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起床

目を開けるとそこには1人の女の子が立っていた

黒の長髪、整った眉、覇気のない目、横一文字に噤まれた口。

容姿端麗ながらもどこか幸の薄そうな彼女には失礼ながらも黒百合という表現が似合っていた

黒いセーラー服に赤いリボン、どうやら彼女は女学生のようだ


暗い空間の中じっと目を凝らし彼女の情報を集めようとする

ここが何処なのか、何のためにここに来たのか、日時、天気etc…

もっと他に集めるべき情報はあるはずなのに何故か僕は彼女以外のものに興味を引かれなかった

熱い恋のようなトキメキも感じず謎を解き明かすワクワクを感じたいからでもない

言葉では言い表せないような底抜けの興味


「貴方もここに来たのね、来てしまったのね」


彼女が口を開いた、暗い空間の中で反響する声

彼女の声の振動が、鼓膜を震わせる

自分の置かれた状況を理解すらしていないのに寝床の中の様な安心感が生まれる


「私達は呪われた子供、私も貴方も神に背いた哀れな生贄」


彼女が1歩2歩と僕に向かって歩みを進める

大人しい花のような香りが鼻孔をくすぐる

コツコツという足音が鼓膜を撫でる

黒い頭髪がふわりと翻る


「貴方も邪神と誓を交わした異教徒、償いの時が来たのよ」


彼女は手の届く距離まで歩み寄ると僕の頬にそっと手を添える


「ねぇ、貴方の罪は何?」


ゾクゾクという悪寒が背筋を走る

その時僕は気づいた。

彼女に感じていたのは好意ではない、今まで感じたこともないほどの恐怖だった、と。


早くこの手から離れ一歩でも遠くに逃げないと

自分の鼓動が高まるのを感じる

頭では逃走を望んでいても体が動かない

唯一動く視線が忙しなく動き回る

僕はこんなところで死ぬわけには行かないんだ、彼女から逃げなくては!


あれ、でも確か…


…以前にもこんなことがあったような…





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