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異世界ってどんなとこ?

異世界。伊勢界。伊勢会。あー、そゆことね。伊勢志摩とくれば海産物系の事かな。確かに、伊勢海老関係に携わってりゃ稼ぎも良さそうな気はする。

「わかった、伊勢海老の会ってことだろ、父さん。確かに賄いも美味そうだし、出来ることなら手伝うよ。」

「ん?いや、そこはマジで異世界よ、大地。それこそファンタジー溢れる感じの。まぁ、確かに直ぐには信じらんねーよな。でも、実在すんだよなぁ、これが。」

え?マジであんの異世界?ってか、何で父さんが行けんだよ。そもそも危険じゃねーの、異世界って。魔王とか何とかがいるんじゃねーの?

「大地のイメージする異世界ってどんなとこよ?何となく、こう、思い描くもんがあんだろ?」

「そりゃ、まぁ、魔法とか魔王とかエルフとか?なんじゃねーの。」

「なにぃ!エルフだと!」

え、何かヤバイこと言ったかな、俺。もしかして、厨二っぽく思われたか?

「この、エ・ロ・フ♪」

ニヤニヤ顔の父さんに肘で腰あたりをツンツンされる。いや、アンタ、マジでやめよーよ、そーゆーの。俺は少しめんどくさそうにその手を払うと父さんの顔をジロリと見つめる。すると父さんも何かを感じ取ったのか真面目な顔をして向き直った。

「大地。よく聞け。エルフは存在する。そしてエルフは、、、」

少し間が空き、緊張が走る。

「エロフだ!」

「人が真面目に話を聞いてんのに損したよ!」

どうしようもない親父に付き合いきれないとばかりにソファーから立ち上がろうとした時、母さんが紅茶とお菓子を持ってきた。

「お父さん、ふざけ過ぎなんだから。でも私も興味あるわね。エロフって誰のことを言ってるのかしらね。」

蛇に睨まれたカエルとはこういう事だろうか。目線を泳がせ、いきなりどもり始める父さん。

「いや、何言ってんだよ、母さん。大地をからかってただけじゃねーか、な?ほら、アイツら、服装とか、な?」

「まぁ、その話は後でするとして、アナタが待ちに待ってた日が来たんですからしっかりと大地に説明してあげたら?」

あれ、今母さん待ちに待った日って言ってたよな?って事は話すタイミングを見計らってたってことだろ。もっと早く言ってくれても別に、、、ってまぁ、勝手にやばい仕事と思って聞かなかったのは俺の方か。むしろ、学生の頃は巻き込まれたらヤバイ仕事と思ってて、話題をすげ替えまくってたわ。あ、それで実は傷ついてたパターンね。何か悪いことしてたな。とりあえず謝っておくか。そう思い、父さんに頭を下げて見た。

「ごめん、父さん。もしかして、何度か話そうとしてた?この話。」

するとキョトンとした父さんは少し照れくさそうに、 でも、嬉しそうな、それでいて困ったような複雑な顔をした。

「いや、まぁ、なんだ、分別がつくまでは確かに隠していたんだがな。お父さんが異世界に行ってるなんて言い回られても実際困るしな。だから高校生くらいになったら話そうとしていたんだが仕事の話をしようとすると大地、露骨に話題変えてたろ。だから俺の仕事に興味ねえのかなとは思ってたんだよ。でも、今回、丁度良いタイミングかと思ってな。」

何だか申し訳なくなった俺は紅茶を啜りながらカップに視線を落とす。

「で、だ。お前、実際のところどう思ってたんだ?」

・・・。少し、いや、かなり厳しい質問がきた。ここはオブラートに包みつつ、だが本音を話すべきだろう。チラリと母さんを見ると優しい顔で頷いてくれた。よし。

「父さん家にずっといたり急に何ヶ月も居なくなってたりしてたろ?しかも電話もない。ということは、だ。追われる様な仕事、つまり、なんだ、ヤーさん的な?」

「・・・」

「・・・」

両親が言葉を失う。え?父さんは仕方がないとしても母さん、ここはいつものフォロースキルを発揮するところだろ。が、予想だにしない発言を発したのは母さんだった。

「ち、違うのよ、お父さん。ほら、大地ってばふざけちゃって。ダメよ、こんな時に、ね。ちゃんと言わなきゃ!」

「いや、え、本音だけど。さっきも目で後押ししてくれたんじゃん。」

母さんの予想外の言葉に思ったことを口にしてしまった。多分、期待されていない言葉を。でも母さんの慌てる姿を見るのは珍しいため仕方がないと思う。表情を失った父さんは戯言のようにひとりごちている。

「大地ならわかっているわよ。。頭のいい子だもん。。。って。あれ、聞いてた話と違うんだけど、、、ヤクザって、、もういっそのことヤクザになっちゃおっかな。」

いや、気付けるわけねーし!どこの世界に父親が異世界に行ってるって思う息子がいんだよ!しかも結構いい歳よ、俺。はぁ、つか、異世界に行ってるってだけで何してるかまだ聞けてねーし!そろそろ本題はいってくれよ〜!

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