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インスタ!〜スタミナ極振り没落令嬢、今日もVR世界にダイブ・イン!〜  作者: 地雷源
第三章 ビュンビュン! 神風盗賊ブレーメン!?
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厄介者がゆく地下水道①! 怖いは、殺せる!!


 毛細地下水道。

 かつて水路として使われていた街の地下部分に、後からモンスターが住みつく形で生まれたダンジョン。

 じゃー街が危険なんじゃ、と思うけれど中にいるモンスターは光が嫌いで外に出る事はないらしく、逆に騎士団の自主練場として使われることもしばしばなんだとか。


「うっわ……」


 探索を始めて見ると、街と同じく荒らし回られた跡がそこらじゅうにあるのが見受けられた。

 地面には引きずったような跡。壁はちらほら人が通れそうなくらいの穴。

 ……こんなとこまで?


「ブレーメンとやらがいるのは間違いなさそうですね」


「……なーんか引っかかるな」


 おぼろちゃんがどうかしましたか、とこっちを見上げてくる。


「いやあね、ダンジョンでまでこうやって道を壊す意味あるかなあって」


 街の景観を壊すのを楽しむ人間って言うのは、悲しいことだけどリアルにもいる。

 けどそれは壊された人が悲しんだり怒ったりするのをみて楽しみたいとか、そこにそれがあるのが許せないだとか、そんな理由が必ずあるはずなのだ。

 けどーーー


「こんな殺風景なとこ、それも騎士団しかこないダンジョンを壊すっての……どう思う?」


「言われてみればたしかに不自然ですね……ここはいくら壊れても困る人間が居ませんし、いっそ壊れてくれたほうが喜ばれるくらいです」


「モンスターの住処だもんね……それでもわざわざやるってどういうこと……?」


 そうやって考えあぐねているときだった。

 不意にひたり……と肩に冷たいものがのっかってきたのだ。

 何よ急に! とそっちに目線を合わせてみれば……


「うひひひひひ!」


「ふふふ……!」


「ウラメシヤーーー!!」


 薄気味悪い三つの笑い声と共に奴らが現れた!


「ひぎゃああああああああああああ!!」


「リーズさん!?」


 そいつらを見た瞬間、私はおぼろちゃんを置いて猛ダッシュ!

 どれもこれも足音などなく、代わりに空を切るような音を立てながら私を追ってきた!


「いーーーーーーーーやーーーーーーーーーー!」


 薄暗いダンジョンに突如現れたちょー凶悪モンスター! 怪現象で連日子供をビビらせる、ゴースト、バンシー、デスパペット! こわくてこわい子供の敵、恐怖の権化! その名も、オバケモンスターズ!


 まずは有名なゴースト!

 キュートだけど呪いを操る陰キャ、バンシー!

 そして両手のオノがこわいぜ、デスパペット!


「待ってください!」


 私を追い始めた3匹を見たおぼろちゃんはちゃぷちゃぷと音を鳴らして後を追う

 ホントごめん!


「リヨさん! それモンスターですよ! 嫌いなオバケでも倒せるんで安心してください!」


「倒せてもオバケはいやーーー!!」


 前しか向かない! 後ろを向かない、向きたくない! だって怖いもん見たくないもん!!

 繰り返すようだけど、私はオバケがとっても嫌いなのです!

 小さいころにオバケの出るすっげー怖い絵本を読んでからというもの、夜更かしという物が一切合切できない体になってるくらいなんです!


「うわーーーーーーーん! おぼろぢゃんだずげでーーーーー!!」


「……はい!」


 私の声にこたえるように鯉口の音が!

 そこからついで水からザバン! と跳ね上がり、


「いざ! 【初夢】!」


 悲鳴が甲高いからたぶんバンシー……を斬りつけながら、おぼろちゃんが私の前におどり出た!


「ありがとう!」


「いいえ、まだです!」


「オマエのくび、いただくよォー! 【ネックハーベスト】!」


「ぎえええええ!!?」


 デスパペットがスキルを叫ぶ声と同時に振り下ろしてきたオノをおぼろちゃんは刀で受け止めた!


「――いそいで!」


「イヒヒアハァ!」


 得物の打ち合いは上をとっている方が体重をかけやすい分有利になる。

 笑い声をあげながらだんだんと体重を乗せてくるデスパペットに手いっぱいでおぼろちゃんは動けない……ってことは――


「うけけけけ!」


「うふふふふ!」


「なっ――!?」


 残ってるオバケ2体が、おぼろちゃんの横をすり抜けてこっちに来る!


「どうして!?」


 そういや言ってなかった!

 隙だらけのおぼろちゃんを無視してこっちに来る理由はカンタン! スタイル【強欲】でターゲット集中が私に常にかかってるから!

 おかげで敵は隙あらばこっちに顔を向けるのだ!

 まだそんなもんつけてんのって? 仕方ないじゃん!【憤怒】の補助効果無効、スーサイドやアイテムの強化頼みな私にとっては痛すぎるんだもん! スタイルスキルは1つのみの強制装備とはいえ、どっちにするか選べるんだからこっちのがいいでしょ!

 


「ひい!」


 どうしようどうしようどうしよう!

 イヤどーしたもこーしたもこっから魔法を撃ってデスパペットを倒すべきなんだけど……


「【ダンズフレイム】!」


「【ブリッツ】!」


 当然、2匹も黙っちゃいないですよねそーですよね!

 襲い来る紫の火の玉を杖で叩き落し、顔に向かってきた電撃の矢をよける!

 へっへーん伊達に100発も撃ってないわこんなもん、ファラやイグニールと比べたらよゆーよゆー……と思ってたら!


「ぐええええ!!?」


「なっ――ぐううう!?」


 いきなり電撃が体に流れ込んできた!?

 まるで足元から這い上がるような感覚!

 まさか……まさか、水に当たったから電撃がそのまま流れてきた!?


「しまっ――!」


「おぼろちゃん!」


 おぼろちゃんに目を向けると、そこではデスパペットのオノに押し負けて汚水に顔を突っ込んだおぼろちゃんの姿が。


「いっひひひひひ! 邪魔なコはお仕置きだよォ!」


 勝利を確信したデスパペットはけたたましく笑いながらとどめを刺さんとオノを振り上げた――って!


「おぼろちゃんに何さらしとんじゃお前えええええええ!!!」


 仮におぼろちゃんであることを差っ引いてもキレーな女の子のお顔を下水に突っ込ませた時点でギルティ! 許せねえ!


「【サンダークラップ】! あったれえええええ!」


「ギヒーー!?」


 上から襲い来る雷が見事腹に突き刺さり、電撃が体中にほとばしって悲鳴を上げながら墜落する!

 ざまーみろ! 乙女を汚した天罰だコノヤロー!

 ……ってあれ、今当たった? 魔法当たったわよね……

 そーか。

 なるほど。

 つまり。




 怖いは、殺せる!!!!




「スーサイド、オン!」


「ひっ!?」


 ヒャッハー! オバケ狩りの時間だァ!

 やられたらやり返せ倍返し! ヤなもん全部いなくなれーー!!!


「ブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツブリッツーーー!!!」


「ぎゃーーー!!?」


 お返しを受けた2体のオバケはそのままあっさりと消えてしまう。


「ぎいいい!」


 あと1匹!

 起き上がったデスパペットは攻撃を加えた私へ襲いかかるけど、そのオノが私に届くことはない。

 ざばりと音を立てて飛び立つ水しぶきがその証拠!


「やあああああああああっ!!」


 デスパペットのターゲットがこっちに向けられたタイミングで飛び上がり、おぼろちゃんは鈍く光る刀をその背に振り下ろした!

 防ぐ手段のないデスパペットは当然真っ二つ!

 断裂した境目からポリゴン片を巻き散らして、そのまま光となって消えていったーー。



 ━━━━━━YOU WIN!━━━━━━


 モンスターの討伐成功!


 EXPを520獲得!


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