スキルが有能すぎます
宿屋で食事などを済ませ、ベッドの上に今日の戦利品を広げる。
薬草38枚
上薬草10枚
毒消し草20枚
上毒消し草6枚
ララの実90個
食用ウサギの革4つ
食用ウサギの上革2つ
食用ウサギの肉3つ
3,4時間でこれだけ手に入るのだから今後かなりのお金になりそうだ。
加えて、素材のまま売るのではなく加工して売ろうと思っている。
調合台のくぼみに薬草を入れ、付随されていた丸く削られた石でゴリゴリ削る。
これで用途が違っていたら哀しみだ。
鑑定をしつつ作業を進める。
すりつぶし開始してすぐに葉っぱから液体が分泌されて始め、1枚の薬草は粘ついた形状の〚薬草軟膏〛となった。
色は緑がかった乳白色とでもいえばいいのか。真緑の塊にならなくてよかった。
が、しかし。ここからどのようにポーションになるのか。作り方が違ったり?
……ポーションって液体だよな。
……軟膏か。
もっと水っぽく……
「これ水に溶かしたらポーションとかになってくれないかなーーー」
願望の掛け声とともに、井戸水を注いだコップに軟膏を思い切ってぶち込んでみる。
薬草軟膏はすぐに溶けきり、透明度の高い綺麗な薄緑の水となった。鑑定する。
〚ポーション〛
「わーお」
薬草軟膏は水に溶かすと、ポーションとなるようだ。
とても簡単に制作出来た。
匂いは無臭で、葉っぱの青臭さは全くない。
幼少期に葉っぱをすりつぶして遊んだ人はわかるだろうが、あの何とも言えない青臭さを口にしたくはないだろう。
良薬口に苦し、とよく言うが、苦いのだろうか?
体に外傷など特にないが、今後ポーションを活用していく事になる、慣れておかねば困るだろう。
いざ!!
勢いよく1口、口にする。
味は、無味。しいて言うならお水と言った感じだ。
苦くなくてなによりだ。
口をつけてしまったので、コップに入っている残りを飲み干す。
雑菌繁殖とか怖いからね。
体を確認すると、こころなしか爪がつやつやして、ガリガリだった体にお肉がついた気がする。
栄養不足もHPに関係するのかもしれない。
そういえば、この街でガリガリな人は見かけていない。
冒険者は筋肉モリモリ健康体という感じだ。
ポーションよりも上位なハイポーションを摂取すれば、より健康体に回復するのではないだろうか?
ちょうど手元に上薬草がある。
ハイポーションは30デルで売れるらしいが、飲んでみる価値は大いにあるだろう。
なにより、奴隷商人も貧相な客には渋るかもしれない。
一刻も早くダンジョンに潜るためにも、パーティメンバーとして奴隷は絶対手にしたい。
薬草はまた採取すれば良いのだから。
そうと決まれば、とっとと作ってしまおうと、上薬草を手に取る。
1つ1つすりつぶすの大変だな~と考えた瞬間、手元の上薬草が消え〚上薬草軟膏〛が現れた。
「は!?」
奇怪現象に慌ててスキルカードを確認すると、新たなスキル〚自動調合〛を手に入れていた。
入手条件をクリアしてしまえばスキルを会得できるようだ。
だが、この世界では7歳に「職業」で人生が決まる。
誰もがみんな努力でスキルを手にできることができるのであれば、わざわざ冒険者が気難しい職人に頼むはずがないし、「魔法使い」や「僧侶」などがレアジョブと呼ばれることもない。スキルは職業に依存していると考えて良いだろう。
鑑定スキルのレベルも上がっており、名称と説明文が見れるようになった。
〚自動調合〛
瞬時にアイテム調合できるスキル。道具不必要。
道具不必要!?
いつでもどこでも調合できるだなんて歩く薬局じゃないか。
各地を練りあるいて生計を立てることも可能だ!
薬草を調合したら〚自動調合〛スキルを入手できたのなら、料理、裁縫、掃除を行う事によっていろいろなスキルを手にできるのでは?
何という事でしょう。
職業で人生が決まる世の中で、私はなんにでもなれるぞ。
問題なのは、私はすでに「狩人」として冒険者ギルドに登録してしまっていることだろう。
外で軽々しく調合などしたら間違いなく大問題になる。
前線で戦えて、魔法も使え、回復もでき、さらに素材を自動で調合できるなんて。
そんな奴隷がいたら誰だって絶対欲しい。私も欲しい。
貴族や王族にバレたら何としても私を捕まえ利用しようとするだろう。戦争でだって優位となる。
間違いなく奴隷コースだ。
そんなのは御免被るので、パーティメンバーは奴隷に固定すべきた。
〚狩人〛なのに、外で怪我をして復魔法なんて使ったら人生終わりだ。
ダンジョンへは安全マージンをしっかりとって挑むとしよう。
奴隷で〚僧侶〛などのレアジョブ持ちは、平民の私では、まずお目にかかれないだろう。
しかし一つ思うのが、〚職業再振り分け〛スキルを他人にも使用できるのかどうかだ。
他人に使用可能であれば、どんな職業の奴隷を購入しても有能ジョブに再就職させ、理想のパーティメンバーを簡単にそろえることができる。
ああ、鑑定レベルが上がったから詳細を見れば良いのか。
〚職業再振り分け〛
習得条件を満たした人の職業をメインジョブに変更することができる。
職業はサブジョブとしてストックされる。
「……満たした人」
神様ありがとう!万事解決!!
奴隷を購入して再就職させ安全にダンジョン攻略して、悠々自適な生活を目指すわ!
手にした職業はサブジョブにストックと書かれているので消えたりしないのだろう。
いろんな職業をさせたい放題だ。
懸念が解放されハッピーである。
ずっと握ったままだった生暖かい上軟膏を調合する。
コップの入った水と上軟膏を手に自動調合スキルを使用。
ハイポーションが無事完成した。
〚ハイポーション〛
不調をそれなりに回復する
不調をそれなりに回復、とはずいぶんと曖昧だ。ハイポーションの色は青っぽい。
ハイポーションはポーション同様に無味無臭だった。
一気飲みして体を確認する。
肌は13歳本来のふっくらつやつやになり、枝毛だらけだった髪の毛はトリートメントケアをしたように良好だ。
ポーションでヨゴレは落ちないので埃っぽいままではある。
明日川で思いっきり水浴びしよう。
鑑定スキルで隠匿スキルの〚幸運〛をチェックする。
72ポイントもつぎ込んでいる幸運がどのようなものなのか、気になる。
〚幸運〛
モンスターとの遭遇率の上昇。
アイテムドロップの頻度と性質の上昇。
上昇率はスキルポイントに応じて変動する。
なるほど。
全体的に運が上がるのかと思っていたが違ったようだ。
結構な量のアイテムを入手できたのは幸運スキルのおかげ、ね。
食用ウサギは子供でも倒せるとシェスタさんが言っていた。
宿代なら子供でも簡単に稼げるじゃないかと思っていたが、前提としてなかなか遭遇しないのだから稼ぎようがない。
アイテム職人であるトルデさんが〚裁縫糸〛が足りない、「アイテムバック中を作ったのは久々」と言っていた事から、
モンスターに遭遇するのが稀、さらにアイテムを落とすのも稀、レア素材はさらに手に入らない。
慢性的な素材不足なのだろう。
不足した素材は物価が上がる。
高い素材をもとに高いアイテムを販売しても売れにくい。
それならば、わざわざ高い素材を購入せずに自分でダンジョンに潜って入手すればいい。
冒険者が多いのはそういうことだろう。
戦闘職が有能ジョブと言われるのも納得がいった。
今後も冒険して稼ぐと考えると、幸運スキルはこのままにしておくべきだ。
スキルにはレベルがあるから早いうちに色々とレベリングしておきたかったが、今は〚手当て〛だけで良いだろう。
手当ては大々的に使えないので、ポーションなど小瓶でストックしておくのがベストだ。
万が一があったら困る。
そういえば、建物の窓やコップなどガラス製品の素材は手に入りやすいみたいだ。
薬関係は入れ物がないので明日以降制作することにした。
続いて〚裁縫糸〛だ。
薬剤を調合する事でスキル〚自動調合〛が手に入ったので、今度は糸を使って何かを作ればまた別の自動スキルが手に入るはず。
糸のみで作成できるものというとミサンガぐらいだ。
前世の小学生の時はやったので、作り方は覚えている。
多少時間はかかるが、一つの裁縫糸を使って試しに編んでみるとしよう。
黙々と作業する。体が覚えていたようでするすると指が動く。
「よしできた」
足首に巻けるぐらいの長さのミサンガが完成させた。早速鑑定してスキルカードも確認する。
〚ミサンガ:空きスロット1〛
装飾品。効果を一つ付与できる。
〚自動裁縫〛
瞬時にアイテム裁縫できるスキル。道具不必要。
予想通りだ。
ミサンガに効果が付与ができるということは、剣や服にもあると考えていいだろう。
防御力アップとかあったら最高だ。
早速手に入れた自動裁縫を使ってみることにする。針などはないが、食用ウサギの革と裁縫糸を手にし念じる。
予想通り簡単にアイテムバックを作成できた。
〚アイテムバック小〛
アイテムを入れることが可能。
容量は小。容量を超えると重くなる。
容量さえ越えなければ重さを感じないのは役立つ。
小、中と容量が上がるようだ。
今日は大収穫だ。
ウサギの肉など、前世では腐ってしまうものも、手を加えなければ劣化しないようなので素材としてとっておける。
いくつかアイテムバックなど制作したが、今日はもうこのぐらいでいいだろう。
月の位置が随分と高い。結構な時間になってしまったので就寝することにした。
当面の目標は奴隷を入手して再就職させ、〚狩人〛の私のかわりとして、どんどんアイテムを加工してもらい安定収入を得る予定だ。
どんな子と出会えるのか楽しみにその日を終えた。
お読みいただきありがとうございます




