モンスターをテイムしました
伐採クエストは東の平野を超えた森だった。
私たちの他にも何人か受けているようで、地主だろうひとに各グループ離れて割り振られた。
セルと一緒に移動する。
どうやら、薬草や毒消草と豊富なようだ。
「早速作業始めようか」
「はい、少々離れていただけますか。危ないですので」
言われた通り私が離れるの確認すると、セルは半身をひねり、木を蹴り倒した。
そう。蹴り倒した。
儚い系な見た目してどんなパワーだ。
「大胆な伐採方法だね」
「拳でも行けますが、2発当てないと崩れません。」
セルが、ずずんと地響きをさせ倒れた木に触ると、ぱっと原木に加工された。
セルは、原木も木材に加工し素早く鞄に詰めていく。
木を倒せさえすればスキルによる加工が可能なようだ。
どんどん進む作業。鞄に詰める作業も楽々と行われる、建築士は大変力持ちのようだ。
私の出番はなさそうなのでセルに任せることにした。
「疲れたら無理せずに休憩しよう。ちょっと薬草を採ってくるから離れるよ」
「はい!わかりました!」
私はセルから離れ、毒消草と薬草をバケツに根こそぎ採取する。
離れても地響きが聞こえる方へ向かえばすぐ戻れるだろう。
薬草6株に、毒消草3株と大量だ。
最後に1つ残ったバケツには、ラベンダーを見つけたので根ごと掘り返し観賞用に部屋に置こう。
ラベンダーはリラックス効果のある香りで、前世ではスチームで焚くなどしてとても重宝した。
香水は今のところ見かけていないので自作するのもありかと思う。
この森は全くの手付かずだったようで、
野生で生えた人参、じゃがいもに、筍
と色々見つかった。
セルに後で竹も伐採加工してもらおう。
まだまだ色々なものが生息していそうな森。
アイテムバックにも余白があるのでたくさん採取出来そうだ。袋を作って土を取っておくのもありかもしれない。栄養豊富な土は菜園を作るのに必要だ。
ラベンダーを確保し、一息つく。
「マスター」
「!セル!いつの間に!」
いつの間にか斜め後ろにセルが立っていた。
「随分集中されていたようでしたので邪魔をしてはいけないかと……」
「ああ、ごめんね。これからは気にせず声掛けちゃって、休憩にする?」
「いえ、アイテムバックがいっぱいになったので報告に来ました」
いくら命の危険のない森でも、集中しすぎるのはいただけない。気をつけよう。
アイテムバック小はすぐいっぱいになるようだ。
アイテムバックのリストを見せてもらう。
丸太、原木、木材と、それぞれかなりの数を入手出来たようだ。
木の種類も樫木、白樺、檜、檜葉、とどれも建築に適した、強度や耐久性の高いものであった。結構な量とは思うが、どうなのだろう?
「一軒家を建てるのにどれくらい必要?」
「そうですね。小さめの一部屋のログハウスであれば今の量で充分作れます。資材さえあれば、何度でも増築可能ですので」
「もう建てられるの!?」
「はい。私は森の精霊ですので他の建築士よりも早く建てられます。二、三時間ほどで可能です。家を木材にばらすことも出来ます。多少木の量は減ってしまいますが」
二、三時間でログハウス建てられるって、森の精霊すごい。というか聞きたい内容全部教えてくれるセル有能すぎません?
これは夢のマイホームの入手が今日にでも可能ではないか。
必要最低限、家でベッド様に綿と布は必要だ。窓も欲しいので冒険者ギルドでガラスを手に出来ないか聞いてみよう、と夜にモンスターはどうしよう。
「モンスターって家を襲う?」
「人が住んでいるところに基本近づいてきませんが、一応ラベンダーを置いておくというのも手だと思います。」
「ラベンダー?モンスターってラベンダー苦手なの?」
「基本的にモンスターはラベンダーを嫌いますので1株でもあれば近づいてこないですね。ドラゴンなど強いモンスターは避けられませんが」
なるほど。だから今日はモンスターに1匹も遭遇しなかったのか。
偶然にもラベンダーは、さっき手に入れたので良いとして
ドラゴン……強くなったら出会ってみたいものだ。
ラベンダーが枯れたらどうすればいいんだろう。ドライフラワーにしても有効なのかな?
「さらに不安でしたらモンスターをテイムして門番にするのもありかと思います。」
「え!?モンスターってテイムできるの!?」
「?はい。テイムアイテムの〘魔物のご飯〙は、ララの実と薬草で作ることが出来ます。この辺りは万人に好かれるモンスターが少ないので、テイムしている人はいなさそうですね」
なんということだ。
モンスターをテイムする事で仲間にできるのは結構常識だったようだ。
ララの実は手元にあるからすぐ作れる。
常識知らずの私に嫌な顔ひとつせず色々教えてくれるなんてセル優しい。
美味しいものいっぱい食べさせてあげるからね!
「他にも何か必要なものとかある?」
「薬草と毒消し草で作れる防腐剤、防虫剤などが欲しいですね。」
「わかった。作るね。……ねえ、周りに人っていそう?」
「近くには居ないようです。私たち以外は南西方向と、北の方に人チームずつとかなり離れているようです。」
たしかに目視できる所に人っ子一人居ない。
「いる方角までわかるの?」
「木や草花が教えてくれました。私は森の精霊ですから」
自然セコムだ。
セルすごい。
「セル、何か欲しいものとかある?時間かかっちゃうかもだけどプレゼントさせて」
「え……よろしいのですか?」
「私はセルに助けて貰ってばかりだからね。」
私が知らない知識をセルは沢山持っている。
知識は武器だ。
今後生きていく上で最も必要なもの持っているセルには褒美を与えよう。
それにセルがなにを欲しがるのか気になる。
なんでもどんとこい。
数瞬、迷ったように視線をさまよわせたセルは膝をつき、意を決したように顔を上げた。
決意をした力強い瞳がこちらを射抜く
「どうかこの身が朽ちるまで、マスターの元で働かせてください」
そういい、こうべを垂れるセル。
そんな事おやすい御用だ。
「勿論。こちらこそよろしく頼む」
ばっと顔を上げたセルの瞳は蜂蜜色をいっそう輝いていた。
「ありがとうございます。精霊の名の元に誠心誠意遣わせて頂きます。」
ふわっと輝かしい微笑みに同じく笑みで返す。
すると、セルと私の間で何かが繋がれた。
ステータスカードを確認すると
職業〘ただの人〙のレベルが上がり、新しいジョブ、〘精霊主〙を手にしていた。
セルの種族は、精霊から上位精霊と変化していた。
誓と共に、関係が大きく変化したようだ。
「よし、そしたらご飯を食べてから家を建てる場所をみつけようか」
「はい。測量はお任せてください」
街へと戻り活気がある手頃そうなお店に入った。
「いらっしゃいませ〜お好きな席にどうぞ」
入口近くに腰かける。セルは壁際にたったままだ。
「どうしたの?座って?」
「あの、奴隷が主人と席を同じにするのは……」
「良いよ。向かいに座って。主人の私からの命令ね」
渋るセルは居心地が悪そうに着席した。ちらと店内を見回すと、他の冒険者の近くに奴隷らしき人物が佇んでいるようだ。
自分だけ食事をとるのは居心地が悪いのでセルには慣れてもらうとする。
「セル、何食べたい?」
「いただけるのですか?」
「体は資本だよ。遠慮なく食べてね。セルは好き嫌いある?」
「特にありません。ありがとうございます」
何でも大丈夫なようなので、おすすめプレートをふたつ注文した。
「お待たせしました〜」
プレートの内容は、黒パンに、野菜スープと、ウサギ肉と玉ねぎの野菜炒めだ。
モッサモサのパンを口にする。
セルはパンを小さくちぎり、そっと口にする。
弱っていた胃袋などの内臓もハイポーションで回復してると思うので、大丈夫だとは思うが、具合が悪くなったら即止めさせよう。
セルは十分にパンを噛むと飲み込んだ。
大丈夫そうだ。
「こんなにしっかりした暖かいお食事頂けるだなんて……ありがとうございます」
感極まったようにセルが瞳を潤ませた。
暖かいお食事って……今まで本当にどんな生活をしいられていたんだ……。
今後は毎日暖かい食事を食べさせてあげるからね!
食事を終え、武器屋に訪れる。
セル用の武器を購入するためだ。
木を易々と蹴り倒す怪力なので、必要ないのかもだけど、森に住むのだからひとつくらい持っておくべきだ。
武器屋は銅の剣やダガーなど様々なものが雑多に置いてある。
ひとつ10デルもしないので、貴金属は手に入りやすいようだ。
「セルはどんなの使いたい?常時持っててもらうからあまりがさばらない方がいいかな?」
「私が使っても良いのですか?しかし……」
戸惑うセル。どうやら奴隷に武器を携帯させないらしい。デジャブだ。
「モンスターが出てきたら素手より武器があった方が良いだろう?セルは大切な奴隷だからね。セルに居なくなられると困る」
「マスター……ありがとうございます」
感極まるセルを横目に良いのがないか鑑定していく。
〘銅の剣〙
空きスロット 空きスロット
2個も空きスロットが着いた剣があった。
お値段は8デルとお安い。これなら折れてもすぐ補充できるだろう。
「これでもいい?」
「はい!大事に使います!」
どうの剣を2本購入し、1本はセルに。
もう1本はアイテムボックスに予備として入れておく。
セルは腰に下げた銅の剣を大切そうに撫でている。喜んでもらえて何よりだ。いつか輝かしい剣が手に入ったらプレゼントしよう。
雑貨屋で追加で小瓶などを購入し、所持金は0となった。ハイポーションを作成し売りさばくので問題ない。
「建築士って建築に良さそうな立地とかもわかったりするの?」
「地盤が硬さ、地下水など建築に影響することは分かります。」
「川の近くに建てようと思ってるんだけど大丈夫?」
「問題ありません」
地盤沈下がわかるって凄いな。
どんな家にしようか話し合いつつ、街を出て北にある、川に向かう。
街道そばの川は、洗濯で使用されているようなので、綺麗な上流の方へと進む。
地下の水脈がわかるなら、井戸を作るのもありだろう。
樽を作ってもらってしばらくは、井戸水を組むとする。
「ここらに強いモンスターはいそう?」
「水晶蟹がいますね。あ、ちょうどいましたよ」
川沿いを進むと岩陰から蟹がでてきた。
全身が水晶で出来ておりキラキラと輝かしい。
手の挟みをキンキンと鳴らしている。
「全身が水晶な個体は珍しいですね。」
レア個体ならなお欲しい。
「魔物の餌を作りたい。人が来たら教えてくれる?」
「テイムするのですね!人が来たらすぐお教えします」
セルが周りを見張っていてくれる間に魔物のご飯をいくつか自動調合する。
ララの実と薬草ひとつずつで3個できるようだ。
コロコロ小さい丸く赤い玉を水晶蟹の手前に投げる。
カンカンとこちらを威嚇していた水晶蟹は、魔物の餌を器用に掴むと口に含んでこちら見ている。もう1個与えてみる。
素早く餌を食べた水晶蟹はハサミをおろして近づいてきた。
「成功したようですね」
〘水晶蟹:クライマー〙
テイムに成功したモンスターは、名前の横に所持者が表示されるようだ。
「水晶蟹って何食べるの?」
「川の小魚とかですかね。日中放っておけば勝手に食べてくれますよ」
「へえ」
わざわざ餌を与えなくていいのはよかった。
家を守ってもらうなら複数匹居た方が良いだろう。他にもいたらテイムしていく事にする。
かなり上流へと歩いてきた。
街とそれなりに離れているのでおやすいと期待しよう。
「川も近いしこの辺りに建てるのはどうかな?」
「地盤は問題ないですね。川の近くにしては硬くて良い土です。」
「じゃ、杭をさすね。とりあえず、半径100mだといくらになりそう?」
「10デルですね。100m単位で10デル上がるようです」
やっす
日本と違って土地が広大で非常にお安いのだろう。治安もモンスターが多い外ならではって感じか。
「とりあえず、半径500mで購入しようか」
「はい。測量完了しました」
「ありがとう。そしたら私は加工したものを売って土地を購入してくるからセルは整地をお願い出来る?水晶蟹を置いていくけど、危険があったらすぐ街に戻ってきていいから」
「わかりました!」
「早めに整地が終わったら平屋を建てはじめてて。窓ガラスは買ってくるからそのつもりでよろしくね」
元気よく返事をするセル。
頑張ってくれているので夜はウサギ肉のステーキにしよう。
「あ、これ水筒ね。井戸水入ってるから適度に休憩しつつ飲んでね。カニちゃんもよろしくね」
「ありがとうございます!」
カンカンとハサミを鳴らして答える水晶蟹。
作業するセルの近くをウロウロしているので、言葉は通じてるようだ。
近くに人がいないのは確認済みなので、小瓶にハイポーションを惜しみなく作っていく。
今日絶対必要なのはベッドだろう。
自動裁縫スキルがあるので、布団の素材に、綿と布を購入して飲み水とランタン、食料に火打石、フライパンも必要か
意外と入り用だ。
薬を全部売ったとして足りなかったら土地だけ購入して今日は宿に戻るべきだ。
ダブルベッドなのでセルと2人で寝転がっても狭くはないだろう。一緒に寝るのは我慢してもらうしかない。
ハイポーション15本に解毒ポーション5本、薬草100枚となった。解毒ポーションの値段はわからないけれど、それ以外で650デルになる計算だ。
まだ日はたかい。
川を下って見慣れた街を進み素材屋へ直行する。
馴染みのソルティさんに驚かれた、がスルーさせてもらう。セルが心配だから早めに戻りたい。
「凄い!薬草採取の才能があるんだね!コツとかあるの?あ、ごめん。こういうを事を聞くのはマナー違反だね。」
「いえ、大丈夫です。布と綿が欲しいんですけど扱ってますか?」
「どのくらい必要かな?」
「布団2組分欲しいんです」
「Ok!ちょっとまってて、あ、そこの棚に珍しいものが手に入ったから見てみて」
奥にものを取りに行ったソルティさんを待つ間折角なので教えてもらった棚を覗いてみる。
水の魔石25デル
光の魔石10デル
音の魔石5デル
「え、魔石欲しい」
「どう?気に入ったのあった?水の魔石は汚れた水を浄化してくれるから便利だよ。光の魔石は日中太陽に当てればその分夜に明るく光るんだ。」
「音の魔石ってなんですか?」
「触ると音が鳴るから、家のチャイムとかで使われるよ。大きさによって音が変わるから結構面白いよね」
「なかなか出回らないんですか?」
「鉱山に住んでる友人が売ってくれたんだ。だから次いつ手に入るかはわかんないんだ〜この大きさのものはなかなか手に入らないよ」
買うしかないだろう。
ダンジョンでは火の魔石が入ると宿屋の料理長が言っていた。
ダンジョンによってモンスターの系統が違うのかもしれない。
「魔石って使い切りなんですか?」
「ううん。魔石に魔力を補充すればずっと使ってられるよ。魔力はモンスターを倒せば手に入るからこの保管機に貯めるといい。魔石を買ってくれるならこれはサービスしておくよ」
「買います」
浄化する水の魔石に油いらずの光の魔石。
おまけで腰に括り付けられる保管機もくれるなら買うしかないだろう。
「毎度あり!そしたらまず買取ね。ハイポーション15本を450デル。解毒ポーション5本を75デル。薬草100枚を200デル。合計725デルでになります。」
解毒ポーションは1本15デルのようだ。
一気にお財布が潤った。
「お布団2枚分って話だけど、コットンは15m買ってくれたら5デルおまけして、70デル。綿は1kg10デルだけど、10kg買ってくれたら20デルおまけして、80デルで売ろう。どうかな?」
布が15mもあれば、シングルサイズのベッドであれば充分だ。おまけしてくれるのであればそれで良いだろう。
綿もおまけしてくれるので10kgで。
「じゃあコットン15mと綿10kg買います。あと水の魔石を2個と光の魔石を3個、音の魔石2個ください。245デルですよね?」
「245デル確かに受け取りました!思い切りの良さ最高だね!追加で水の魔石おまけしちゃう!またご贔屓に!まいどー!」
上機嫌なソルティさんに見送られ、素材屋をあとにした。
残金は480デルだ。
余裕でおうちを手にできるな。
次に、冒険者ギルドで土地と窓ガラスを購入した。
土地は半径500mで50デル。
窓ガラスは1m×20cm、10デルだったので1m×120cmを60デルで購入した。
残金は380デル。
雑貨屋で、小瓶と食器とフライパン。水筒。と斧とトンカチと釘を数本を購入した。
どの店でもまとめ買いすると安くなるのでお買い得だ。
残金は330デル。
トンカチを購入したのは、私が職業大工を入手するためだ。
セルには家を作って貰ってるので、家具については、私が同時進行で行うべきだろう。
宿屋部屋の荷物を取りに行き、女将さんにお世話になりました。と挨拶すると、
またいつでもおいでというお言葉をもらった。
前世ではなかった近所付き合いというものに胸がジーンとする。
屋台で黒パンと蒸かしたいもを購入し、帰路につく。帰宅したらウサギ肉のスープでも作ろうと思う。
1時間ほど前に通った道を進む。
川辺で水晶蟹がじゃれあっているのを発見した。今回見つけた水晶蟹はハサミや脚といった1部が水晶のようだ。
大量にある魔物の餌をぽいぽい投げる。
あ、何個か川に入ってしまった。途端餌に群がる魚たち。
川って小魚以外にモンスターはいるのだろうか?まあ、いいか。
新たに3びきの水晶蟹をテイムし、家の建築予定地に差し掛かると、セルの呼び声がした。
「マスター!」
顔を上げると、驚いた。
約25mプール2個分の更地が広がっており、川近くには伐採したであろう資材が山盛りに整っている。
その中央にセルが手を振って待っていた。
「セル!凄いじゃないか。山盛りだね」
「はい!良い材質の木ばかりでしたので、良いお家になると思います!玄関の位置は如何しますか?」
玄関を開けてすぐ川がいいだろう。マイナスイオン溢れる家とか憧れる。
「川に並行な感じで良いと思う。」
「わかりました!早速取り掛かります!」
「防腐剤と防虫剤作っておいておくから、足りなかったら言ってね。ちょっと実験してくるから離れるよ」
「はい!わかりました人が近づいたら声をかけますね」
「ありがとう。助かるよ」
木材を手にきびきび働くセルを横目に自動調合する。
防腐剤と防虫剤を5個ずつ作り、木材の横に置いておいた。
「水晶蟹〜集合」
声をかけると水晶蟹達が横歩きで集まってきた。水晶の部分が太陽にキラキラと反射してすごく綺麗だ。全身が水晶の蟹が一番体が大きい。
「みんなで家周りの見張りを頼むよ。近くのモンスターが襲ってきたら撃退してね。解散!」
水晶蟹は私の命令に応えるようにハサミをカンカン鳴らすと散り散りになっていった。
手に入れた土地は半径500mといっても、森は鬱蒼としていてとてもじゃないが見渡しきれない。
テイムモンスターの数は増やすべきだろう。
モンスターを探しつつスキル入手のために森へ入る。
直ぐに私でも切り倒せそうな手頃な小さい木をみつけられた。
斧を何度か振りかぶると、無事木を倒せた。続いて、伸びている枝を落とすと丸太になった。
スキルカードをチェックする。
職業に〘キコリ〙、隠匿スキルに〘大工加速〙を手に出来た。
木を切っただけでは、建築士になれないようだ。
〘大工加速〙
建築、工事、家具の制作時間を短縮できるスキル。
セルと同じスキルを無事手にできた。
折角なので川に転がっている石を四角くなるように、ハンマーで削る。外で調理する時に下にしく石が欲しいからだ。
何度か殴って削ると、かなり凸凹があるが、一応四角にはなった。
職業〘石工〙とスキル〘石工加速〙を手に入れた。
〘石工加速〙
石材の加工時間を短縮できるスキル
「うーん。大工加速は木材の加工時間を加速させる、だから木を倒さないと使用できないのか。石も採掘されてる状況じゃないとダメってことかな……?採掘スキルとかありそう」
ハンマーをしまって手頃な石を石工加速で加工する。
何も起こらない。
……え?どういうことだ?
素手ではスキル使用できない?
試しにハンマーを手にもう一度。スキルを使用する。
ぱっと綺麗に加工された。
そうか。道具不必要と書いてないスキルだから、石工にはハンマーが必要なのか。
といっても、ハンマーの面より小さな細かい堀も特に問題なく加工できるようなのでスキル発動条件は、とりあえず道具を持っていれば良いようだ。
ていうか、あれ。
道具不必要って書いてないのにセルは素手で加工している。
腕が斧ってことか……………
木を余裕で蹴り倒すあの怪力ならなんだって加工出来そう…
深く考えないようにしよう。
お読みいただきありがとうございます。