表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
インスタ!〜スタミナ極振り没落令嬢、今日もVR世界にダイブ・イン!〜  作者: 地雷源
第二章 グルグル! 混ざりあえ、強欲の灰被り姫!
19/87

頂上にて役者はそろう!


~前回のあらすじ~

山へと続く街道にてファラの過激派親衛隊と真っ向勝負!

錬金術のアイテムで難なく勝利を収めたのでした……


「ほらアルー! はやくー!」


「待ってくれよリーズー……」


 最後の坂を上り切り、無事洞窟前に到着ー!

 どーよ、これぞスタミナ極振りの面目躍如!

 荒れ地だろうが山道だろうが関係なく、私は前へ突き進むのだー!


「……誰もお前みたいに、体力オバケじゃねえんだからさ!」


 休みなしで登ってきたからか、アルは肩で息をしながら私の通った道を下からゆっくり歩いてくる。

 ……山登りなんてやったことないからあんまりわかんないけど、そこまでなるものなのかな? ちょっと演技はいってない?


「なーに言ってんのよ、ファラだってもうきてるかもしれないのに!」


 ファラは今日この日をもって、このダンジョンの不敗神話を終わらせると豪語した。当然、洞穴に至るまでの最短ルートだって知っていておかしくはない。そうじゃないと向こうは中でスタミナが尽きちゃうもの。

 実力も段違いでこの違いはかなり不利だけど、勝算はある。

 錬金術で作った5つの秘密兵器と、私のスタミナ、そしてアルという仲間。

 この三つがあればファラにだって付け入るスキは出てくるはず。


「私の前で令嬢を名乗ったのが運の尽きよ、本物の力思い知らせてやるんだから……!」


 この戦いに勝てれば令嬢=オホホな悪役というこの世の不条理に一石を投じ、なおかつ私は未踏ダンジョン初の攻略者として一躍有名になる。

 そんな中で攻略に使ったアイテムを売りに出せれば大儲け間違いナシ! 一石三鳥でスタートダッシュにしては最高の結果よね!


「ふふふふふふふふ……」


 まずいまずい笑顔が止まらん。

 まだダンジョン攻略できてないのにこれはいけないわよね。

 こういう時はあれよ、単純作業で落ち着きましょう。

 アイテムボックスからさっき保護者気取りにぶっかけた汚染水のツボととっておいた駆け出しの杖を取り出し、下準備。

 というのもこのツボ、入れ物として調合したせいなのか中に水を入れてかき混ぜるだけで汚染水として使えるようにしてくれるという、貧乏人にはありがたいアイテムなのだ。


「おい、ついた……みず~」


「はいはいお疲れ様、水ねー」


 ようやっと来たアルも疲労困憊だし、ついでに少し休憩しましょうか。

 アルご所望の水を出しておいておく。

 一応言っとくけど、ツボから出してないからね!


「その杖、まだ捨ててなかったんだな」


 へたり込んだアルが汚染水のかき混ぜ棒になってる私の杖を見ながら続ける。


「そーよ、なんたって私の初めての武器だもの!」


「おまえ、甲子園の土とかライブチケットの半券とか記念に取っとくタイプか?」


「……よくわかったわね」


「捨てとけ捨てとけ。 そんなもの後生大事にとっておいたってかき混ぜ棒くらいにしか使うところないだろ」


 かき混ぜ棒に使うからいいもんうるせーやい。

 この使えなさそうな杖を捨てなかったのはモッタイナイ精神などでは決してない。

【理解】の力で【耐久無限】って効果が見えたから持ってきたの。すごいわよ、何しても壊れないのよこの杖!

 今はかき混ぜ棒くらいにしかならないけど、きっと将来とんでもないものにバケるんじゃない!?

 いや、バケさせて見せる! 錬金術士にふさわしい杖に、私がこの子を変えて見せるわ!


「まあ、いいけどよ」


 温度差!?

 私の決意に対してアルはため息交じりに返してきやがった。

 こいつめぇ……と内に秘めたる火を燃やしてたら。


「おーほっほっほ!」


 入口の方から昨日ぶりの声がした。

 黒い長髪とマントの下にスリットのあるマーメイドドレス、間違いない……けど、


「なんでファラがいるのよ!?」


 なんとファラが突如として虚空から現れ、すでに洞穴前に着地してるではないか!


「まさかインチキ!?」


「……【イカロスの羽】! 一度行った場所の近くに一瞬で飛べるアイテムだ!」


「というわけで洞穴前からごきげんよう! 私も初めての試みでしたが、成功しましたわね!」


 どうやらアルの言う通り、普通にアイテムを使った成果みたい。

 ……というかそんな便利アイテムあるんかい!


「シモベの皆様も、ダンジョン攻略する際には一度下見をしておくことをすすめますわ! それもせずに回復アイテムを大量に持ち込むのはもちろん、『一気にダンジョンを攻略するためだけにスタミナ極振り』など愚の骨頂ですわよ!」


 ……ぶちっ☆と私の中で何かがちぎれる音がした。

 いや言わんとするところはわかる。こうやってワープ用のアイテムがある以上、スタミナ関連の問題はある程度緩和される。

 けどさあ、頭ごなしに否定するのはやっぱ違くない?


「…………。」


「ステイ」


 無言で杖を持ち出そうとしたのに気づいたアルが、私を動かすまいと肩をつかんだ。

 ちくしょー! なんで気づいたのよ!


「なんで止めるのよ!」


「そんなギラギラの顔してたら誰だって止めるわ! 冷静になれよ!」


「なれるか! あの顔に電撃ぶつけてやる!」


「ファラはさっきの連中とは格が違う! ここでやられたら元も子もないし、もし仮に勝てたとしても復活してすぐとんぼ返りされるだけだぜ!」


「ぐ、ぬぬぬぬ!」


 私はとっても冷静だから、アルの言うこともよく分かった。

 相手はのっけからこっちと比べて優勢。体制を整えさえすればすぐにここまで戻ってこれるもの。

 今下手に手を出すときじゃない。

 だったらせめて、どうにかして先に洞穴に入る方法を……、


「やべえ!」


「ぐえっ!?」


 考え始めた矢先にアルが突然動き出し、私の首根っこをつかんだ。

 そしてなんでかすぐに離れようと、足に力をこめる!


「くせ者、見つけたりですわ!!」


 しかしいざ駆けだそうとしたそのとき、目ざとくこっちを見つけたファラは右手を振り上げ、


「清流よ、かの者を突き砕け! 【スプレッド】!」


 踏み込んだその場所から、勢いよく水を噴き出させたのだ!


「しまっ――!」


 踏み込む場所そのものがなくなってしまったらなすすべはない。

 私たちは無様にも水流に打ち上げられ、洞穴の前へ、


「まったく、マナーのなってない観客(オーディエンス)もいたものですわね!」


 ファラの前へと、投げ出されてしまった。



ここまでお読みいただきありがとうございます!


巷ではいまだに続く自粛騒ぎで疲れたという方もいますが、そんな方々にこそ元気にはしゃぎまわる彼女たちを見て笑顔になっていただけたらと思います!


まだ評価やってないよ! 他の人にオススメしたいよって方、下の星ボタンやツイートでどしどし広めちゃってください!


次回からはVSファラ!

果たしてどのような戦いが繰り広げられるのか、それは見てのお楽しみ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] まぁそりゃ一度行った場所にワープ出来るアイテムくらいないとユーザーからは非難轟々でしょうからね……。ほならね、ルーラ的な魔法を実装しろよって僕は思いますけどね( ◜௰◝ )‬  しかし、リ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ