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インスタ!〜スタミナ極振り没落令嬢、今日もVR世界にダイブ・イン!〜  作者: 地雷源
第四章 ドカバキ! 生きてる罪【パラサイト・シン】!
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スーサイド・ケイエイナン


毎日更新って……きつい……!

 

 ――地獄を見た。


「おーーーい! オレにも作ってくれーー!」


「きりがない……はーいただいまー!」



 ――地獄を見た。



「おい、俺が先だぞ! 横入りすんな!」


「待って待って喧嘩しないで、列の分は全員作るから!」


「おい嬢ちゃん、釜をちゃんと見ろ! こぼれるぞ!」


「えっ……ひゃあああ!!?」



 ――地獄を見た。



「もう少し余分に払うからこの【凍結結晶】もっとくれねえか?」


「あまりとかないわよ!」


「マジかよ……オレの服サイズデカいから4つくらいじゃたりねえんだよ……」


「……く、1000エン追加で2個! これ以上はまかり通らないわよ!」


「よっしゃ! ゴネてみるもんだなあ」



 ――いずれ何度もたどることになる、地獄を見た。



 なんで売ってるのが【リキッドウェア】と【凍結結晶】だけなのにこんな来るのよー!

 対のお店の入り口までずらーーーっとさあ!


「リーズ、平原突っ走ってスライム狩りしてきたぜ! 【ぷに玉】と【水】と【スライム体液】はこんなもんでいいか!?」


「ありがと、そっちおいたらすぐまたいってきて! 人目についちゃだめよ!」


「なんだってんだよおっ!!」


 おかげさまでシオンなんかここと外を延々シャトルランする羽目になってるし、


「こっちがさいこうびです、ちゃんと作るそうなのでオトナも子供もおねーさんも横入りせずにならんでくださいです」


「はーい♡」


「ふぃい……これがおしごとですか、つかれるです」


「はいはーい、すみません! 通行人もいますので端まで行かないように……」


「ちっ!!」


「露骨!?」


 クマ鬼の用事で来ただけのエリンちゃんもなんか通りがかってたアルも巻き添えにしちゃったじゃないのよもーー!


 軽い気持ちで始めた店舗経営がなぜこんな火事場となってしまったかというと、ファラとの対決動画。


「我らが貴族令嬢ファラ様に、彗星がごとくライバルが現れた」

「何もかもが真逆な2人とオマケが協力してボスを倒すさまはまさしく映画。スタンディングオベーション不可避」

「これは今度のマーケットに本として出版せねば」


 と、涙ながらに持て囃しながらファラ信者が拡散していたおかげで、どうもあの動画で起きた出来事は『イフオン』内でかなり有名な話らしい。

 モチロンそこで【リキッドウェア】なるアイテムを作って宣伝したことも含めて、だ。


 その宣伝効果は抜群で、抜群すぎて職人通りの空き家から私のお店がいつ開くかと監視している勢力もいたほどというのだからふつうに怖い!

 でも最初チートを疑ってたの忘れてないからね私! 本にするなら迷惑料と使用料取るぞ!


「くうっ、材料心もとないけど2時間程度なら余裕かなと思ったのが間違いだった……!」


 調達1、整理2、販売接客1じゃちょっと人が足らなさすぎる……!

 せめてもう1人か2人いればましなのに、とやけっぱちにかき混ぜ棒を釜に突っ込んだ!


「あ……まず……」


 その瞬間、体の力が抜けていくのを感じる。

 ああこれは懐かしい。この感じはここ最近でもはや親しみさえあるものだ。


「リーズっ、列の方はどうにかなりそうだ! そっちはどう……?」


 飛び込んできたアルは見ることになる。



「HPはいぶん、ミス……ふらぁ~……」



 と床に斃れ伏す私の姿を。


「死ん……!? エリン!」


 はい。

 通算19回目の過労死。

 記念すべき20回まであと1回だ。わーい。


 ……いやわーいじゃない、絶対喜ぶ場面じゃない!

 このゲームでロストしたときのリスポーン先は新しく来た街の教会。

 リヒターゼンにおいては中央区付近にあるけど、ここからじゃ遠すぎる!


 仮にも18回死んでるからここにつながる最短ルートくらいは編み出してるけど、ほとんど街のはじっこにある工房へ戻ってくるまでに絶対ハケちゃうじゃんこんなの……!


 そうして魂が抜けてどんどん上に登っていく中、アルがエリンちゃんと一緒に私の死体へ近づいていくのが見えて。


「あり?」


「よし、間に合った!」


「……大丈夫ですか? 起きられるです?」


「うん……大丈夫だけど……?」


 そうして迎えた通算19回目の目覚めは工房の中。

 もはや見慣れたといっても過言じゃない神父さんのしかめ面……ではなくガッツポーズのアルと、相変わらずとろんとした目でのぞき込むエリンちゃんによるお出迎えだった……?


「えーっとどういうこと……? 私、HP0になって今斃れなかった?」


「ええ、ですのでこちらを使ったのです、でれれれー【きつけ薬】ー」


 私がHPを全損させたにも関わらず起きた理由、それがこの蘇生アイテム【きつけ薬】なのだそうだ。

「アバターが満足に残っていること」「飲ませる形で使用すること」という条件をクリアすることでわずかながら回復させる、薬士だけが作れる下級蘇生薬なんだとか。


「こんな時に斃れられちゃまずいからな……エリンが近くにいてよかった」


「役に立ったようでうれしーです。それで……どうしますか?」


 外の方に向いただぼだぼの袖を見やれば、若干遠巻きに私たちを見るお客さんたち。

 言わんとするところは「お店を続けるか、ここでやめるか」だろう。

 多少の文句は来るだろうけど、ここでやめても大半は納得して帰ってくれるだろう。

 ……でも。


「もちろん、続けるっ!」


「はんだんがはやい!? 蘇生はしましたけどHP10%しか回復してないですよ?」


 私からやめる理由なんか、ここまでと決めた時間が来るまでだもんね!

 私はすぐさまかき混ぜ棒を掴み取り、アイテムボックスから【シンデレラパウダー】を取り出した!


「へーき、私はまだいけるからさ! みんな止めてごめんねー、今から続きやるからー!」


「起きたばっかりなのにもうハツラツとしてるです……これ、そんなに効果あったですか……?」


「あいつが単純で薬が効きすぎるのと、諦めるっていう言葉がないだけだよエリン……相変わらずすぎてなんかもう安心感さえあるわ俺は……」


「こら2人とも、そこでぼっとしない! 中に引っ込んで販売の方に入って!」


「おいおい、列の方はいいのかよ」


「そっちは後でくるシオンに任せればいい! エリンちゃんはスタミナ回復する薬とかあったら用意してシオンに飲ませといて!」


 とにかくここから私は追い込みをかけるから販売に集中するように言いいつけて、私は手に持ってる【シンデレラパウダー】を頭からかぶった!


「さあ一気に片付けるわよ! 【スーサイド】オン!」




「第1回ショップ収支報告」


収入 58万5千エン


内訳

【リキッドウェア&凍結結晶】×117セット



総計  121万1千エン


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