いきなり窮地! リーズ包囲網!?
お待たせしました
3章開幕です!
「おいそっちに行ったぞ! ライ、パール! 時間を稼げ!」
「がってんでえ!」
前略パパとママへ。
お元気ですか。
私、荒垣莉世は今、殺されそうになってます。
さっきまでとっても気分がよかったわよ。
お金稼ぎの当てが見つかったのだからそりゃスキップの1つでもしたくなるってもんでしょ。
だけどその要になるアイテム、【リキッドウェア】の必要素材を集めようと思って、街から出たらこのありさま。
こういう連中のことをPKとか言うらしい。
モチロン制限はある。
PKは経験値をもらえないし、やればやるほど人を殺したことになって街のNPCからの印象が悪くなっていく。
ただしこっちも死んだときのデメリットはがっつり受ける……まあ私には関係ないか!
ただ、こんな時に限って仲間は不在で待ち合わせ中! 多勢に無勢で大ピンチ!
「【ロックシュート】!」
「あーーーーーもーーーー! うっとうしいわよあんたら!!」
「へっ、だったら降参しちまえよ!」
無駄に統率が取れてるあたり、ほかのゲームでもこういうことしてたんでしょうね!
ほんっと趣味サイアクで嫌になる!
今もそう、岩を飛ばしてくるローブの魔導士から逃れようと走れば、すかさず大盾使いが前にきて邪魔をする!
「逃がさないよん」
「邪魔しないでもーーー!! ブリッツブリッツブリッツブリッツ!!」
「何度やっても無駄さー! 君の雷はボクが無効化するからねー!」
こいつは雷耐性のある装備でガッチガチに固めてあって、ただのブリッツじゃ効きやしない!
しかもここで足を止めると、
「そこだ!」
さっきから指示を飛ばしてるリーダーが襲い掛かる!
大きく飛び上がりながら振り降ろされる大剣、こんなの食らったらひとたまりもない!
「【トペ・スイシーダ】!」
だったらイチかバチか、高速タックルで離れながら後ろのローブに攻撃する!
離れたところは土煙がもうもうと上がる……ちょっとぞっとしたけど、これなら大剣使いはこっちが見えない!
大盾使いも動きは私と同じくらいだし、この速さは追いつけない!
「吹っ飛べ―――!!」
ローブの男は呪文を唱えてるけどもう遅い!
あんたを吹っ飛ばして、ブリッツ唱えまくって大盾騎士ごとあの大剣使いを消し飛ばしてやる!
「【インターセプト】!」
「え?」
思わず声が出た。
だって急に私の前に盾使いが出てきて、進路をふさぐんだもの。
「君が吹っ飛べ、【オーラカウンター】!」
そこから盾が輝きだし、飛び出した光に私は弾き飛ばされた!
「【マウントブレイク】!」
そこからローブが呪文を発動!
地面を割って現れた小さな岩山に背を突き上げられ、私はその横に墜落する!
背中の痛打にもがく私に、ゆっくりとリーダーがこっちに歩み寄ってきた。
さながら処刑人のように剣を振り上げながら、私に語り掛ける。
「なんで私を狙うのかって聞きたそうだな」
何もなければ、暗い過去のある歴戦の戦士みたいな顔をひどくゆがめて、にやにやと笑いながら。
女の子1人を3人で囲むなんてプライドもへったくれもない戦い方して、勝ち誇ってるんだこいつ。
ホント趣味が悪くて嫌になる。
私がこいつらに何をした? 考えても考えても答えが出ない。
「あのチート薬、まだあるんだろう? それを俺たちにくれよ」
「……!」
「あれがありゃあお前に用はねーんだ……俺に渡しさえしてくれればこれ以上お前を痛めつけねえし、これ以降お前の前に姿は出さない。 それでいいだろう?」
私は歯ぎしりしたくなった。
こいつら、よりにもよって【シンデレラパウダー】を奪い取りに来たんだ。
ユニークアイテムはお店で売ることも交換することもできないけど、譲るっていう形ならほかのユーザーに送れる。それでも自前で交換できるものがないから、こうやって無理やり約束を取り付けて奪おうってか。
人のものを奪おうとしてくる奴。私から家を奪った、あのヤのつく自営業のような――!
「絶対イヤ! 私はね、お前みたいなのが心の底から嫌いなのよ! どうしても欲しけりゃリアルマネー10億持って、正当に取引しに来いクズ野郎!!」
「……そうかそうか! いいだろう!」
モチロンこれは10億払うのを了承したわけでも、そのまま諦めてくれるわけでもない。
だってちょっと青筋たってるもん。
「俺は我慢強いんだ……お前がこの交渉に応じてくれるまで、この先ずっとリスキルしてやるよ……それでトップの連中に、ファラのやつに勝てるなら安い話だからなあ!!」
そう宣言した大剣使いが、振り上げていた剣を一気に降ろさんとしたときだった。
「リヨさんっ!」
草の中から小さな影が、私の偽名を叫びながら飛び出す。
そして大剣使いとの間に細い光が走り、お腹を切り裂いた!
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スタイル【抜刀斎】発動! ダメージ20%UP!
スキル【後の先】発動! ダメージ30%UP!
スキル【辻斬り】発動! ダメージ50%UP!
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「ぐっ――!?」
それが攻撃だとわかったのは、片膝をついた大剣使いのHPがイッキに半分近くまで減ってのに気づいた時。
うそ……今の一回で!?
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スキル【残心】発動!
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更にそこからもう1つスキルが発動する!
……どういうことだかさっぱりだけど、この言葉が意味するところは私にもわかる!
「いかずちよ! 【サンダークラップ】!」
すかさず私は雷をローブに向けて落とす!
当然盾使いが盾をかぶせるように掲げて雷を阻む!
「バカ!! 今すぐ盾を前に構え直せ!」
おっと大剣使いは気づいた! 私がこれを狙ってやったことに!
残心は武道の基礎。
1撃を入れた後も油断せず、構えと間合いを崩さないようにするっていう心構えのことだから――。
「えっ、【制圧の構――」
「一瞬です、【一刀・初夢】!」
さっき飛び出した影はまた攻撃の構えをとってスキをうかがってる!
今度は二人の真横から飛び出す。
そして盾を前に構え直す前にもぐりこみ、そこから真一文字に腹を切り裂いた!
「このォ!」
悲鳴も上げられず消える盾使いを見たあと、ローブは杖を頭めがけて振り下ろす……けど。
ほんの数歩だけ横に動いてかわし、再度剣、いや刀を鞘へ収める。
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スキル【残心】発動!
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「遅い!」
身をかがめてからの居合抜きでローブ男を見事返り討ち!
「ぐ、が……!」
「ちっ!」
お仲間が真っ二つにされて一気に劣勢になったのを悟ったか、残った大剣使いは手を掲げるとそのまま消え去った。
【イカロスの羽】で逃げやがった! くっそー、真面目に戦えーー!
「リヨさん、リヨさん! 大丈夫でしたか!? お怪我してないですか!?」
周りの安全を見て確認すると、助けてくれたその子はこっちまで駆け寄ってきて、私の名前を連呼する。
うーん卑怯だなあ……。
そんなに泣きそうな顔で来られたら、ちょっとでも強がらないと逆にこっちが申し訳ないじゃん。
「う、うん大丈夫……」
「よかった……あっ、すみません! 助けるのに必死で、名前をそのまま……」
「いやいやいいよ、まだこっちの名前に慣れてないもんね……うん……」
リヨも莉世をごまかすための偽名だし、私もたまに間違えそうになるし。
あ、そうだそうだ。紹介します。
青っぽい黒髪をおさげにして、赤くて無地の振袖と足袋が見えるくらいの袴を着つけたこの達人級な居合いを見せる女の子、彼女の名はおぼろちゃん。
またの名を……流子ちゃん。
にわかに信じがたいんだけど、あのリアルでは竹刀を背負った天使のような子が、こちらでは死神の鎌を構えた天使のような子となっていたのです……
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