表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/34

太陽神様

(油断してたのもあるけど……強いな)


 大剣を引き抜き、対峙するミツキは相手の力量を測ろうとしていた。

 対峙した時の、この緊張感。

 実力で言えば、前に戦った魔国幹部のレークインや、色の騎士であるヨハンよりも上だろう。


「メリア、相手めちゃくちゃ強いぞ」


「わかってるわ。それに、ちょっと変な力もあるみたい。切られた腕の力が落ちてる」


「毒って訳でもないだろうけど……攻撃を受けるのは危険か」


「喋る余裕がおありなのですね。では、まずそれをなくしましょう」


 ゆっくりと歩いてくるソレーユの得物は、2本の剣。

 1本は順手、1本は逆手で握っている。


「来るぞ」


「今度はちゃんと迎え撃つわよ」


「揺らめくように……細切れにしましょう」


 体を不規則に揺らしながら、突然ソレーユが加速した。

 狙われたのは、メリアだ。


「巫流《雨突(あまつき)》!」


 自分が狙われることはわかっていたのか、すぐに対応して前方への連続突きを放つ。

 牽制の意味も込めた、手数の多い技だ。

 だが、


「当たりませんよ」


 ぐにゃりと一瞬歪んだかのように見えたソレーユの剣は、突きを全て弾き、メリアの両腕を肘から切り落とす。


「このっ!」


 それでも怯まずに上段蹴りを繰り出すが、またしても不規則な軌道で振り上げられた剣により、足を切断されて防がれた。


「メリアばっか狙ってんじゃねえぞ。炎武《猛炎撃》!」


 そこへ既に第1権能を解放させたミツキの炎を纏った大剣が、側面から凄まじい勢いで突き出される。


「んっ……炎?」


 ソレーユは体を逸らして避けて1度下がると、その隙にミツキが2人のの間に入る形となる。


「怪我は?」


「ないわよ。でも、やっぱり力が落ちてる」


 くっついた腕と足を動かしながら、感覚を確かめる。


「炎、炎……普通じゃありませんが……でも……」


「なんかブツブツ言ってるけど」


「気にしなくていいだろ。けど、やっぱり強いな。出し惜しみできそうにない」


「なら私が隙を作るから、ミツキが決めなさい」


「隙って……簡単じゃないと思うけどな」


「仲間を信用しないさい。やってやるわ」


「そこまで言うなら……信じるぞ」


 本来ならば、狙われているメリアを下げたかったミツキだが、ここまで言われれば仕方ない。


「やっぱり確かめるしか……ええ、ええ、そうしましょう」


「納得してるとこ悪いけど、次はこっちの番よ」


「失礼ですけど……貴女に私を倒す実力があるとは思えません」


「正直に言ってくれるわね。でも、試さないとわからないわよ!」


 刀を下げて構え、メリアから走ってソレーユへと仕掛ける。

 少し遅れてミツキが追従するように走り出す。


「私を捉えられますか?」


「調子に乗ってるわね。巫流《波朧(なみおぼろ)》!」


 選んだ技は、最も自信のある揺らめく一閃。

 それもゆらりと歪んようにし、避けようとしたソレーユだったが、


「あら?」


 キィンと甲高い音を立て、防いだ剣を弾かれ体勢を崩された。

 避けられる思っていたが、防いだのはほとんど直感。

 そのおかげで切られることはなかったが、この状況はまずい。


「私の幻楼(げんろう)に当てますか」


「自信満々の顔が崩れたわね。ミツキ!」


「ああ。炎武《炎天》」


 準備していたミツキが、メリアと入れ替わるように前に出る。

 大剣に炎が集まり、収束される。


「《昇炎(しょうえん)》!」


「やはり……間違いありません。炎舞《焔流し(ほむらながし)》」


 振り上げられた大剣の炎は、天に昇るように火柱が上がる

 当たれば燃え尽きるであろうその攻撃を、ソレーユは炎を纏った2本の剣で受け流した。

 とはいえ、無傷とはいかなかったのか、衝撃でゴロゴロと後方へ派手に転がった。


「防がれてるわよ」


「完璧に入ったと思ったんだけどな。そういや、さっきのはどうやって当てたんだ?」


「向こうは炎魔法で、意図的に剣の長さを歪ませてたみたい。で、普通の攻撃だと見誤って当たらないから、同じ原理の技で相手にも刀の長さを誤認させて、当てたわけ」


「俺には真似出来ないな」


 2人は話しながらも、不用意な追撃は仕掛けずソレーユの出方を伺う。

 決めに行ったはずのミツキの技を凌がれた。

 お互い顔には出さないが、冷や汗が頬を伝っている。


「素晴らしいです。そちらの方、お名前をお聞かせください」


「ん、俺か? ソレル王国戦士団、ミツキだ」


「ミツキ様ですね。やっと……やっとお会いできました」


 ソレーユは恍惚とした表情で、ミツキへと歩み寄ってくる。

 その手には剣は握られておらず、敵意も感じないが、自然と2人は警戒する。

 そんなことは露ほども気にしていないのか、ソレーユは目の前まで来ると、膝をついて深々と頭を下げると、


「我々ジュア法国は、ミツキ様……いえ、太陽神様をお待ちしておりました」


 そんな爆弾発言をした。


 * * *


「どうぞミツキ様、お入りください」


「あのさ、ソレーユさん」


「ソレーユとお呼びください。さん付けなんて、恐れ多いです」


「じゃあソレーユ。この対応はなんなんだ?」


 あの後、ヨハンとソフィアも合流した4人はソレーユに案内され、ジュア法国の首都へとやって来ていた。

 そこで4人、特にミツキが熱烈な歓迎を受け、広く豪華な一室へと連れてこられている。


「ですから、太陽……ミツキ様を待っておりましたから」


「おい、ミツキ。お前何したんだよ」


「俺の炎魔法が凄いんだってよ。なんでも、ジュア法国は全員が炎魔法の使い手らしいし、憧れみたいなもんらしい」


「はい、その通りです」


 恍惚とした表情が崩れそうもないソレーユは、そう言ってミツキの言い分を肯定する。

 太陽神様、と呼ばれた時は焦ったが、メリアには後で説明すると約束し、人前では名前で呼んでもらうようにした。


「それにしては大袈裟な気もするが……他国の文化だしな。否定できねぇか」


「ミツキ凄いんだね!」


「そ、そうみたいだな」


 若干ひきつった顔をしつつも、ミツキたちは案内された席に座り、対面にソレーユと中年の男性が座る。


「初めまして、ミツキ様と仲間の皆様。私はジュア法国教皇、スールと申します」


「俺らのことは知ってんのか」


「ソレーユさんから説明を受けましたので」


「そうか。まず、ここまで招き入れてくれてありがとう」


「いいえ、同士を助けていただいたようですし、当然です」


「その節は申し訳ありませんでした。私の独断で攻撃してしまい……」


「もういいからさ。それより、お願いがあるんだけど」


「どうぞなんなりと。我々にできることでしたら」


 ニコニコ顔のスールの物腰は柔らかく、何を頼んでも受け入れてくれそうな雰囲気だ。


「俺たちはウナアーダに行きたいんだ。そのために、ジュア法国を通らせてほしい」


「それは難しいです」


「えっ」


 断られるとは思っておらず、素っ頓狂な声を出してしまう。


「いえ、ちゃんと理由があるんです。説明をしますので、ソレーユさん、案内をお願いします」


「承知しました。皆さん、少し歩きますが構いませんか?」


「いいよな?」


「俺は問題ないな」


「私もっ!」


「私もいいけど、後で少し話がしたいわ」


「私に、でしょうか。もちろん構いませんよ」


 ニコリと笑顔で了解したソレーユに連れられ、4人は忙しなく再び移動を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ