表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ほらほらホラー

廃墟侵入系純情乙女の会御一行

作者: うどん

どうも、お久しぶりです私です。

お会いしたことが始めての方は初めまして。

霊感0の安全派心霊探索者、嶺乃れいの美奈子みなこと言います。


今回は、割と笑えない話をしたいと思います。

私の学生青春真っ只中に、近くに大きな病院があったんです。

といっても私がその病院を知った頃には閉鎖の少し前、という時期でしたが。


その病院のお話です。



私が廃墟に赴く健全な学生だったとき、

地域ではその病院は有名でした。

曰く、でる、と。


なので、知り合いの子と出掛けました。

駐車場にはチェーンが掛けられており、無断駐車する車もありません。


昼間という事でライトは要りませんでしたが、不良と遭遇したときの為に昔から持っている防犯ブザーと防犯に詳しい先輩に防犯グッズを持って行くことにしました。


中に入ると、確かに微妙にかび臭くて所謂…という感じは受けますが、

大体、病院にカルテや医療器具が散乱している、血液等が飛び散っているということもありませんでした。


しかし、大したことは無いですね。

同行者である親友のアミちゃんにそう言って笑っていると、アミちゃんは少し怖そうにしながら、


「もう、帰らない?」


と言ってきました。

正直、心霊スポットで何かがおこるなんて信じていませんし、

明日の話の種にしようとしてキャラ作りで心霊スポットに来ただけだったので、学生が廃墟に入ったという通報を受けた警察やヤンキーさん達と遭遇する前に帰ろうとは思っていましたので、あと少しだけ写真を撮って帰ることにしました。


階段を登り降りしていると、突如私の首に何かが触れました。


ふと首もとを触り振り払おうとすると、




そこにはーーーーーーーー割と大きな蛾がいました。


ええ、叫びました。

勿論、大声で叫びましたとも。


私の悲鳴に驚いたアミちゃんが逃げ出して離れ離れになるくらいに。




それで、その後、アミちゃんを探したんですよ。

「アミちゃ~ん?」

って呼びながら。


ですが、一向に見付からなくて、

もしかして病院を脱出して外にいるのでは? と思った私は外にいくと外には車イスが駐車場に一台置かれているだけ、でした。


仕方がないのでもう一度病院に入ってアミちゃんを呼び続けると、アミちゃんも私を呼んでいる声が聞こえました。


で、そちらに行こうと思ったのですが、

何となくアミちゃんの声がしっかりその方向から聞こえているか、自分でも判りませんが不安になったので、もう一度アミちゃんを呼びました。


すると、思った以上に近くの別方向から「美奈子ちゃん?」という声がしてそちらに行くとアミちゃんがいたので、探索を終わりにして二人で外に出ることにしました。


何故か辺りは随分と暗くなっていました。

思ったより時間が掛かっていたようです。

それと、出るときに随分と病院の入り口付近まで近付いていた車イスには気をとめないことにしました。


次の日、一人で病院付近を通る事があって駐車場を見たら車イスが無かったのが不思議でした。


ところで、不安なときに反響した音の発生位置が特定できない現象に名前ってあるのかどうかも気になるのですが、何方かご存じないでしょうか?(笑)








…そこで終われば、大した話じゃ無いんです。

私はそこで終わった話だったのですが、問題はアミちゃんの方にやって来ました。


3日後、アミちゃんの家の前に持ち主不明の車イスが置いてあったそうなのです。


車イス? 私は嫌な予感がしました。



その次の日、部活で遅くなったアミちゃんが自転車で帰っていると、家の入り口に車イスが置いてあり、もう少しでぶつかりそうになったそうです。


その時は、幾ら持ち主が見付からないから分かりやすい場所に置こうと家族の誰かが思ったにせよ、暗いときに家の入り口に奥のは無しだとアミちゃんは言ったのですが、アミちゃんの家族には誰も心当たりが無かったそうです。


それから、時折アミちゃんは誰も乗っていない車イスに轢かれる夢を見るようになったそうです。


時折、見覚えのない部屋で複数の車イスに囲まれてる夢もあったそうです。






もしやと思った私は、託麻君という男の子と防犯グッズに詳しい仲の良い先輩、咲ちゃんという女の子とアミちゃんを連れて再び病院に向かいました。

アミちゃんの家の前にある車イスを押して。


病院に入るとき、車イスの滑りが悪くなったので折り畳んで託麻君に持ってもらい、そして病院の部屋という部屋を探して回りました。


歩く順番は託麻君、アミちゃん、先輩、私、咲ちゃんの順です。


途中、やはり以前と同じ場所で首筋に蛾が止まりましたが、振り向くことなく自然に振り払って対処しました。

2度は叫びませんとも。それはもう慣れました。


途中から咲ちゃんは喋らなくなりました。

何だか怖くなってきたのか、飽きてきたのでしょう。

病院内を30分くらい探したときに車イスが沢山置いてある部屋がありました。


「…ここ。」


アミちゃんはこの部屋に見覚えがあるようです。デシャブというやつでしょうか?


その部屋で、車イスが全部同時に動いた気がするのですが、気のせいでした。

そういう想像をするからです。


アミちゃんが、何となくここに車イスを置いておくと良い気がすると言ったので、取り合えずそうすることにして、

もし、持ち主が探しに来ることがあれば託麻君が取りに来るという話になりました。(苦笑)



それから、車イスの持ち主が訪れることも、アミちゃんが例の夢を視ることも無くなりました。


咲ちゃんに蛾の話をすると最初は何の事か解らないと言われましたが、

それから詳しく話したら何故かその話は止めるように言われました。

もしかして忘れようとしていた事だったのかも知れません。

余程、蛾が嫌いだったのでしょう。悪いことをしました。




私は、今もその病院の近くを通ることはありますが、時折、駐車場にある車イスを見ます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ