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インスタ!〜スタミナ極振り没落令嬢、今日もVR世界にダイブ・イン!〜  作者: 地雷源
第四章 ドカバキ! 生きてる罪【パラサイト・シン】!
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ひもじいのは嫌なので強くなります!

昨日更新できず申し訳ない……!

2日おきになってしまうことも多いですがよろしくお願いします……!

 

「……………あー」


 エリンちゃんから知らされた情報、そして掲示板を通して己の所業を改めて知り、悪意を垣間見た私はサービス開始6日目にして初めてイフオンから逃亡。


 待機状態になったVRヘッドギアに映し出される時間は19時……まだ夜になって間もないんだけど、


「うぐあーーーーーーーー……」


 再度ログインする気になれなかった。

 なんてったって【スーサイド】以外に持ってたスキルの大半が掲示板に晒され、考察の材料にされるという未曽有の危機。


「んにゃーーー……」


 思えば、実力を隠すってのがすこーんと頭からなくなってた。

 ファラ相手に暴れ、龍にも暴れ、地下水道でも暴れ。

 あれだけのことしでかせばそりゃ注目もされるわよね。


「はあ、ここらが潮時かしら?」


 ごはんを作ろうと、ため息ひとつからふらりとシンクへ向かう。


「まてよ、いっそ【リキッドウェア】を量産してお金をひと稼ぎしたら、プレイヤーでごった返す場所から離れるのもアリ……?」


 そもそもとしてやりたいのはお金稼ぎだ。

【ブリッツ】乱射がプレイヤー相手に通用せずとも、モンスター相手なら立派なパワーカードたりえるのは悲しくもこれまでの実績が教えてくれる。


 それに曲がりなりにも有名になった今、シオンやおぼろちゃんがいなくてもクエストの野良パーティに入れるんじゃない?


 ならばいっそ生産職なのだと割り切って、当初予定していたクエストやレアアイテムを売り払う借金返済ライフに切り替えちゃおう。

 今までがおかしかったのよ、うん。


「そういやファラの言ってた大規模イベント、はまあ別にいっか」


 1番最初のイベントだし、チャリティーってこともありそう。

 お金が絡まないなら参加する意味はない。

 残念だったわねファラ。私は名誉に興味ないのよー。


 軽くしんなりとするくらいに炒めたモヤシと、レンジであっためたご飯、流子ちゃんちのオカズを置いて。

 はい、それではお手をそろえまして。


「いっただっきまーーー」


 とお箸に手をかけた時。

 私しかいない静かな家にぴんぽーんとチャイムが鳴った。

 通販とか頼んでないよね? と首をかしげながらのぞき穴を見れば……流子ちゃんだ。


 あれ、今日剣道のお稽古じゃなかったっけ?

 くるとしてももっととっぷり日が沈んでからじゃないっけ?

 まあとにかく、玄関の扉を開けてやり流子ちゃんを中にまねき入れてやる。


「今から晩御飯にしよーってところだったんだー」


「え、もしかしてお邪魔でしたか?」


「いやいや全然! ご飯食べながらになっちゃうけど、それでもいいならお話しましょ!」


 いいよいいよ、超大歓迎!

 1人のご飯は殺風景だけど、かわいい子と一緒ならそれだけ花が咲くってものよ。

 いい気分転換にもなるしご飯もおいしく頂けるしでいいことづくめ。

 早速テーブルへ向かい合わせに座ってご飯を口に運ぶ。


「しっかし今日は早いわねえ、何かあったの?」


「それが、いつもの先生が『つかれた』とお休みを取りまして」


「また? ほんと気分屋よねその先生……よくクビにされないもんだわ」


「ええまったく。 ただでさえ人手が足りないというのに、あんなに不真面目じゃ父さんがかわいそうです!」


 言いながら頬をぷっくりとさせてるかわいい。

 ……と、気を取り直して。


「そっか……今ってたしか入会希望者が多いんだっけ?」


「はい……そりゃあ大半はチャンバラ目当てだし、確かに気力も心構えも足りてないかもですけど! それでも最低限教えようって気概は欲しいものです!」


 ちょっと前、ニュースで見た。

 いわくVRゲームがおおはやりな昨今、武道や格闘技はそれまでが嘘のような盛り上がりを見せているのだそうな。


 リアルで竹刀を振るった経験が実際どこまで活かせるかわからないのも手伝い、脳からの信号がどうので、どこかの学会でもテーマにして研究が進められているほどなんだとか。


 ともかく、そんなかき入れ時にこうまで言われる先生はどれだけダメダメなんだろう……と思いつつ、膨らんだ流子ちゃんの頬を軽く指先で突いてやる。


「ぽひゅ!?」


「だからこそ早く立派になって、親子2代で盛り上げなきゃ……でしょ、未来の師範どの?」


「……そうですけど」


 む、これ以上スキを見せまいと真っ赤なほっぺをガードしおったな、はははかわいい。


「私はほんのちょっとしか手伝ってあげれないけど、それでも本気で応援してるからね」


 いつまでかわからないけどこれだけ世話になっているんだし、何かの形で返しておきたい。

 家を取り返して余裕ができた時にでも剣道場をリフォームするくらいしてあげようかな……ざっと考えても100万くらいしそうなんだけども。100万かぁ……ほんの1年前ならはした金だったんだけどなあ……


「……リアルもゲームも貧乏だなあ、私」


「リアルはともかく、ゲームなら稼ぐ方法ありますよ? ついさっき出てきた情報、ご存じなかったですか?」


 物持ちの悪さを嘆いていると、流子ちゃんは端末を防具袋から出して操作し始めた。

 ややあって見せられたのは、公式サイトのお知らせ画面。


「【レジェンズ・バトルロワイアル】開催のお知らせ?」


 読み上げたのに合わせて、流子ちゃんは項目をタップして詳細を見せてくれた。

 えーとなになに?


「……イフオン初、バトルロワイアル方式のPVPイベントを開催いたします。優勝賞金100万エンのほか他プレイヤー撃破数に応じて特別ptを付与、【イカロスの羽】をはじめ豪華景品をゲットするチャンスです……おあつらえ向きじゃん!!?」


 うわーーーーまじか!?

 手に入った景品を売り出せば、賞金と合わせて【リキッドウェア】以上にお金が稼げちゃうじゃん!


 今の私の資産は【イグニール大洞穴】でのたくわえが70万ちょっと。

【神風の盗賊】の報酬も後で送るとお預けされてしまったし、稼げるならここいらでドカッと稼いでしまいたい……けど、


「でもこのまま大会に出ても……」


「ええ、今のままではおそらく勝ち抜けません」


 うう、手持ちのスキルを掲示板に晒されたのが本当に悔やまれる……!

 ファラやマリーも間違いなくいるだろうし、何か新しいスキルを手に入れて使いこなせなきゃ早々に返り討ちだ。

 くっそうハカセめ、出くわしたら覚えときなさいよ!


「ですからスキルの習得を兼ねて修行しようと思うんです」


「レベリングってやつね、アテはあるの?」


「ええ、ロックさんが経験値稼ぎに良い隠しマップを見つけたらしくって、明日いっしょに行かないかと誘われてるんです。パーティは6人まで一緒に組めるそうですし、もしよければリヨさんも一緒にどうですか?」


 ロック……【爆砕】ロック!

 そういえば最初のころ一緒にいた、とか言ってたっけ。

 流子ちゃんすごいなあ、そんな人とすぐ仲良くなれちゃうんだもの。


 そんなすごい人たちと一緒に隠しマップでレベリングができるかもしれない、またとないチャンス。

 ……別にこの話は蹴ってもいい。

 私の目的はバトルじゃない。ムリにレベリングして大会に出ずともお金稼ぎはできるもの。


「…………」


 ここでふとテーブルの上に乗っけられたモヤシ炒めを見る。

 ずっと食べてくの? これを?

 スキルを隠せず、上位陣に通用せず、お金の出るイベントに参加せず。

 負けを認めて引き下がりちまちまと。


 うん、ひもじい。


 そんなの、私の知ってる令嬢の姿じゃない。

 こんな生活早く抜け出さなきゃ。

 だって私は家を取り返してやらなきゃいけないんだから。

 なら答えなんか、1つしかないじゃない!


「うん! よろしくね流子ちゃん、期待して待ってるから!」


「はい!」


 レベルを上げて、新しい戦法を見つけて!

 そんで大会に出る連中相手に暴れまわってお金ゲットだ!





「……ところで、同じトッププレイヤーのファラやマリーはまともじゃなかったけど、そのロックはまとも、よね?」


「まともですよ! (たぶん……)



 そこだけがどーしても不安だわ。



方や万年厨二病の貴族気取り

方やアメリカかぶれのロリショタコン変態


2人がそんなだったら、そりゃあこうもなる……

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