部屋割り騒動
俺達の部屋の前に着いた訳なんだが・・・ちょっとした騒ぎになっている。俺達が使う部屋は三人部屋なのだ。
ここで、思い出して欲しい。俺は三人兄妹だということを。
つまりだ。俺の姉と妹が俺達三人で同じ部屋で寝ると言った訳だ。
ここでもう一度、俺の姉と妹について思い出して欲しい。彼女達は容姿端麗だということを。
当然、クラスの男子が切れる。女子も口々に反対する。これに関しては担任も反対している。殺意の視線を向けられて、俺はパニックになる。
俺は別に他の人達とでも良いのだ。姉妹が譲らない。なのに殺意の視線は何故か俺に集中する。おいおい、冗談だろう。
というか、いい加減助けが欲しい。浩人は男子と一緒になって殺意の視線を送ってきている。この裏切り者め!
なんかもう、視線で殺されそうだ。限界だと、そう思ったとき、ついに助けがきた。
「ええと、皆さん、家族なら同じ部屋でも大丈夫なのでは?」
王女様が助けてくれた。俺の中で王女様の株急上昇。
「例え家族でも何が起こるか分からないだろう!」
今、人聞きの悪い事を言ったのは誰だろうか。兄妹同士で何が起こるというのか。
「・・・怜也様は、そのようなお方なのでしょうか?」
「そんな訳ないじゃないですか!人聞きの悪い!」
つい声を荒げてしまった。しかし、これは仕方ないと思う。王女様に勘違いされるところだったのだから。
そんな中、騒ぎの張本人達はというと、
「ねえ、怜也、いい加減疲れたんだけど、まだ話し合い終わんないの?ヒナちゃん寝てるよ?」
「ZZZ...」
こんな感じである。誰のせいだと思っているのだろうか。
この騒ぎは結局、俺達兄妹が一緒の部屋になることとなり、終わった。
どうやって、終わりを迎えたというと、いい加減待っているのが限界になった姉が無理矢理俺を部屋へと引き摺りこんだからだ。
このような終わりを迎えたため、俺はこの後の夕飯の時にも、視線を浴び続け、食事を全く楽しめなかった。正直どんな料理だったか覚えてない。
そんなこんなで就寝時間を迎えた。
ベッドに入ると今日あった事を思い出す。教室に入ったら黒い部屋に着き、そこからこの世界へと向かい、王様から説明と謝罪を受けた。能力測定を行って、俺は絶望して、部屋決めで、俺の精神がずたずたに。本当に色々あった。
不意に俺は姉と妹に質問をする。
「なぁ・・・もし元の世界に帰れるなら帰りたいか?」
「あたしは別にどっちの世界でもいいわ。怜也は元の世界よりこっちの方が良いんでしょ?」
「まあね・・・ヒナはどうだ?」
「んー、私はお兄ちゃんとお姉ちゃんがいるなら、どっちでもいいよ」
「そうか・・・そういうことなら、俺はこの世界で遊びつくすつもりで生活するか」
そのためには、自分の身は自分で守れる様にならないとな。俺は特に頑張って訓練しなくてはいけない。周りの人たちに比べて遥かに弱いからな。なぜか無性に泣きたくなってきた。
「明日から頑張らないとな」
俺はそう呟くと、眠りについた。