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実家でのTKG


うちの両親について少し話したいと思う。自分で言うのも何だが母さんは中々綺麗だと思う。よく買い物に付き合った際に姉と間違えられてウフフアハハしていた。性格も穏やかで基本的に俺がやることについては応援してくれるような人。甘やかされていたんだと思う。一人息子ということもあって心配性ではあるが。料理が上手で店で食べた物は大体再現してくれていた。何でも父さんと付き合っている当時、居酒屋に連れて行かれてはコレを作って欲しい、アレを作って欲しいと言われるうちに再現できるようになっていったらしい。

その父さんだが、一言で言うなら普通ではない。何がと言われるとよくわからないが、少し変わっているのだ。性格は明るく、明朗快活、友達も多く良く家に遊びに来ている。が、仕事は何をしているか知らない。本人に聞いても母親に聞いても聞いてもはぐらかされるのだ。高校生になったくらいの時期から人には言えない事をしているんだと考えるようになりそれ以来聞いてはいない。いきなり家を空けたと思うと半年は帰ってこないこともザラだった。急に帰ってきたかと思うと、今度は1ヶ月家から出なかったりもした。ただ、両親に共通していたことは、自分のやることについては基本的に応援姿勢で口を出さなかったということだろう。家族でよく出かけていたし良く話していた。仲は良い方だと思う。そんな両親を見ていると、何と言っていいのかわからず、返答に困っていた。


『大地も今日休みなんだろ?一緒に朝ごはんを食べたいなんて可愛いとこあんじゃねーか。ほら、突っ立てねーで席に座れよ。』

父さんからの助け舟に曖昧に返事を返しながら着席する。

『あら、でもそんなこと何も言ってなかったじゃない。どうしよ、卵しかないけど目玉焼きか卵焼きかスクランブルでいい?』

『あ、卵かけ御飯にするからそのまま持ってきて。』

そんなやり取りをしながらどう話を切り出すか考えていたが、目の前に朝ごはんが運ばれてくると、昨日何も口にしていなかった事もあり、食べる事に没頭していた。

『相変わらずよくたべるわね。』

といったのは母さんだ。最近ではちゃんと食べてるのか確認するメールや電話は少なくなったがいつも心配しているらしく、実家で食事をとる俺を見てどこか嬉しそうだ。

『だな。だが、まだまだお子ちゃまだな。父さんクラスになると目玉焼きの半熟の黄身だけでTKGを味わうんだぜ。ほれみろ。これがキングオブTKGだぜ、大地』

確かに濃厚な黄身の色をした卵かけ御飯は旨そうではあったが、素直に認めるのも癪だったので素早く一口だけ奪い取り、口に入れた。

『あっ、てめ。人のキングに何してんだよ。』

『キングじゃねーよ、キングじゃ!単なる卵かけ御飯だろ?まぁ、黄身だけの卵かけ御飯も確かに悪くないな

。』

『ほう、いっぱしの口を聞くようになったじゃねーか。大地も真似してーんだろ?』

『父さん、俺クラスになるとさらに上をいくんだよ。』

あまり父さんを調子付かせるわけにはいかないのでここで少し遠い目をして父さんへと反撃に出た。

『何だと?』

『冷凍した卵を使った卵かけ御飯。これがKING!』

『あん?冷凍?なんか変わんのか?』

『わかってないな、父さん。冷凍して解凍した卵は黄身が凝縮されもはや別物。コレを最初に発見したやつはノーベル賞もんだよ。』

そう言うと、父さんはゴクリと喉をならす。

『か、母さん、生卵を冷凍してくれるかな?』

『あら、今入れといたわよ。でも今日はもう卵食べたからまた明日ね。』

『く、まぁ仕方ないか。明日が楽しみだな。大地、明日は土曜日だから休みだろ?父さんが判断してやるから今日は泊まって行けよ。』

『まぁ、泊まる必要はないと思うけどね。仕方ないから見届けてあげるよ。』


どうせ今日は泊まる気でいた為そう答えて残りのご飯を書き込むとご馳走様をした。

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