2話
書けたので投稿っ!ストック無しの自転車操業ですが、読んでくれる皆様の為にできる限り早く、次の話も書き上げて投稿したいと思いますので応援よろしくお願いいたします!
翌朝。俺は珍しく朝早く目覚めると真っ先に1階へ降りて押入れを確認すると、そこには確かに異世界への扉があり、あの出来事が夢ではなかったのだと認識する。そして向こうの状況も思い出す。
「あぁ~そう、戦争だ。いろいろ揃えなきゃ...」
戦術書なり各技術書、それに食糧なんかも集めないといけないし、今日は大忙しだ。本当なら引っ越して直ぐ挨拶回りをするべきなのだろうが、暫くはできそうにないな...。
そして俺は顔を洗って身支度を完了すると、空のリュックを背負い、山道を“自転車„で下って町へと向かう。残念ながら免許は持ってないのでバイクにも乗れない。その内とらないと不味いな。
だがまぁ、行きは下りなので楽だ。逆にブレーキかけてないと怖いぐらいスピードが出るので町へは直ぐに到着した。のだが...閉まってる店が多い。
『まぁ、コンビニが1つとホームセンターが1つしかマトモな店が無いような所だしな』
高齢化社会&田舎が合わさった場所だ。更に言えばバスは1時間に1本、電車は数時間に1本だ。これだと店を開いても儲からないのだろう。仕方ない。
でも、それでは困る。本屋が無ければ何処で専門書なんかが売ってる?コンビニには絶対に無いし、多少栄えてる町に行くには2.3時間は掛かる。では、ネットで注文はどうか?という選択肢は到着まで2日以上は掛かるので、それを待ってる余裕は無い。
本当はスマホで検索するのが早いのだが、異世界には電波が来てません...扉の近くならいけそうだが、Wi-Fiの位置関係上それだと通信速度が絶望的だ。直ぐにアナログゲームをやるはめになる。
『祈って探すしか無いか...』
そう考え、基本3G回線、たまにLTEが1本立つ程度の電波の中、スマホで数分掛けて近くの本屋を検索すると何ヵ所かあったので向かうと、閉まってたり、建物自体無かったり...そんな中で走り回ってようやく経営中の古本屋を発見する。
俺は古本屋の扉を恐る恐る開くとチリンチリンと鐘が鳴るが反応が無い。誰も居ないのか?と辺りを探すとカウンターでタバコを吸う老人を見付ける。
今時、店でタバコを吸うとは流石田舎だ。
「すいませ~ん、戦術書とかってありますか?」
「んぇ?せん...なんだって?」
あぁ...店主さん耳が遠いみたい...。
「戦術書です!」
「っ!なに急に大声出しおる!」
えぇ...理不尽過ぎる...。
「えっ?あぁ、すいません。せ、ん、じゅ、つ、しょ、が欲しいんですけど...」
「聞こえとるわいっ。そこの上の方に孫子とか似たようなのがあるだろ」
そう言い指差された所を見ると確かに俺でも知ってるほど有名な孫子や、その他にも戦いに役に立ちそうな本がいくつかあった。そして俺は孫子と他に比較する用に2冊、合計3冊を適当に選ぶ。
これで戦略は大丈夫だろ。あと次いでに、古代から近代の武器図鑑なる本と、傷の治療法が載ってる医学書、あと次いでに料理本も1冊選んでカウンターに行く。
「これお願いいたしま~す」
「んっ。全部で1500円だな」
そう言われ、俺は2000円を払ってお釣りを貰うと「ありがとうございました~」と、言ってから店を出る。次はホームセンターだ。
*
田舎のホームセンターには様々な物が商品として売られている。木材など建築資材はもちろん、野菜の種や肥料、農具、日用品、食品、文房具、家電、その他大抵の物がある。
そんな中で今日欲しいのは“デジカメ„だ。用途はもちろんエルフの斥候に持たせる為だ。これで敵の規模、装備、正確な位置情報、司令官の顔、全ての情報が得られ、作戦の立案に大きく役に立つ筈だ。
相手は人間、情報戦に勝ち、更に地の利はこちらにあるときた。これなら例え、相手が大軍だろうとゲリラ戦だけで大きな被害を与えられるだろう。
そう考え、俺は5000円程度のデジカメを10台奮発して買ったら店員に変な目で見られた。
『ヤバイな...5万も使っちゃった...』
異世界のエルフに協力するのはぜんぜん良いのだが、この調子ではそのうち破産しそうだ。向こうで何か金品を獲得する方法を考えねば...。
買ったデジカメをリュックに仕舞うと今度は食品コーナーに向かう。エルフ達への食糧支援。最初はカップラーメンなんかを考えたが、見た感じ100人以上は居そうな人数を考えると1日1人3個と考えても3万円以上。これでは俺の貯金的に数週間持たず、その間に戦争に勝てる程の自信は無い。
なので考え方を変え、食料は基本現地調達させる事にし、俺は塩、胡椒、砂糖など、その他調味料を買う事にする。
『塩~胡椒~砂糖に~醤油~味噌~ソース~ケチャップ~マヨネーズ~次いでにコンソメ~』
塩はよく使うので5キロ分カートに入れ、中世ならスープ、そして味が薄いだろうという偏見でコンソメの量も多くし、その他の調味料は適量(ボトル3本とか)カートにぶちこみ、会計へ向かうと...。
「ーー以上で7865円で~す」
調味料だけで凄い値段になってしまった。そして会計を済ませると袋ではなく段ボールに買った物を詰め、自転車の後ろにゴムのベルトをおもいっきり引っ張ってなんとか固定すると、重すぎてバランスの悪い自転車をこぎながら家に帰って行った。
*
山道を重い自転車を押しながらなんとか無事に家に着くと、真っ先にシャワーで汗を流し、そいえば食べてなかった朝飯を適当に食うと、異世界に行く準備を始める。
俺は2階へ上がると携帯充電器とスマホのUSBケーブル、懐中電灯とランタン、サバイバルナイフ、
ライターを肩掛けバッグ入れて1階に降りる。
後は買ってきた荷物を持って準備完了だ。
「準備よしっ。行きますかね~」
重い荷物を持って足で異世界への扉を開けると、こちらに気付いたエルフが「司波様がこられた!」と言い、直ぐに昨日のエルフの少女、確かレナ?が駆けつけてくる。
「司波様、よくぞお越しくださいました!」
「ああ、遅くなって悪いな。これ、とりあえず向こうから塩とか調味料と、使えそうな物を買ってきたよ」
「そんなっ!?態々我らの為に買ってこられたのですか?塩などお高かったでしょうに...」
そいえば昔は塩が高かったと聞く。一部では給料として塩が払われたというぐらい。という事はこの辺りには海や岩塩が取れる場所が無いのだろうか?内陸部でそれだときっと塩は高いのだろうな。
「あっいや、向こうで塩は別に高価な物じゃないから気にしなくて良いよ。まぁ、こっちはちょっと高いから大事に扱ってほしいかな?」
そう言いデジカメを取り出す。
「そちらは?」
「あぁ、これはカメラっていう...」
そこまで言って考える。カメラとか写真なんて言ってもわからないだろうと。そしてどう説明すれば良いか考えてると...。
「はい、カメラですね、写真を撮れるという」
「えっ?なんで...いや、爺さんか...」
「はい、見せてもらったのは写真だけですけど、総一郎様からカメラや映画なる物の存在は聞いておりました」
じっ、爺さん...こっちで何をしてたんだろうな。随分エルフ達に慕われてるようだが、別に特別発展してたり近代要素は感じられない。そいえば最初に会ったとき、俺の名前を知るや「お待ちしておりました司波様」と言い、続けて“エルフの民は危機に瀕している„と“我らを助けてくれ„と言った。
つまり爺さんは過去に恐らくエルフと何処かの戦争でエルフ側を救った。何故そう言えるのかというと司波という名への信頼性だ。これは過去にも今と同じような状況、戦争で爺さんがエルフを助けたという事だろう。間違ってたら恥ずかしいが...。
「司波様?」
「ん?あぁ、じゃあ説明はいいな。それより戦況はどんな感じになってるんだ?」
「はい、それでしたらこちらへお越しください。あちらに司令部がいりますので」
そう言われ、レナの案内で司令部へ向かう。
*
司令部には数名のエルフが居たが、俺を見るやお辞儀だけして部屋を出ていってしまった。そして、そんな事よりも戦況だ。
「敵の規模はどのぐらいだ?」
「全部で1万の軍隊と傭兵が少しです」
机に広げられた地図、そこにはほぼ円形の広大な森が広がり、その中心に“あった„エルフの村は昨日言ってた通り焼かれ、森の中央には大きな穴が広がっていた。
そして敵の位置だ。敵は東から森を切り開いて、現在は森の中央の焼け野原と化した村跡地に陣地を形成し、森の周りにもエルフを逃がさないようにする敵が巡回をしてるようだった。
「絶望的、って訳でもなさそうだな...」
いま居る遺跡は森中央から少し西側に位置しており、敵との距離はいくらか離れてるので今すぐ全力で攻められそうではなかった。
それに敵の目的だ。レナは戦争と言っていたが、なんらかの恨みで殺戮が目的なら手っ取り早く森全体を焼いてエルフを追い立てれば良いのだ。それなのに敵はその手を使っていない。それはつまり殺戮が目的ではなく、きっとエルフを捕獲、奴隷とするのが目的なのだろう。
殺される心配は少ない。とはいえ状況は圧倒的にこちらの不利である事に代わりはなく、敵だって軍隊を動かしてる以上「やめてください」と言って、タダでは「はいそうですか」とは絶対にならない。この状況を打破するには戦って物理的に敵を排除するか、多大な金銭を呈示して和平への道を交渉するしかないのだが...俺が人間側だったら、そんな大金持ってるなら絶対に略奪するのが早いと思うので、基本的に和平は無理だろう。
「状況は分かった。エルフに残された道は戦って勝利し、敵の本国に使者を出して終戦するしか方法は無いだろう」
「勝てるのですか?」
「さあ?これから考えるんだよ」
そう言い俺は買ってきた戦術書を読むのだった。
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