表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/416

閑話:姉と私

死にかけながらも二日目投稿です。

明日は多分更新ありません

宣言通り過去編となっておりますので

どうぞよろしくお願いします。

「おぉ!可愛いぞ永華!」


お兄ちゃんが騒ぎ立てる。

新しい服を着たからといって何が変わるのか?


確かにオシャレかもしれないけれど、

私はそこまで頓着する理由が分からない。

正直言ってふーさんとまーさんと遊ぶときに恥ずかしくない服であれば

どうでもいいと思っている。


「一度はあんにゃろうのセンスを疑ったが、

 やっぱり永華は何着ても可愛いなぁ!!」


うざい、うるさい、カメラのフラッシュがまぶしい。

ここ数日毎日そうだ、日替わりで新しい服…ゴスロリというのだったか?

を着せられている。


着せ替え人形にも限度があるだろう。

誕生日プレゼントでゴスロリをくれたポトリーさんには申し訳ないが

非常に嫌な気持ちで日々を過ごしている。


「あぁかわいいかわいいマイシスター、もtぶべッ!?」


「やり過ぎだよ」


どんどん変態度が上がっていくお兄ちゃんに

背後からお姉ちゃんがチョップを加える。


痛がるお兄ちゃんを横目に

ざまぁみろ、と思いつつもお姉ちゃんに近づき

その後ろに隠れる。


「いつも言ってっけどよぉ!物理で攻めてくるのは

 やめてくれよ姉さん!」


頭を押さえながら痛そうにお兄ちゃんが言うが、

さっきまでの私の扱いを考えるとそのくらい残当だろう。


「最近、嫌がる永華を毎日のように着せ替え人形にしてる方が悪いよ?

 永華も私の後ろに隠れちゃってるし…もうやめなよ」


お姉ちゃんが冷めた目でお兄ちゃんを見ている。

その目を見て、ちょっとカッコよく思えたのは内緒だ。


「ぐぐぐっ…あきらめんぞ…俺はあと30着永華に来てもらうまで

 続けるぞ!!」


「なーに言ってんのさ、嫌がられてるのにそんなに着せて…

 少しは永華のことも考えたら?」


私はうんうんと首を高速で縦に振り、

お兄ちゃんには全力で反省してほしい所だと同意する。


「グハッ…!!」


それを見たお兄ちゃんが気絶した。

その後三時間ほどは目覚めなかったのだが、自業自得なので

憐れんだりはしなかった。


◆◆◆◆◆◆◆


懐かしい夢を見た。


あれは…確か小学一年生の時だったか。

■■■■(ゴスロリ)をポトリーさんに貰って以来、

宣言通り兄に38着くらいゴスロリで着せ替え人形にされた。


途中から手作りらしきものも混じっていたが、

兄はハイスペックなので普通に出来のいい服だったのも

記憶に残っているのだが…思い出さないほうが得策だろう。


福音の話だと最近ゴスロリ専門店でゴスロリを見ただけで倒れたらしいし、

体調不良だと誤解してまた姉が出て行ってしまう可能性が上がることは避けたい。


そこから私は思い出した。

そういえば、私が姉を大好きになったのもこの時期だっただろうか?


私は、あの時期に起こった忘れがたい出来事…

まぁ所詮、初恋の思い出を思い返す。


◆◆◆◆◆◆◆


あの頃の私は今と比べてちょっとやんちゃな子だった。

兄曰くそれもまた魅力だとか言われたが、兄の評価は

あてにならないので除外する。

(評価がほぼ全肯定なので評価としては信用に値しない)


お母さんは家事で忙しそうだし、

お父さんはたまに帰ってきてくれるけど基本的には家にいない。

兄はうざったいし…という感じで構ってくれる、というよりは

甘えさせてくれる人があまりいなかったのも影響しているのだろう。


お母さんを除いて数少ない甘えさせてくれる相手であった

姉に懐いてはいたと思うが、それにしたって今のような

ラブというよりかは家族としてのライクに近かったように思う。


それが特大のラブに変わった出来事があった。

ある日、私はふーさんとまーさんと遊んでいたのだが

途中で雨が降ってきたのでみんなで私の家に入って

雨が止むまで遊ぼうということになった。


この時まーさんの服装は確か、お母さんとお姉さんの熱意に押されて

女の子っぽかったような記憶がある。

本人が黒歴史扱いしていたので掘り返す気はないが…

今も兄がまーさんを女の子だと勘違いしている要因の一つとして

ファーストコンタクトでまーさんがスカートを履いていたのも影響していると

推測している。


突然の予報にない通り雨だったので三人そろってずぶ濡れまでは行かずとも

結構雨にあたってしまい、服と髪が濡れてしまっていた。


「ただいまー、ずぶ濡れだー」


「おじゃましまーす、濡れ鼠だー」


「おじゃまします」


「おかえり永華…と、お隣さんの福音ちゃんと奥間ちゃんもか。

 タオルとか準備してあげるから早く入ってきてねー」


この時は姉も奥間の性別を勘違いしていた気がする。

そんなこんなで着替えた後にみんなで私の部屋に集まって遊んでいたのだが、

途中で姉が訪ねてきた。


「永華ー、入るよー?」


「?どうぞー」


「ありがとー」


姉がドアを開けて入ってくると、その手にはクッキーらしき物が乗った

お皿が乗っていた。


「ちょっと頑張って作ってみたんだけど…味見してもらっていいかな?」


「おいしそー!!たべるー!」


福音がお皿からクッキーを一枚とって口に運ぶ…

が、途端に少し渋い顔をする。


「しょっぱい!!」


甘いクッキーを想像していたのに、しょっぱいクッキーを

食べたから驚いたらしく福音はそう叫ぶ。

それを見た姉はおろおろし始めたのだ。


「あれ!?お砂糖と塩間違えちゃってた!?」


後に母に聞いたのだが、私が生まれてから姉は「頼られるお姉ちゃん」で

いるため、ずっと私がいる間は背伸びしていたらしい。


本当は苦手なトマトを頑張って食べたり、

友達に泣きついてオシャレも頑張ったり色々していたらしいのだ。


その頑張って作り上げたメッキがこのクッキーの一件以来

見事にはがれ、それを最初に理解したこの出来事以降

さらにはがれるような出来事が起こり続けた。


それまで姉に感じていたちょっと近寄りがたい感じも

背伸びしているが故のものだったと理解した瞬間、

私の姉への愛情が天元突破するのも無理はなかった。

要するにギャップ萌えを自覚した瞬間に主人公の

ブレーキは無くなったというお話


ブクマ、評価よろしくお願いします!

誤字脱字あれば報告お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ