3話
2話投稿から1日で書けました!これはブックマークが1増えてPVが1日で100達成したおかげですねっ!皆様、私などの小説を読んでいただきありがとうございます!
戦術書。それを読んでまず最初に思ったことは、エルフの人数が少なすぎて陣形なんて意味がなく、やはりベトナム戦争のような森でのゲリラ戦法しか使えないと考えた。
エルフにできる戦い方は奇襲、撹乱、陽動の3つ。正面からの総力戦になんてなればまず勝てない。
「難しいな...」
「はい...我々は勝てるのでしょうか?」
無理だろうな。そんな考えが浮かぶ。他にもエルフに協力するよりも人間側と手を組んだ方が良いのではないか?と思うが、人間側からすれば俺なんて“少し物知りな奴„程度の価値しかないだろうし、それなら司波という名を慕うエルフ達とこの状況を打破するのが良いと判断する。
「...分からないな。それよりも少しこの世界のことやエルフのことを教えてくれないか?」
「はい、かまいませんが?」
敵を知り己を知れば百戦危うからず。孫子の本に書いてあった有名な言葉だ。そもそも俺はこの世界の事を全く知らない。魔法があるのか?どの程度の文明か?周囲にどんな国があるのか?他にも聞かなければならない事は沢山ある。
「じゃあ、まずは魔法とかはあるのか?」
「ありますよ?エルフなら殆どの者が使えます」
そう言うと無言でレナは手のひらに火の玉を発生させる。無詠唱だ。凄かったりするのかな?。
「へぇ~因みに全力を出したら、そうだな...街1つ吹き飛ばしたりもできるのか?」
「魔法でそれは無理ですね...」
「魔法で、というと何か方法が?」
「はい。同じ魔法の系統ですが精霊魔法といって文字通り精霊の力を借りて行使する技があります。ですが、これは禁忌。精霊の力を使えば、使った分減ります。そうなると大地は枯れゆき、水は死に、瘴気を発生させ、この地は生き物が暮らせぬ土地となります」
つまるところ重度の放射能汚染に近い状態になるらしい。それは困る。この森にある遺跡には地球へ繋がるゲートがあるのだ。別に一生異世界生活でもかまわないが、地球の物資を持ってこれるメリットは捨てるには惜しい...。
だがしかし、それは“ここでは使えない„というだけで、他の場所で使えば良いだけの話ーー。
「そりゃここでは使えないな。でも、他の場所で使えば良いだけの話だろ?」
「いえ...精霊魔法は精霊との信頼関係あってこそ使える技です。精霊からすれば身を削って我々を助ける訳で、他の土地の精霊にいきなりそんなことを頼んでも答えてはくれません」
駄目だった。ここでしか使えないのに使う訳にはいかない自爆技だ。でも少し使うぐらいならーー。
「少し使うぐらいなら被害も少ないんじゃ?」
「無理です。こう言っては精霊さん達に悪いですが、精霊魔法を分かりやすく言うと、友達になって精霊が気を許した所を魔法で狂わせ、暴走した力に指向性を与えて敵にぶつける技なのです...」
とんでもない技だな...。
「おいおい...そんな事いって精霊に聞かれてるんじゃないのか?知らんけど」
「いえ、聞かれてはいるでしょうが彼らに日本語は通じませんので大丈夫です」
「えっ、日本語って...魔法の力とかで会話できてると思ってたんだが...」
「はい、気付きませんでしたか?日本語を使える者は私含め数名しか居ないのですよ。ですから他の者達は司波様と話さない、話せないのです。過去に総一郎様が来られた時は意志疎通に大変苦労しましたが、今となっては良い思い出です」
爺さん大変だったんだな~と楽観的思ってると、これは他人事ではない事に気づく。
『あれ?ここでは何人か日本語使えるみたいだから良いけど、そのうち人間の国にでも行く時は言葉勉強しないといけないのか?』
日本語、国語だって点数悪く、英語なんてロクにできない人間が異世界語の勉強?無理だろ。
俺は軽く絶望した...。
「あ~なんとなく分かった。魔法はもう良いや。次はこの世界の文明レベルだけど、敵も剣とか槍を使ってるのか?」
「はい、その通りです」
それを聞いて安心する。森で暮らしてるエルフ達だけ発展が遅れていて、人間は銃とか強力な武器を使用してるとかだったら泣いてた。
まぁ、多少は遅れてるだろうが...。
「...じゃあ、とりあえず最後に、この森の周囲に人間の国はいくつある?」
「あぁ、すみません。エルフはあまり森から出ない暮らしをしておりましたので、そのぉ...外についてはあまり情報がありません」
エルフらしい回答だった。だが、それでは困る。同盟という道。人間とは利益を呈示さえすれば何だかんだ理由つけて戦争に参加してくれるのだ。
「それは不味いな...因みに人間の言葉を話せる奴はエルフに居るのか?」
「話せる...と、言って良いのか分かりませんが、ほんの少し話せる程度の者は居ります...」
「おっ、おう...それは話せないに限りなく近いが分かった。外の情報は現状無理そうだな。もし敵を生かして捕らえられる機会があったら、捕らえて情報を聞き出してくれるか?」
「承知しました。司波様」
まぁ、とりあえず聞くことは済んだ。当面は弓矢でのゲリラ戦を展開させて時間を稼ぐとして、俺はこの局面を打開する素晴らしい作戦を考える事にする。
*
状況はあらかた理解した。そして100人程のエルフにできる作戦は限られており、そうなれば当然俺の出番となる訳で、俺は1人で軍隊を相手にする方法を考える。
『敵将の暗殺...物質を放火...』
俺にできるのはそのぐらいだ。人間ということを利用し、変装もすれば堂々と敵に近づく程度は可能だ。そして火炎瓶でも投げれば物質を炎上させられるし、毒でも塗った小型のクロスボウを隠し持てば敵将の暗殺も容易。
『物質が無くなれば流石に撤退するしかないだろうし、案外簡単かもしれないな...まぁ、それでは向こうは大赤字だろうし、直ぐにでも本気で戻ってくるだろうが...』
なんといっても人数差が大きすぎる以上、まともに戦っては勝ち目はまず無い。向こうを本気にさせたら、こちらの負け。考えた通り物質を潰して撃退はできるだろうが、その後に交渉を上手くやらねば全てを略奪されて終わる...。
“問題は交渉を上手くできるか„
これが問題となってくる。まず最初に言葉の壁。エルフの中に多少話せる奴は居るみたいだが、あれはあまり期待できそうにない。交渉しに使者を出しても捕まるのがオチだろう。
そして次の問題は金だ。軍隊を動かすほどの金がいくら掛かるのかは検討もつかないが、それ以上に相手が黒字になる程度の金額、または物を呈示して初めて、とりあえずの“停戦„をする。
『厳しいな...』
エルフに金は無理だろう。ならば金品をかき集めて俺が地球で換金し、物で支払うしか無い。
香辛料なんかが高価だと良いのだが、それが駄目ならロウソクや石鹸などの消耗品、それらの作り方(実際は買ってる)を秘蔵し、エルフとは仲良く貿易してた方が良いと思わせる。そうすれば優先的に品を流す羽目になり、利益を考えたりはできないが、エルフの平和は確保できるだろう。
「活路は見えた、か...」
平和になり、エルフ達の人権が確保されたら後はずっと我々のターンだ。時間さえあれば俺が地球の技術をどんどん持ち込み、それを再現させて何でも作る事ができる。そうなったが最後、俺達は圧倒的な技術力で超大国へと大成長し、絶対的な軍事力を使って世界を支配する事すら可能だろう。
だが、まずは目先の脅威をなんとかする事から始めないといけない。最終的な作戦はこうーー。
第一段階、偵察。エルフにカメラを持たせて敵の物資の位置を把握する。
第二段階、放火。敵陣の物資へ火炎瓶を投擲し、これを確実に焼き尽くす。
第三段階、防衛。敵が森から引き上げるまで耐え続け、攻めてくる様なら遅滞戦闘を行う。
第四段階、交渉。困難だが、なんとしても敵軍の再来より早く交渉を開始し、如何なる方法を用いても、どれだけ不利でも構わず、最低限エルフの人権と自由を確保して和平交渉を完了する。
第五段階、準備。どこかの国家と秘密裏に同盟を組み、俺らは地球の技術の再現を進める。
第六段階、復讐。確実に戦争で勝てる確信を得たら同盟国と協力して我々エルフ達の完全なる自由を手に入れるだ!。
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