優しい門兵さん
初の戦闘は少々ショッキングだったが、幸先よく食用ウサギの革をゲットできた。
その後何匹か食用ウサギと遭遇し、特に苦労せず1撃で倒すことができた。
革も合計3つとなった。アイテムのドロップは毎回ではないようだ。
だが、アイテムがドロップしないときは銅貨が2枚から5枚は落ちることが分かった。
今のところ所持金は初期8枚+22枚の合計30枚だ。うれしい。
しかし、食用ウサギなのにお肉ではなく革がドロップするのは何か手順があるのだろうか?
倒し方とか?次現れたら素手でやってみよう。
戦闘を終えるごとにダガーもだんだん手になじんできたと思う。
そういえば、鑑定などのスキルは熟練度によって変わったりするが、この世界でもそうなのだろうか?
道中暇なので木や草など眺めてみる。
〚木〛
〚草〛
なんともまあ雑だ。何の木なのかも情報がないが、大好きなRPG要素で気分が高揚する。
〚石〛
〚小石〛
〚木〛
〚落ち葉〛
〚花〛
〚草?〛
お!
クエッションマークがついた草がある。見た目は草だが何の草だろうか?もしや薬草とか?
繰り返し、鑑定する。
〚草?〛
〚草?〛
〚草?〛
〚薬草〛
「おおお!」
薬草だったようだ。思わず声をあげてしまった。
回復薬も何もないからありがたい。
ファンタジーではだいたい効果は薄いがそのまま使えたりする。
ありがたく採っておこう。
根元からとるべきだろうか?葉っぱだけ?
ポケットは手狭になってきているのでカバンが欲しい。
とりあえず、葉っぱだけむしり採り鑑定する。
〚薬草〛
葉っぱだけでも効果はありそうだ。臭いはドクダミに近いミントのようなさわやかな香りだ。
くしゃくしゃにならないように食用ウサギの革の間に丁寧に摘み、ポケットにしまった。
すべての葉を採らず1房から3枚でやめておく。
用途もはっきりしないのに刈り取って使えなかったらもったいないからね。
さあどんどん行こう。
順調に鑑定をしつつ街道を進むと橋にかかった。
浅い綺麗な小川がある。
〚川〛
表示もただの川だ。
太陽の位置は朝方あの屋敷を後にした時と、あまり変わっていないが少々疲れた。
このやせ細ったガリガリの体は予想通り体力がない。
ファンタジーな世界にテンションが上がっていて気が付かなかったがのどが乾いた。
小腹がすいたが木の実もない。
適当な石に腰を下ろし一息つく。
前世の川の水なんかはそのまま飲むと寄生虫やら菌やらで食中毒を起こすが、この川はどうなのだろう?
不安だ。まだ我慢できるからやめておこう。
一応目視できるところに街であろう建物は見えるので太陽が真上に上がるころにはつけるだろう。そしたら、屋台でもいいから軽食と飲み物を買おう。
休憩がてらステータスカードとスキルを確認する。
〚クライマー〛
ヒューマン 14歳 男
元貴族
ただの人Lv.1 狩人Lv.2 薬師Lv.1
ボーナススキル(隠匿)
SP:3
職業再振り分け
sp再振り分け
話術Lv.6
鑑定Lv.2
幸運
空いていた職業スロットに新しく「狩人Lv.2」「薬師Lv.1」が追加されている!
いつの間に!
「狩人」は食用ウサギを狩りまくったせいだろう。
「薬師」は薬草を摘んだからか?
SPも3増えて、鑑定のレベルが2に上がっている。
スゴイ。まあ「ただの人」は不変だが、結構な進歩じゃないか。
作業をすることによって職業を得ることも可能なようだ。
裁縫をすれば「裁縫師」など手に入るのだろうか?
職業を手に入れるかレベルを上げるとSPが貯まる仕様か~良いね良いね!
手に入れたSPを使って新しく〚SP振り分け〛を行う。
手に入れたのは、回避Lv.1と採取Lv.1と遠視Lv.1だ。
出てくるモンスターが食用ウサギだけとは限らないので付け焼き刃だが、回避スキルをつけた。
薬草はがかさばらないので積極的に採取していきたい。ので関連してる採取スキルもとった。
あとは遠くに何があるかよりわかったほうが良いだろうという事で遠視スキルだ!
幸運は外すと何があるかわからないのでしばらくはこのままでいこうと思う。
まだまだ分からないことが沢山あるが、その分考えるのが非常に楽しい!
さあ、少し休憩もできたし、歩みを進めるとしよう。
立ち上がり、街道へ戻ると橋を渡り切ると、革でできた筒が落ちていた。
鑑定
〚簡易水筒〛
どうやらお水が入ってるらしい。幸運ききすぎじゃないか?外したら即死しそう。
手に取って栓をとる。
中身がお酒とかだったら困るので鑑定!
〚飲料水〛
大丈夫そうだ。
一口飲んでみる
「うまい」
ひんやりしていて非常においしい。この水筒に何か保冷とか効果があるのだろうか?
腰に括り付けて歩きだす。
思わぬ装備品にほくほくだ。
疲れない程度に食用ウサギと遭遇し、薬草もかなりの数を採取。加えてドロップアイテムとして〚食用ウサギのお肉〛が手に入った。
街で火元を借りられたら豪勢にステーキにしよう!
足取りは非常に軽い。
太陽が真上に来るごろ、はじめての街に到着した。
外壁は岩が積んであり、それなりの高さになっている。見張り台もあり、それなりに大きい街のようだ。門の近くの椅子に鎧を着た20歳ぐらいの若い男性らが2人談笑している。
恐らく門番だろう。
と、門番の腰に見慣れたものがある。街道で拾った水筒と同じものだ。
もしや、衛兵の誰か落としたのか?
私の見た目は今は13歳の子供。
手には落としたであろう水筒。
よし、これはいくしかない。
水筒片手に思い切って話しかける。
「すみません!」
「ん?なんだ坊主」
「これ、街道に落ちていましたがどなたかの落とし物ではないですか?」
門兵に向かって水筒を差し出す。
「ああ!俺が無くした水筒だ!坊主ありがとうな!」
そう言って単発黒髪のさわやかなお兄さんがお礼を言う。
笑顔がまぶしい……前世だったら猛アタックしてた。
今世は男だからしないけど。
「いえ、たまたま拾っただけなので」
「坊主は優しいなー。助かった!」
「落とし物は基本拾ったやつのものになるからな。坊主になんかお礼しろよ、シェスタ」
もう一人の茶髪の門兵が茶々を入れる。
黒髪の方はシェスタさんというのか。
「そうだな!坊主はーーおつかい?」
「いえ、今日自立しまして冒険者として生計を立てていく予定です。」
「「……」」
「えっと……」
二人して無言で苦労してるんだなって目で見るな!!
これから成り上がるからいいんです——!知識ふんだんに使ってお金持ちになるからいいんです——!
「失礼。一人で冒険者かー信頼できる大人は?」
「ないです」
「つてもない?」
「ないです」
「うーん……」
難しい顔で考え込む二人。この年で一人で冒険ってとても難しいのだろうか?
それとも生計を立てることが、なのだろうか?
確かに力もないから殴られたら終わるけど、そんな治安悪いのか……?
だんだん不安になってきた。
「よし!ちっさい坊主一人だと色々ぼったくられそうだから店に顔きかせてやる!ついてこい」
がバッと立ち上がり闊歩していくシェスタ
村に入る手数料とか要らないのだろうか?
チラチラと座ったままの茶髪さんを見る。
「村の出入りは自由だ。なんかあったらここにこい。だいたいいる。」
「え、あ、ありがとうございます!」
勘が良い優しい人だ。
「坊主ーー!」
「今行きます!」
茶髪さんに会釈して、待っているシェスタさんを追いかける。
初めての街では何とかなりそうです。
お読みいただきありがとうございます。




