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インスタ!〜スタミナ極振り没落令嬢、今日もVR世界にダイブ・イン!〜  作者: 地雷源
第一章 ドキドキ! 無限の伝説へReadyGo!
4/87

初バトル! 前門のゴブリンに後門のおじさん!?

「うーりゃりゃりゃりゃりゃりゃー!!」


 水の中土の中草の中森の中!

 茂みの中私のスカートの……短パンだった!

 とにかくまあキラキラめがけ突っ込んでいく!

 仮にも令嬢がはしたない? 知らん! そんなことは!



 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 素材【樹液】獲得!

 素材【くり】獲得!

 素材【肥えた土】獲得!

 素材【ミニウッド】獲得!

 素材【くされ蜘蛛の巣】獲得!

 素材【シャイ貝】獲得!

 素材【ムカムカデ】獲得!

 素材【飲み水】獲得!


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 だって何でもあるんだもん! 草だけじゃなく虫も生き物も素材! キラキラを見るだけでそこに何があるんだろうって、気になってきちゃう!


 それに全く疲れない! 大きな石とかひっくり返したし、何度も中腰になったりしたけど、痛みはないし、痺れも全然!

 これがスタミナ極振りの力! うーんクセになる!


「やー、楽しい!」


 拾ったもの全てを謎異次元(仮称)に収めた私は、手についた土を軽く落とした。

 これが全部お金にかわるんだって思うとワクワクしてくるわね。


 手にしたものはなんでも売れる物。この調子でバリバリ集めて、売りさばくわよー!


「ひっ、ひいいい! 助けてくだされー!」


「なっ、なに!?」


 素材いっぱいでほっくほくとしていた時だった。

 がさりと草が揺れたと思ったら、大きな鼻に緑のちょびひげをしたおじさんが情けない声で飛び出した!


「ギャギャギャー!」


 そのあとから小さい影が飛び出す!

 それはおおよそのファンタジー世界でスライムとかと肩を並べるメジャーモンスター。

 緑色の肌で鬼っぽい姿をしてて、大体汚く描かれるアイツ!


「ゴブリン?」


「そこのお方っ!」


 私が言うのと、おじさんが後ろに回ってきたのがほぼ同時。


「ちょうどよいところにおられた! ぶしつけで申し訳ありませぬがわしを助けてくだされ!」


「ええっ!? ちょ、ちょっと待ってよ!」


 いきなり現れていきなり助けを請われても、心の準備ができないわよ!


「ギヒヒヒ!」


 ゴブリンはゴブリンでしたり顔でこちらを見ているし!

 うわあ、こん棒で手を鳴らしていかにも今すぐボコってやる!って感じだ。

 どどどどうしよう!! 前門のゴブリンに後門のおじさん! 逃げる? 戦う!?


「お礼なら何でも致します! 商いの帰り故、良いものはありま」


「やります!!!!」


 古来から人は言いました!

 タダと何でもという単語にはたかるべし! と!

 数秒前の私? 死にました! 私は前しか向きません!


「よっしゃどっからでもかかってこーい!!」


 女は度胸!

 手に持ってる杖を構え、私は猛然とゴブリンへ突っ込んだ!

 すべてはお金のために! 悪く思わないでよね!


「えーい!」


 近づいた! どうする!? とりあえず殴ろう!

 私は手に持っていた駆け出しの杖をゴブリンの脳天に振り下ろしたんだけど――


「受け止められた!? ってわわっ!」


 そのままこん棒で杖を押しのけられちゃった!

 しかもよろめいたのをニヤニヤしながら見ててなんか腹立つ!

 これならいつでもやれるぜってか!?


「イイイイイイヤッ!!!」


 そう思ってたら今度はゴブリンからすごい勢いでこっちに突っ込んできた!


「いけませんぞ! ゴブリンのスキル【ぶちかまし】じゃあ!」


 おじさんが後ろから危険を教えてくれたけど、崩れた体勢を直すのに間に合わない! 

 結果私は全力投球なタックルをもろに食らって跳ね飛ばされ、おじさんの前からやり直しになってしまった。


「痛ったーー……」


 何とか立ち上がりはしたんだけど、お腹がとっても痛い。


「敵もまたスキルを持っておるのです! 迂闊に近づけばお嬢さんの貧相な体ではたちまち吹っ飛ばされてしまいます!」


「誰が貧相ですって!?」


「キキィィィィィ!」


 おじさんの失礼なセリフに怒ったら、迫っていたゴブリンのこん棒をもろに受け、今度は横に吹っ飛ばされてしまう。


「後で慰謝料よー!」


「ひゃあ、すみませぬすみませぬ!」


 おじさんは謝りながら尋常じゃない速さで私の後ろへ。


「ヒヒヒーッ!」


 面白いように技が決まってゴブリンはご満悦。こっちは踏んだり蹴ったりのピンチで半ギレよ!

 っていうか全然相手の動きについてけないのなんで!? VRってこんな殺伐としてるの!?


「お嬢さん、魔法です! 魔法をお使いくだされ!」


「まほう?」


 突然出てきたキーワードに一瞬小首をかしげる。


「見たところそれは【駆け出しの杖】! ならば打撃より魔法のほうが効率よくダメージが入るはずですぞ! 杖は魔法武器、ハンマーなどではありませぬので叩いても力は出せぬのです!」


「まほう……魔法! ステータス!」


 そうだ、魔法を使うスキル! 確か私のは雷だっけ!

 キャラクリの時に見たメッセージのこととようやくつながった私は急いでステータスを開示する!

 そして……


「見つけた! これが私の魔法!」


「ひええ、来たぁあ!」


 とどめを刺そうと高く飛び上がったゴブリンをみて、もうおしまいだとばかりに頭を抱えるおじさん。

 大丈夫、あなたは慰謝料とお礼のために私が助けるから!


「出でよ電撃! 【ブリッツ】!」


 かわされたら終わりの一発勝負。

 だけど、相手がいるのは空中! 地に足がついてないならかわせるわけがない!


「ギャァァア!?」


 結果は大当たり!

 矢のような光はゴブリンのお腹に見事命中。

 感電したのかバリバリと閃光が飛び散るようなエフェクトが宙に走る!


「さっきのお返しだ、ざまーみろ!」


 ようやくまともな攻撃ができた私はすっかり上機嫌……だったんだけど、どうやらそれで体力がなくなったらしいゴブリンが、電気をまとったまま落ちてきて!?


「あばばばばばばばっ!」


 勝利を告げるファンファーレの中、こと切れた敗者を見事体で受け止め、私も感電してしまうのでした……




 ━━━━━━YOU WIN!━━━━━━


 モンスターの討伐成功!

 EXPを150獲得!


 レベルが2にアップ!

 ステータスポイント5を獲得!


 条件「一回の戦闘でHPが半分以下になるまで相手から通常ダメージ、スキルダメージを受け、更に自傷ダメージを受ける」達成! 【スーサイド】を獲得!


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




「だ、大丈夫、ですかな?」


「大丈夫じゃなーい……」


 まだまだ明るい森の中おずおずと聞いてきたおじさんへ、私は蚊の鳴くような声で返した。


 *


「いやはや、助かりましたぞお嬢さん! 最近このあたりにもモンスターが出はじめているとは聞いていたのですが、何分急いでおりましたもので!」


 その後、私は初めての勝利に浸る余裕もなく、逆にやたら元気になったおじさんの話を聞いていた。


「急いでたって、何か運んでたりしたの?」


 そういえばアキナイの帰りでどうたらといってたような気がする。

 もしかしてこの人……とぼんやり考えていたら、うおっほん! と元気よく咳払いしてから、


「吾輩これでも商人でしてな、この大陸をまたにかけ交易をしているのですよ。 マルジン・オーエントリフといえば、少しは知れた名なのですが、ご存じでないですかな?」


「マジで!?」


「マジですともマジですとも! 今はヘングストというところから肉を運んでいるところでしてな、あまり長居はできませぬが、サインくらいならばできますぞ!」


「あ、えっと……」


 いや、芸能人やタレントならいざ知らず、普通にちょび髭おじさんのサインもらっても……

 だけどこれはラッキー! 勘違いしてテンションが上がってるおじさん、マルジンさんは商人だった!


 ここまで急いできたなら馬車の一つでもあるはずだし、馬車があるなら……!


「マルジンさん! さっきのお礼の話がしたいんだけれど……」


ここまで読んでいただきありがとうございます!

バトルでなんとか勝利を収めたリーズ、はてさて次なる行動は!?


「ブックマーク」「ポイント」での応援、お待ちしております!

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― 新着の感想 ―
[良い点] サクサク読めて楽しいです ゲームの中の普通の人がたくさんお話するのも私にとっては新鮮です
[一言] ぎゃあああムカデぇぇぇぇぇ!!!!! 今日デカいムカデいたんですよ。ウウッ
[良い点] 話の展開もテンポもよく、一人称のままイメージを読者にきちんと与えられる文章になっていて面白いです! 必要な文をきちんと書かれているので読みやすさもありますし、主人公のキャラがまた際立ってて…
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