならない今を変えるため、

成長してえーさん様のお役に立てるよう頑張らなくては。


幸い、私は怖い敵と戦わなくても

ただ森で遊ぶだけでも森とお日様から力を貰って成長できるので

狩人さんに守って貰えば強い敵がいても成長し続けられる。


狩人さんは私の言いたい事が少しわかるようで、

私の意図を察してえーさん様に伝えてくれたりする優しい人だ…

が、たまに天然ボケすることもあるもののそれも愛嬌という奴だろう。


(今日はどこに行くのかな)


えーさん様の進め方は突拍子もなく変わるので

退屈しないものの、どこにいるかも分からなくなり

不安になることがあるのでいつも怖い。

そんな私たちの前に話しかけてくる人がいた。


「やっほ、妖精ちゃんと見たことない子たちを連れてるね」


知らない人だ、ふーさん様でもおーさん様でもない…

なんだか綺麗な人だが初対面なので怖くなった狩人さんの後ろに隠れる。


そこから数秒後、綺麗な人がえーさん様の手を引きながら

森の奥へずんずん進んで行ってしまっている。

狩人さんたちと一緒についていくのだが、綺麗な人に促されて

妖精さんたちに綺麗なお花…あれは確か送り花という奴だっただろうか?

を渡した瞬間、えーさん様が地面の下に落下する。


「え゛っ!?」


それを見た狩人さんと綺麗な人は降りて追っていき

妖精さんたちもそれについていく。


私もついて行こうしたのだが、ちょうど入る前に入り口が消えてしまう。

え!私一人!?おいてかないでよーー!!


(どうしようどうしよう)


狩人さんもいない、つまり敵にあったら私は一巻の終わりだ。

私は悩みながらも答えを導きだす。


(頑張って成長しなきゃ…!)


成長し続ければ多分大丈夫だと思われる。

以前こういうことがあった時は一時間は帰ってこれなかったので

一時間耐えれば何とかなるはずだ…!


そう思いながら私は生き残るための策を巡らすのだった。


◆◆◆◆◆◆◆


「あれ、地精ちゃんがいない?」


「…どうしたのフジカ?誰かいないの?」


私は十三の魔女を変化させ帰ってきたは良いものの

地精ちゃんがいないことに気づく…が、直後に顔面に何かが飛来する。


「~~~!!!」


ふさがった視界から見える情報を頼りに考えると

この物体は…


「地精ちゃん?」


「~~~~!!!!」


「痛い痛い」


ぽかぽかと地精ちゃんが殴り掛かるが

そこまで痛くないのが地精ちゃんクオリティという奴だろう。

私は地精ちゃんを引きはがして手の上にのせて頭をなでる。


すぐに気持ちよさそうな顔をするが

怒っているかのようにすぐ掌をどけようとする。


「かわいいなー」


そんな地精ちゃんを狩人さんの協力を得つつ

宥めながら町に戻る道を進むのだった。


◆◆◆◆◆◆◆


今回の一件で大きく成長した地精ちゃんだが、

だがまだまだお話しできるようになるまでは成長できていない。


そんな地精ちゃんが成長し、お話しできるようになるのはまだまだ先のお話。

なんやかんやで逃げ続けて知恵を凝らして敵一匹倒した末に

主人公一行が戻ってきた模様。


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