発令! フォークロア・クエスト!
今回はちょっと短めです!
マルジンさんの話をまとめるとこうだ。
ゲーム時間における昨日、商館で荷造りをしている最中に後ろから誰かにぶつかられて、商談で買い取ったアイテムを奪われたのだという。
あわてて近くの憲兵さんと一緒に追いかけたんだけど、その泥棒はある場所で姿を消してしまった。
その場所の名は【毛細地下水道】。このリヒターゼンの地下を流れている、いわゆる下水道。
そこには昔、この街で名をはせた盗賊ブレーメンのアジトがあるらしいのだという。
「昨日の今日でこの門の有様、間違いありませんぞ! ブレーメンのやつがまた戻ってきたんじゃ! それに最近はいろんなウワサが立ってますからな!」
「ウワサ?」
「ええ何でも、壊れた工具だのフラスコだの様々なゴミが急に流れ着くようになったとか、モンスターが湧き出すようになったとか! きっとこれも奴が戻ってきたせいですな!」
「待ってくださいよ、そのブレーメンとやらが帰ってきたこととモンスターが湧き出るようになったのは関係ないのでは?」
憤りを抑えれていないマルジンさんを見て、おぼろちゃんが後ろから声を上げる。
確かにおかしな話だ、いくら何でも荒唐無稽だもの。
するとはっとしたようなしぐさを見せたマルジンさんは、申し訳なさそうに口を開く。
「お二人は旅人でしたな、ならば知らないのも無理ありますまい……お嬢さんにはつらい話ですが、よろしいですかな」
「……もちろん!」
「この大陸では罪を犯した者は魔を寄せると信じられているのです、女神の許しなく他人の血を浴びた者、他者に不義をはたらいた者はみな負の力を宿し、反省して善行を重ねない限り、そばにいるものにも災いが降りかかるのだと伝えられているのです……」
なるほど。
PKなんかをしたら露骨に距離を取られたりする訳はそこにあるのね。
これもまた、ウワサ話による伝説というわけだ。
「負を持つ者は強い魔……つまりモンスターを寄せるという話もありましてな、騎士でさえ手を焼くものもいるのだとか。 ウワサの域を出ぬ話とはいえ、そんな人間のそばに行きたがるのはよほどの物好き以外いないでしょう」
はーい、よほどの物好きです……ってやかましいわ。
「……なる、ほど」
思い当たる節しかないおぼろちゃんはそのまましゅんとうなだれてしまった。
「とにかく、もしかの盗賊が戻ってきているのなら一大事です! 地下水道からモンスターがあふれ、街に入ってしまうやもしれませんからな! ですからどうか力を……毛細地下水道に入って賊を捕まえてくだされ! この通りです!」
マルジンさんがそうやって手を合わせながら私たちに頼み込んだそのとき、スケスケウインドウが姿を現し、こんなことを告げてきた!
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フォークロア・クエスト「自由なる神風の盗賊」発生!
伝説の盗賊【ブレーメン】が復活した!?
【毛細地下水道】に逃げたという賊を追い、奪われたものを取り返せ!
達成条件:【ブレーメン】の捕縛、もしくは【静寂のブローチ】を取り返す
報酬:???
制限:レベル20以上の生産職プレイヤー1人を含めたパーティ
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そのすぐ後にチュートリアルが現れ、状況を解説してくれた。
フォークロア・クエスト。
それはクエストごとにある特殊な条件を満たし、関りを持ったNPCからウワサ話を聞くことで開示される、この世界に伝えられている伝説になぞらえた物語の攻略クエスト。
「リーズさん……もしかしてギルドに集まってたNPCって」
「多分これの条件を満たせるプレイヤーを探してたのね……それで、手持無沙汰になってた」
なんてったってまだゲームが始まってまだ4日。
何万エンもする生産用のアイテムなんか持ってないユーザーの方が多いだろうし、β勢はダンジョンに潜っているか、ほかの街を探しにフィールド探索をしている頃合いだ。
ということは、これはまたとない大発見になるんじゃないかしら!
おぼろちゃんのこともあるし、これは受けるっきゃないでしょう!
次回、ダンジョン【毛細地下水道】攻略開始!




