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インスタ!〜スタミナ極振り没落令嬢、今日もVR世界にダイブ・イン!〜  作者: 地雷源
第二章 グルグル! 混ざりあえ、強欲の灰被り姫!
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爆走レースバトル! VSファラ!

 

 イグニール大洞穴。

 ベータ時代、数多の挑戦者を返り討ちにし続けた洞穴は、頂上にある入り口から火山の中心へ下っていくように続いていく天然の迷路だという。

 モンスターたちのレベルも平原にいる連中なんかよりずっと強いし、並のプレイヤーじゃあ頂上の入口にたどり着くこともできずにスタミナ切れで撤退させられ、着いたとしても中の焦熱地獄でHPを削られ尽くすという、まさしくプレイヤーにのしかかる圧倒的な要塞だった。


 ゆえに難攻不落のダンジョンであるとウワサが立ち、瞬く間に伝説となったのだ。

 けれど今日、その伝説は幕を閉じることになる。


「ルールは簡単! このダンジョンの最深部にどちらが先に着くかを競う! それだけですわ!」


 この高慢ちきか私たちか、どちらかの手によって。


「……結局ファラと争うことになっちまったな」


「いいわよ、私は望むところ。 あの女の鼻を折ってやるのが目的だし」


 ファラが企画を視聴者に説明する際中、私たちは洞穴の入り口で話し合っていた。


「でも私より先にアルがケンカ吹っ掛けるとか思わなかったわ……」


「そりゃ乱闘になったら勝てないからな」


「うぐ……」


 あのまま言い争いになっていたら間違いなく私が手をあげて、そのままルール無用の乱闘騒ぎになってた。

 不意打ちが決まったとしても、何でもありの状態からファラに勝てる可能性は限りなく低い。私たちはそのままファラに蹴散らされておしまいだっただろう。


「でも私のことそこまで信用してくれるんだね、ちょっとうれしいカモ」


「多分お前のが感染ったんだろうな……気づいたらいろいろ言っちまってた」


 ……おいおい染まるの早すぎか?

 まだ出会ってから2日しかたってないのに。


「……ねえアル、もしかして彼女さんから気が多いとか言われない?」


「まさか、俺は一途だぞ? なんかよくむくれてたりするけど……あ、ちょろいとかはけっこう」


 ぬけぬけと返してきたアルに私は頭を抱えた。

 そういうのですよそういうの! この天然やろうめ!


「……なんだその目は」


「別に~! カノジョさん苦労してそうだなーっておもっただけー!」


「【従者】アルフォンス! 蛮族娘!」


 私の言葉の意味が分からないらしいアルが小首をかしげていると、ファラが振り向きざまに、私たちを呼ぶ……って!


「蛮族娘ってやめろ! 私はリーズよっ」


「互いを監視するため、あなた方も動画配信をなさい、ありえないとは思いますがチート行為などは言語道断ですからね」


「はいしん?」


 いきなりの言葉に私はぽかんとしてしまった。

 そういえば配信動画ってどうやって作ってるんだろう?

 カメラとかいるんじゃないの?


「……なんで固まってますの?」


「あー、こいつゲーム初心者だから……リーズ!」


「……おほほ、仲のよろしいことで! これより彼らと配信をしながら、最深部まで競争いたします! 皆様にもし挑戦者側の勇姿をご覧になりたい方がいらっしゃればURLでご覧くださいませ――」


 そういうとファラは腰のあたりをつまみながら、うやうやしく一礼した。

 そしてアルと私が立っているところの真横に立ち、


「負けた方はおとなしく引き下がる、約束ですわよ」


 挑戦的な目をこちらに向けてきた。


「そっちこそ! 負けても文句言わないでよね!」


 こうなってしまった以上、もう引き下がれない!

 ファラに勝って、私はもっと先へ進むんだ!


『わこつ』

『わこわこ』

『せめて無様に負けるなよー』


「よし、つながった」


 観客のコメントも流れてきてなんだかテンション上がってきた!

 でも基本無視! なんたってレースに集中できないもんね!


「行きますわよ……3」


「リーズ――」


「え?」


 ファラがカウントダウンを始めた時だった。

 隣のアルがこっちにささやいてくるように、口をパクパクさせる。


「2……1! スタート!【スプレッド】!」


 レースバトルが始まった瞬間、ファラの魔法でまた足元が崩れだした……!

 ってバカの一つ覚えか! さっきと全く同じ攻撃しやがって!


「走れ!」


 アルの叫びにはもう走り始めてたけど、私は素早さになんか振ってないからギリ間に合わない!


「リーズ!」


 水の吹き上がる寸前、私より先にいるアルがこっちに手を伸ばす!

 ええいこなくそーー!


「よしっ!」


 手と手が触れる! 間違いなくアルの手だ!

 それをつかめば、筋力のあるアルが後は引っ張ってくれた!


「さすがに二度も引っかかりませんか!」


 すぐさまファラは私たちを追い始める!

 アルの【臆病者】のおかげか、並走までには至らないけど斜めすぐ後ろにぴったりだ!


「せこくない!?」


「いいから走れ! 次が来るぞ!」


「おーっほっほ! 私は妨害を禁止にした覚えはありませんわよ!」


 こいつ……!

 なおもファラは手持ちの本を開き、空いた手に水をまとわせ始めた!


「水よ、流麗なる歌を弾け!【ヴァッサーブルーム】!」


 そうして出来上がったのは大きく反りあがった剣のような激流!

 横に払われたら絶対当たるじゃないあんなの!

 ……待てよ?

 ファラの魔法は水ってことは!


「リーズ! さっきの氷まだ残ってるか!?」


「……うん!」


「何をごちゃごちゃと! 一気に薙ぎ払って――!」


「これでもくらえ!」


 ファラが振りかぶったそのタイミングに合わせて、私はファラの足元に【凍結結晶】を投げつけた!


「さしあらーーっ!?」


 すると凍り付いた地面でファラはスリップ!

 見事に足を空回りさせて、すっころんだ!


「【スーサイド】オン!」


 まだまだ!

 そのすきに差し込むように、私はスーサイドを発動!


「ブリッツブリッツブリッツブリッツーー!」


 完全に離れるまでに何発か電撃を浴びせてやった!



『ファラ様――――!』

『何が起きた!?』

『雷魔法ってこんなクールタイム早いのか!?』

『チーターかこいつ?』



 コメントは阿鼻叫喚!

 まあ完全アウェーだし仕方ないか!

 それにしても、人の反応がこんなにすぐ来るのってちょっと面白いわね……何かお金稼ぎに使えないかしら……


「す、すまん……ちょっと自分で走ってくれ!」


「ごめんごめん!」


 閑話休題!

 軽く肩で息をし始めたアルの言葉で現実に立ち戻った私は、アルの手を放し、洞穴の奥へと走り始めたのだった――。


いよいよ洞穴内部の攻略が始まります!


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