ある朝の出来事
今週はこれで終わり。
召喚獣メインとか抜かしつつも
別の事ばっかりやってる…
「zzz…」
か、勝った…
危なかった、本当にギリギリの戦いだった。
ポトリーさんから貰ったスプレーも底をつきかけ、
二時間以上に及ぶギリギリの大接戦を制して
私はチエちゃんを眠らせる事に成功した。
「もう、大丈夫だよ、ね」
少し頬をつついてみるが起きる気配はない。
…よかった。そう思って私はチエちゃんを部屋から出し、
本来の寝床に運んだ。
◆◆◆◆◆◆◆
朝、体を起こそうとするが起きられない。
「おはようございます。おはようのちy」
馬乗りしていたチエちゃんを無理やり引きはがし、
私は臨戦態勢をとる。
「つれませんね…」
そう言いながら立ち上がるチエちゃんを見て
私はため息をつきながら言う。
「なんでキスしようとするのさ…」
「それが最大級の表現だと思いまして」
親愛を表現するなら違うと思うが…
そう言いつつもにじり寄ってくるチエちゃんだが、
逃げるが勝ちと私は部屋から出ることを画策する。
「させませんよ?」
そう言うとチエちゃんは服のポケットから四角い何かを取り出す。
あれは…あれはまずい!!
「どうしてそれを…!?」
「不用心なんですよ永華は。隠し場所が雑すぎます」
私は身を隠せるところに移動しながらチエちゃんの動きを注視する。
あれは危ないからという理由もあり昨日のチエちゃんとの
一件には使わなかったポトリーさん特製の防犯グッズだ。
あれは使うと強力なゴム紐を
相手の動きを封じる薬品の入った袋を重りとして投擲し、
相手を拘束するという装置で、
こちらに向けて撃てば当たるというAI指示機能のようなものも
あるのでほぼほぼ必中というのも恐ろしい。
あまりにも強力すぎるからポトリーさんにも
普段使いは昨日のスプレーだけにしておいたほうがいいと
厳命されており、事実使う機会もなく今に至っていた。
「隣に入れてあった説明書で大体の操作は理解しています。
観念して私とちゅーしましょう」
説明書…あぁ、あれか。
ポトリーさんとの会話を思い出し
まだ勝機はあるということを理解し、
私は堂々と逃げようとする。
「仕方ありません…使わせてもら、へゃ!?」
使用した瞬間、チエちゃんが小さい悲鳴を上げて縄の餌食になる。
あの説明書はダミーであり
本当の操作方法は私とポトリーさん、そして姉と両親の頭の中にしかない。
ダミーの操作方法で使用すると使用者のほうに当たるように
なっているのだが、説明書を読まずに使ったとしたら
本当に当たってしまっていたかもしれない。
なにせあれは使い方自体は簡単なので、
使われたら面倒なことこの上ないものなのだから。
「まっひぇ!へぃは!」
絡まったゴム紐が口枷になって舌が回らなくなっているようだが、
私は一先ず安全を確保するために色々手をまわしてから
助けることに決めた。
◆◆◆◆◆◆◆
着替えたりして何があろうと対抗できるよう準備した後、
装置を取り返して口元の紐だけ外してあげた。
必死に拘束を解こうとしたのだろう、髪と衣服は乱れに乱れて
お見せできない感じになっているし、吐き出される吐息は少し荒い。
「はぁ…朝からやんちゃすぎません?」
「だって…久しぶりに会ったのに、永華が青春してたんですもん…」
嘘告白を大量にされることを青春と言えるのだろうか。
というか私は青春を送ることが許されないの…?
「ちょっと…ほんのちょっとだけ嫉妬しちゃっただけです。
お願いですから縄をほどいてもらってよろしいでしょうか」
「まだちょっと怖いから無理かな…」
さっきからもぞもぞと紐をほどくための努力をしているようだし
二日連続で襲われているので警戒は必須だ。
「じ、じゃぁ!お…」
「お?」
「お手洗いに行かせてください!!!」
チエちゃんが少し赤く染まった顔で言う。
そういう事だったの…?拘束を抜けるためじゃなくて
トイレを我慢してたの…?
非常に申し訳ないことをしてしまった…
私は紐を切りつつ謝罪する。
「ごめん…」
「いえ…こちらも朝から突撃したのでおあいこという事で」
「それだけはない」
人のファーストキスを何だと思っているのだろうか?
今度しかえしすることを決意しながら、私は紐を切る作業を
続けるのだった。
紐の奴はどこぞで聞いたうろ覚えの物です。
強い紐を重り付きで打ちだして重りの遠心力で
どうたらこうたらみたいなことをする奴だという事しか知りません
ポトリーさんはこれらの商品を市販しているわけではありません
一応防犯グッズの類は作成していますが
基本的にはお役立ちグッズとかで借金返済してました
スプレーと使ってはいけないと言明されていたアイテムに
使われていた薬品は同種のものです。
眠らせる、というよりかは脱力させる類の薬品かつ
ポトリーさんオリジナルの流通していない特殊な薬品だとか。
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