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才能の才能  作者: 緑髪のエルフ
魔族の大陸
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休日 その5 後半

 さて、戦闘が始まってすぐなんだが・・・やばいな。圧倒的な力量の差が・・・。

 ゴブリンの癖に、二刀流とは・・・できるな。あれ?何か、一本は禍々しく、黒い光が・・・。まあ、そんな事はいい。 

 それよりも、何だよ!ナイフ投げても、武器で弾かれたらどうしようもねえじゃねぇか!

「チッ!これなら!」

 俺は、黒ゴブの前に光魔法の淡く光る球を投げつけ・・・目の前までいったところで、光を急激に強くする。

 所謂、目潰しだ。今のうちに、やるぞ!

 しかし・・・

「なっ!完全に視界が無いはずなのに・・・なんで全部弾けるんだよ!もしかして、勘ってか?それとも、呪われてそうな武器のおかげか?」

 勘弁してほしいな・・・。これじゃあ、どうしようもないぞ。あ、怒ったのか、体が赤く染まっていく。

 そして・・・先程とは比べ物にならない程の速度で攻撃してくる。

「なっ!?避け切れなっ―――!」

 咄嗟に、剣から体守るように手甲を出して良かった。もし無かったら、今頃はぶった切られているだろう。

 だが・・・

「まずい!?この体勢じゃ・・・がふっ!?」

 黒ゴブに蹴り飛ばされ、木に体を打ちつける。

「クッ、ソッ。いきなり、こんなやつが出てくる・・・なんて」

 と、とりあえず、体を治そう。

「グ、はぁ・・・。とりあえずは大丈夫、だがっッ!?」

 い、いつの間に迫ってきてッ!?

「う、ぐ、あぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁああ!?」

 や、やばい。何も、考えられない。どうなったんだ?腹が・・・痛い、のか?

 そこに目をやると、何とか状況を理解した。剣で腹を刺されている。

 黒ゴブは、剣を横に振るう事無く引き抜いた。恐らく、何時でもトドメがさせられるとでも思っているのだろう。実際、その通りだが。

「うあ、ぁ。とにかく、回復を、ガッ!?」

 黒ゴブは、またも俺を蹴り飛ばす。くっそ、早く、回復を・・・

 ・・・だ、駄目だ。痛くて魔法のイメージに集中できない。

「ま、まずい、こっちに、来る・・・」

 や、やばい、早く怪我を・・・。クッ、ソッ!剣を振り上げて・・・

 

(俺は・・・今度こそ死ぬのか?折角・・・折角、ドラゴンから逃げ延びて助かったのにか?狼の群れから助けてもらったのに?これじゃあ・・・これじゃあ、意味が無いじゃないか。嫌だぞ!そんなのは!)

 俺は、まだ、死にたくない。実は色々と駄目な姉、超絶可愛い妹、興奮しやすい幼馴染に会いたい。色んな物を食べたり、料理をしたい。恩返しだってしたい。この世界の人達と仲良くしたい。それに・・・その、恋だってしてみたい。・・・他にも色々やりたい事がある。そして・・・

「そしてだ!何よりも、俺は、この世界をもっと楽しみたいんだ!俺の大切な人達、大切にしてくれている人達と楽しんで生きたいんだ!!!お前なんかに殺されてたまるかよっ!」

 そうだ。その通りだ。

 なら・・・今は何をするべきだ?こんな所に倒れているべきじゃない。まずは、剣を避けろ。

 右へ思いっきり跳んで避ける。

 さて、次はどうする?・・・そうだ。あれを使おう。どうせ、死ぬかもしれないのだ。使っても問題なかろう。

 いや。その前に、体を治すか。

 ・・・不思議だ。殺ると決めたら、痛みを堪えて魔法をイメージできるんだから。

「さて、と。次は、スタミナポーションをたらふく飲もう」

 幸い、相手の剣は見えるようになってきた。才能さまさまである。

 俺は、スタミナポーションを飲めるだけ飲む。

「さて、どうせなら、な。剣を使うか。その方が、イメージも楽だし、それに、ミスリル製だしな」

 俺は、袋の中から、エクスカリバーを取り出す。

「さあて、準備をしないとな。もう一度使わせてもらうぜ?」

 流石に一度使ったらばれるだろうから、今度は、いきなり目の前で光を爆発させる。

「よし・・・そのままにしてろよ?」

 俺は今ある最大限の魔力を光の属性へと変換し、許容量を遥かに超えた気と合成させる。

「くっ!?ここで・・・倒れたら、駄目だろ!」

 気の使いすぎで、今にも倒れそうだが・・・まだ、いける!

「!?ま、まずい、あいつの視力が回復してきてる!急がなきゃ!!」

 俺は、急いで刀身に魔力を籠める。相手の視力が回復したが、俺が魔力を籠め終わる方が早かった。

「よし、これで・・・なっ!?」

 あいつ、剣を投げつけてきやがった!まずい、このままじゃ・・・

「カハッ!?」

「ゲッギャッギャッギャ!」

 俺は満足に回避する事もできず、黒ゴブの投げた剣が腹に突き刺さる。あいつは・・・笑ってやがるな。

 だが・・・

「剣は振れる!まだいける!」

 そう言って、俺は自らを奮い立たせる。

「う、おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 俺は、黒ゴブ目掛けて、全力で剣を振ろうとする。

「ギャッ!?」

 驚いてるみたいだな。俺が、この状態でも剣を振ろうとしている事に。

「く、ぐうううううぅ!?く!い、いける!俺なら、絶対にいける!!!」

 くっ、体中が痛む。剣が体をグチャグチャにする。

 もう、倒れてしまいそうだが、それでも、気合で立ち続ける。ここで、諦めたら、勝てるものも勝てない。

 俺は、全力で、剣を・・・振り・・・切った!!!

「あ、当たれぇぇ!!!月光刃!」

 振った剣からは、三日月のような光の刃が飛び出す。

「ギャゲッ!?」

 そのまま、光の刃は黒ゴブに向かって突き進んでいく。

 黒ゴブは、咄嗟に剣で受け止める。

 ギギギギギギギッ!

 光の刃と金属が擦れ合う音がする。

 そして・・・

 パキィン!

「ギャギャギャギ―――」

 剣が折れてしまった黒ゴブは、最後まで言葉を発する事無く、上半身と下半身を光の刃によって真っ二つにされ、絶命する。

「はあ、はあ、はあ・・・。やった、のか。俺が・・・」

 そうかぁ・・・。俺は、黒ゴブの上位種・・・推定Cランカーに勝ったのか。

 ・・・けど、

「うぐっ!!!も、もう、駄目・・・かな。立ってさえいられない。魔力も、無いし。ハハ、こんな事なら、ポーション買っとけば良かったかな・・・」

 怪我も治せない・・・からな。もう、どうしようもない。

「ハハ・・・ハ。他の新米冒険者さんが、俺を見つけて手当てしてくれる事を祈る・・・よ」

 そこまで言って、俺の意識は無くなった。

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