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ドラゴン?

黒い渦を通り過ぎたかと思うと白い光に包まれた。その眩しさに一度目を閉じる。光が収まってきたので恐る恐る目を開くと目の前には赤身がかった白っぽい何か、それも壁のように大きいものが迫っていた。避け無ければと思い後ろに下がるも先ほど通った黒い渦のかわりに大木が立っており回避が出来ない。ヤバい!潰される!どんな危険なところに連れてきてるんだよ、親父!と思いつつも観念し目を閉じると体の前身をぬるりとした何かが触れ、次の瞬間、大木に押し付けられた。前からはぬるりとした壁、後ろには大木。身動きさえ取れず、呼吸もできないでいると、すぐに前面の壁のようなものが離れていった。ヌルヌルになった顔を手で拭い、目を開けるとそこには巨大なトカゲがいた。いや、トカゲのようなもの。そして俺はそれを知っていた。ドラゴン。漫画、アニメ、映画、ゲームなど、日本で生きていたら目にしたことのない人はいないだろう。だが、それは全て架空のキャラクターだ。当たり前だが現実には存在しないもの。そんな存在が今、目の前にいる。とてつもなく大きく、顔しか見えない。顔の大きさがコンビニほどあるのだ。そして先ほどのヌルリとした壁の正体が舌だと気づいたとき、『グルゥゥゥゥウウオオオオオオ!』目の前の大きな顔しかりドラゴンが凄まじい勢いで咆哮をあげた。あ、俺、死んだなと思いつつ、その迫力と鼓膜が破れんばかりの音量に耳を塞ぐこともできずに俺は立ったままそっと意識を手放した。


そこは果てしない草原だった。その草原に生えている一本の大木は樹齢がわからないように太く、また高さも根元からは確認できないほどに高い。言うならば一本しか木はないのに、森と見間違えんばかりの大木だった。その大木の下には2人の日本人、青葉親子と一匹のドラゴンがいた。

『クックック、我の咆哮に怯えを見せぬとはなかなかの胆力の持ち主ではないか。貴様とは大きな違いじゃ。のぅ、悟』

『いや、ちげーよ。大地のやつ、立ったまま気絶してやがる。それも目を開けたまま。くく、くっくっく、あっはっはっは!』

笑いをこらえ切れずにいる悟はそのまま笑い転げている。

『ヒックヒック、やべ、ヒック、ツボにはまった。コイツ、もうヒック社会人だってのに』

そうして笑い転げている悟を横目にドラゴンはとても残念そうにポツリと呟いた。

『・・・。なんと、まぁ、その根性なしっぷりはおぬしそっくりよのぅ。』

だが、その眼にはどこか懐かしむような温かみがあった。

そしてドラゴンが目を閉じると立ったまま気を失っている大地の上にバケツ一杯分ほどの丸い水の塊が現れ、次の瞬間、重力を失ったように大地に降り注いだ。


『うおっ、つめてっ!・・・ぎゃぁぁぁっ!』

水により意識が覚醒した次の瞬間、ドラゴンの存在に気づき大声をあげた。あわやもう一度意識を手放すかというタイミングで悟が現れた。

『くっくっく、大丈夫だよ、大地。ほら、お父さんが守ってやるからな、くく、ヒック。』

父のこらえ切れていない笑いを見て冷静さを取り戻した俺は、一気に顔の温度が上昇した。悲鳴上げちゃったよ、俺!てか、気絶したのバレてるのか?いや、ってか、大丈夫なのか本当に?てかこれどういう状況だよ!そんなことが頭の中でグルグルしているとなんと目の前のドラゴンが語りかけてきだした。

『悟の言う通り、我に害する気はない。安心するがよい。そして落ち着くがよい。因みに、おぬしが気を失っておったのはバレておるぞ。』

うっわ、言葉しゃべってるよ、ドラゴン!ってか、落ち着けって言いつつ気絶がバレてるって言われて落ち着けないでしょ、この状況!どゆこと、この状況!

誰かいい加減説明してくれよ!!

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