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私の友人になってくれ


「私の友人になってくれ」


「嫌です」


 異国人は、今日も私の望みをぶった切る。


「――っ、何故だ。この私の何が気に入らないというんだ……」


 私はウノハ・ブーゲンビリア。砂漠の国「クシャトリア王国」の若き王だ。

 王の私が話しかければ、男は嬉々とした顔をし、女は頬を赤らめるというのに……目の前の異国人は「光栄です」とも言わないし、黄色い声も上げない。

 異国人と出会ったのは、一月前。

 変装して町を視察している時に、妙な恰好、みたこともない持ち物をもった異国人をみつけた。

 どこの国の者か? 何故、クシャトリアに来たのか? など尋ねたが、異国人の説明はよくわからなかった。

 だが、異国人がカラスバという名前であることと、行く当てがなく困窮していることはわかった。

 また、カラスバは私の弟の危機を救った。褒賞として、屋敷を与えたというわけだ。それに、素性も目的も何もかも謎に包まれた異国人に興味もあったからだ。

 まだ私が存じない未知の国から来たのか。あるいは、敵国の間者なのか。

 まずは距離を縮めようと、友人関係になろうとしたのだが、


「あなたと友人なんて……面倒くさいです」

 

 こんな風にいつも断られてしまうのだ。

 王の私が友人になろうと言えば、皆、「恐悦至極でございます」と嬉しさと恐れで声を震わしながらも承諾するというのに……この異国人は一向に首を縦に振らない。

 むなしいが、それもまたカラスバに抱く興味を一層募らせた。

 カラスバは手元の妙な板に視線を向けたまま、言葉を続ける。


「何度来ても答えは同じですよ、王様。それにそろそろ、正午の政務が始まる時間ですよ。向かわなくていいんですか?」


 カラスバの言う通り、大臣達の元へ行かなくては。


「……また明日来るよ、カラスバ」


 君が私を友人と認める迄、何度だって通おう。


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