一ヶ月後くらいかな~?
武器作成してもらってから、一ヶ月。
あれから、一人だけだが、男友達ができた。
「よう、ディン」
「おお、レイヤか。おはよう」
名前は、ディンク・フェイフェル。通称は、ディンかフェルだ。俺は、ディンと呼んでいる。
ディンは、既に彼女がいるらしく、俺に嫉妬を向けてこなかった数少ない男の一人だ。そして、その中でも、俺に話しかける勇気のあった奴が、ディンだ。
最初は、ちょっとした会話程度だったが、今は大体の休憩時には雑談しているし、依頼も一緒に受ける事がある。もう、親友って呼べるレベルである。
「あー、授業だりいなぁ・・・」
「何、朝からそんな事を言ってんだよ。まあ、否定はしないけどさ」
「今日、何があったっけ?」
「今日は・・・冒険者マナーが二時間、冒険者基礎が二時間、後は、体育と魔法学だな」
科目について説明しとくと、冒険者マナーはそのまんま冒険者のマナー講座。
冒険者基礎は、冒険者の基礎となる動き・・・まあ、罠の仕掛け方とか、ダンジョンの歩き方とか、その他諸々だ。
体育は、そのまんまスポーツの時もあれば、筋トレの時もある。
魔法学は、魔法についての勉強・・・と、魔法の練習。
他にも、実践や実戦、演習などの科目もある。
「あーあー、マナーなんて学ばなくても、普通に分かるんじゃねえのか?」
「普通じゃない奴が大勢いるんだよ」
俺の金を巻き上げたような奴がな。
「うぉーい、そろそろ授業始まるぞー。席に座れ」
あ、先生が入ってきた。席に着こうか。
と、まあこんな感じ。
二時間目が終わった休憩時間。俺は、飲み物を買う為に食堂まで歩いてた。
「ちょっと!そこのあんた!」
・・・誰の事かなぁ?周りに人が一杯いるから―――
「人族のあんたの事よ!」
あー・・・。確実に俺の事だなぁ。
「すみません、えっと・・・。俺、何かしましたか?」
「あんたの名前を教えなさい!」
「?・・・剣 怜也、ですが」
「やっぱり、あんたで間違い無いわね」
「それで、俺に何の・・・」
「これからティアに近寄らないで」
・・・はい?俺、何かした?冗談抜きで。
「・・・え?えっと、俺、何か彼女の気に触る事でもしたんでしょうか?」
だとしたら、謝らなくちゃ。
「そうじゃないわ」
・・・ホッ。ん?だとしたら、一体なんで?
「とにかく、ティアに近寄らないで」
「へ?」
いや、だからなんで?
「知らない人に急にそんな事を言われても・・・。ティアラさんは俺の友達ですし」
「・・・最近、ティアの様子がおかしいのだけど?」
「え?そうなんですか?」
「・・・白々しいわね。もう、率直に言うわ。あなた、ティアに何をしたの?ティアに聞いても教えてくれないから、直接あなたに聞くわ」
「そんな事言われても・・・普通に話してるだけですし」
「正直に言いなさい?」
「いや、だから普通に話してるだけです」
あー、もう!めんどくさい!
「あの、俺割と急いでるんで。それじゃあ、また」
「あ!ちょっと!待ちなさい!」
俺は全力ダッシュして逃げる。・・・この後の騒ぎが更に大きくなる原因になるとも知らずに。だって、めんどくさいし?しかも、こんな事が何回もあったんだから、しょうがないでしょ?
あ、追いつかれる心配などない。今の俺の身体能力は魔族にも負けないからな。中々強くなった。
「全く・・・なんだったんだ、あの人は?俺、普通に過ごしてるだけなのになぁ・・・。どうして、こんなに敵が増えたのか」
いや、理由は分かってるけどさ。
・・・はぁ。飲み物買ったし、授業に戻るか。食堂でさえ、変な目で見られる。
胃薬が欲しい今日この頃。
四時間目までの授業が終わり、今は昼である。お昼、食べるか。
「ディン、飯一緒に食おうぜー」
「おお。あ、俺今日は弁当持ってきてないから、食堂だ」
よし、食堂に行くとしようかな。
食堂に着いた。
「あ、レイヤさん」
「ティアラさんも、食堂ですか。って、ととと!」
ティアラさんが、こっちに走ってきてこけそうになった。ので、支える。
「急に走ったら、危ないですよ?」
「あ・・・。すみません、レイヤさん」
顔が赤い。可愛い。こういう事された事が無いのだろうなぁ・・・。
何て考えてると、
「ティアから手を離しなさあぁぁい!」
親方!横から女の子が!・・・じゃなくて、やべえ!なんで、こっちに跳び蹴りを!?
咄嗟に躱す。
「まったく・・・。ティア大丈夫?」
「えっと、あの・・・どうしたんですか?アニ。急にこんな事をして」
「そんなの決まってるじゃない!あんたを助けるためよ!」
「たす・・・ける?」
「ええ!こいつはきっと、ティアの事を・・・」
とかなんやかんや。人聞きの悪い事を言ってる。
「おい、レイヤ。大丈夫か?」
「ああ・・・。あの!急に襲ってくるなんて、危ないじゃないですか!」
「何よ!この変態!」
は!?俺が変態!?そんな訳あるか!
「人聞きの悪い!俺が何したっていうんですか!」
「自分からティアに触りに行ったじゃない!それに、私が問い詰めたら、逃げ出したじゃないの!」
「こけるところだったので危ないから支えただけじゃないですか!それに、あんだけしつこけりゃ、めんどくさくて逃げるでしょう!」
俺は頑張って否定する。頑張らないと、社会的にやばい。
「じゃあ、いいわ!決闘よ!」
「は!?」
なんで・・・そうなるの?
「お、おい。大丈夫か?レイヤ」
「・・・大丈夫じゃ、ない」
こうして、よく分からない内に、決闘になってしまった。
ほんと、どうしてこうなった?もう、泣きたいよ。




