革命が必要だ。
軽食後、シェスタさんは門のお仕事に戻った。門兵は基本交代で食べるらしい、茶髪さんに申し訳ないことをした。ちなみに茶髪さんはトルクさんというらしい。
今度差し入れをもっていこう。
日没にはまだ早いので、東の平野でキャタピラーを倒しに行くこととした。
何のアイテムが手に入るかワクワクである。
難なく平野に到着した。
とりあえず、どんなモンスターかわからないのでダガーを抜いて練り歩く
青空のもと広大な芝生が広がっている。普通にピクニックに来たいものだ。
大きく息を吸い込んで吐き出す。
空気もおいしいとは最高だ。
「お、出たな」
いつぞやのうさぎのように突然目の前に現れた緑の物体。
ぷにぷにしてそうな外皮で足はない。でかい芋虫のゆるキャラのようだ。
動きはものすごく遅い。
糸を吐き出したが私に届く前に勢いを失って地面に落ちた。
本当に目と鼻の先にいるのだが……。
「えい」
ダガーで人殴り。切り裂いてダメージを与える前に倒せてしまう。
キャタピラーものすっごく弱い。食用ウサギより弱い。
キャラピラーの消滅した場所には銀色の糸が落ちていた。
鑑定する。
〚裁縫糸〛
裁縫糸はなんにでも役に立ちそうだ。何か小物入れを編んでもいいな。
よし、できるだけたくさん手に入れよう。
見つけてはダガーでつつき、アイテム回収。
アイテムが出てもでなくても、平均して1デル~3デル手に入った。
◆
日没ぎりぎりまで刈り取った結果、
裁縫糸が10個
銀の裁縫糸が4個
82デル
と結構な大金を手に入れた!
おかげでポケットはパンパンだし、片手はふさがっている。
宿にとっとと帰ろう。
メイン通りを通ると、昼間と違って様々な人でごった返していた。
いかにも冒険者って人から、道端で踊り子がダンスをしていたり、鍛冶職人らしき人物もみられる。
耳がとがったエルフ、背が低めのたくましい体つきをしたドワーフ、しっぽがふわふわしている獣人も居るようだ。
居酒屋も空いているようでわいわいと楽しそうな声が聞こえる。
「今日もダンジョン疲れたけど、結構稼ぎになったんじゃないか?」
「この前奴隷ダメにしちゃったからなー明後日のオークションでよいの手に入れようぜ」
「お前絶対良い死にかたしねえだろ」
がはははっと下品な笑いにプラスして気になる情報が出てきた。
ダンジョンと、奴隷オークションだ。
この街にもダンジョンがあるようだ。
昼間人気をあまり感じなかったのは多くの人がダンジョンに潜っていたせいだろう。
奴隷はオークションで売られるらしい。あの大きな会話を聞いても周りの誰も目を向けないことから
奴隷の立場は思った以上に低いのかもしれない。
冒険者の中で奴隷を所持するというのは意外とマイナーではないのだろう。
相場が分からないが明後日のオークションについてそれとなく聞いてみよう。
一人でダンジョンに潜るのはいざというとき怖い。
飲んだくれであふれていたメイン通りをはずれ温かみのある宿屋に帰ってきた。
今日からここがお家だ。おかみさんの顔を見るとほっとする。
「戻りました」
「ああ、おかえり。おやおや大荷物だね!チェルシー手伝っておやり、部屋は2階の突き当りだよ。お湯はいるかい?」
「お願いしたいです。」
「本来は10デルだけど、初回はサービスだ。ご飯と一緒にもっていかせるね」
「ありがとうございます」
忘れていた。この世界では湯船につかるのは王族と上流貴族ぐらいで、皆タオルでぬぐって終わらせる。
日本人としてはお風呂に入りたい。
早めに家を手に入れて改造するしかないだろう。
チェルシーという少女に荷物を半分持ってもらい2階へ進む。
女将さんとは似ても似つかない顔つきに、あまり良い服は着ていないので従業員というわけでもないようだ。首に黒いわっか?をしている。
もしや?
「ここがお客様の部屋になります。すぐにお湯とお食事をお持ちします」
「ありがとうございます。」
「!!」
感極まるように驚かれた。
驚かれたと同時に手に預けていた糸が落っこちる。
すぐさま酷く慌てて拾うとチェルシーは膝まづいた。
「も、申し訳ございません!!お客様のお荷物を!ああ、お許しください!どうか、女将様に報告だけはっ」
「大丈夫ですよ。一人で運ぶのは大変だったのでむしろ助かりました。お湯とお食事お願いしますね」
荷物をすべて受け取り、部屋に入る。
彼女は静かににかけていった。
こんな身近に奴隷がいるとは少々驚いた。
宿屋にいるという事は、手に入りやすいのかもしれない。
部屋に入って正面に大きな窓とダブルベッド、左手に机がある。
8畳分ぐらいの広さはありそうだ。
ベッドは綿が詰められているのかそれなりに柔らかい。
ちょっと藁を敷き詰めたベッドだったらとドキドキしてたのは内緒だ。
カーテンは薄手で朝日を思い切り通しそうだ。
早めに寝て朝日とともに起きるのがベストか。
明日は金が3度なったら鍛冶職人と面会だ。
ベッドの上に戦利品を置いて整理することとした。
ノックがした。
恐らくチェルシーだ。
「お湯とお食事、並びにお預かりしていたお洋服をお持ちしました。」
扉を開けて受け取る。服を預けていたのを忘れていた。
「空いた食器とお湯の入った桶は廊下にお出しください。回収致します」
「ありがとう」
無言で頭を下げ、チェルシーは去っていった。
扉を閉め施錠する。
桶のお湯はアツアツだったので、先に食事にする。
夕食はサンドイッチのようだ。
黒パンにレタスらしきものと、肉が挟まっている。何かのソースもかかっているようだ。
鑑定。
〚ウサギ肉のサンドイッチ〛
肉は予想通り食用ウサギのようだ。
甘じょっぱいソースで面白い味付けだった。毎日食べたいかと言われたらNOだが。
やはり食事の革命が必要だ。
料理人という職業があるらしいので、いつか料理特化の奴隷を育ててみたい。
チェルシーのように若い世代から奴隷がいるというのは少々驚いた。
が、稼げなくなれば口減らしに子供を売るなど横行していてもおかしくない世界だ。
気を引き締めよう。
当面の目標はお金稼ぎと、安全マージンを取ったダンジョン潜り。ゲームと違って命は一つだから大切に行こうと思う。
明日は冒険者ギルドも見てみたい。
知識を得たいから図書館なんてのがあったら最高なんだが、そこそこ大きい街であるから無くはないだろう。
人生設計をしていたらあっという間に食べ終わった。
桶のお湯の温度もちょうどよさげだ。
服を脱ぎ、桶にかかっていたタオルで体をふいていく。
ガリガリだがあざなどはなかった。
殴るなどの虐待などされなくて本当に良かった。
1発でも殴られたら、後遺症でまともに動けなくなりそう。
早く健康体にならなくては。
体をきれいにした後問題が起きた。
着替えの存在を忘れていたのだ。
服は明日着るし、下着だけ洗って干しておこう。
薄手だから朝には乾いてると思う。
シーツにくるまって桶と食器を廊下にささっとだす。
人の気配はみじんもない。
よし。しっかり鍵を閉めて、裸のままベッドにダイブする。
前世ではやったことなかったが結構な解放感だ。
今日一日でいろいろなことがあった。
また明日からワクワクだ。
お読みいただきありがとうございます。




