これが本当の説教だ
「ん、ここ、は?」
知らない天井だ。などと、お約束を考えつつ、周りを見る。
・・・やっぱり知らない。しっかし、
「あー、頭がガンガンするぅ・・・。二日酔いだ・・・。たく、二度とアルフさんの隣には座らんぞ・・・」
でも、酒の美味さは教えてもらった。お酒って、あんなにおいしかったのか。仕事終わりに飲みたくなるのも、頷ける。
「おお、起きたみたいだな」
誰!?振り返ってみると、見たこと無い男子が。驚いたのは、断じてやましい事を考えていたからではない。
「ああ、驚かせたか?まあいいや、自己紹介するか。俺は、グスタフ・ストール。お前のルームメイトだ。よろしく」
ん?ルームメイト?・・・ああ!そういう事か!多分、ここは寮なんだな。
うん?だとしたら、誰がここまで運んできたのか。
「あ、俺は剣 怜也です。よろしくお願いします。あの、俺って、誰かにここに運ばれてきました?」
「ああ、昨日はエルフィンさんが、酔いつぶれてたお前を担いでやってきたぜ?」
え!?エルフィンさんにそんな事をさせてしまったのか・・・。謝らなきゃなぁ・・・。
・・・ん?何か、なんとなくだが嫌な予感が・・・
「えっと、何時頃でしたか?」
「あー、確か十時ぐらいだったかな?」
あ・・・。これ、絶対に男子に見られてるな。終わった。俺、今日死ぬかも。ころさえう
・・・ハッ!そうだ!俺は頭が痛いんだ。てことは・・・
「あの、頭痛で休みとか―――」
「二日酔いは無理」
なんてことだ・・・
「じゃあ、俺は先に行ってるから」
「ま、待ってください。俺一人じゃ、死んじゃいます!」
「ハハハ。じゃあ行ってくるぜ」
グスタフさんは部屋から出ていってしまった。その途端、部屋をノックする音が聞こえる。
・・・無視、するかな。
ちなみに、部屋はオートロックである。
「あーあーあー、どうしようかなぁ・・・」
そこら辺を見回してると・・・窓が目に付いてしまった。
そうだ!窓から飛び降りれば良いじゃない!(窓は、誰もいなくなったら、自動で閉まる。魔道具って便利だね。)
実はだね、いつまた高い所から落ちるか分からないから、落下速度低下の魔法を編み出したのだよ。落とそうと思えば、数秒で速度を落とせる。
ちなみに、飛行は魔力量的に無理だった。
よし、さっそく飛び降りるかな。誰も・・・いないよな?
Let's jumping!!!
どうも、この部屋は五階みたいだ。二階まで落ちたところで、俺は落下速度低下の魔法を使用。
みるみるうちに、速度は落ちていき、無事着地。誰も見てないよな?すぐさま、ダッシュ。
教室に着いた。ここに辿り着くまでに、さっきが物凄く飛んできた。男子はともかく、女子からもだ。何故だ?俺が何をしたというのか?・・・思いっきり何かしてるね。俺は悪くないと叫びたい。
教室に入ると、濃密な殺気がブワッっと。皆さん、どれほどイライラしていたのか?俺は悪くないと叫びたい。
殺気を受け流しつつ、どうにかこうにか自分の席に辿り着く。
「あーっと、その、おはよう」
「あ、レイヤさん、おはようございます」
とりあえず、席に座る。
「昨日はごめん。わざわざ、寮まで運ばせちゃったみたいで」
「いえ、気にしないで下さい。あれは・・・しょうがなかったと思いますから・・・」
・・・まあ、一応は良かった・・・のか?
「それに、学校の前まではリックさんが送ってくれましたし」
「あ、そうなんだ。今度、お礼言っとかなきゃね」
姉よりできた弟だなぁ・・・。なんて考えていると、担任の先生が入ってきた。
「おー、全員集まってるなー?朝のホームルーム始めっぞー」
まずは挨拶をして、その後、色々と連絡事項を聞いた。その中に、
「ツルギは生徒指導室に行くように」
というのが、入っていたんだが、何故だ?・・・俺は悪くない。
「えっと、レイヤさん、頑張って下さいね?」
「え?頑張る?」
意味が分からないが、とりあえず、生徒指導室に向かう。というか、入学して、二日目で指導とか・・・。
「来たようですね。とりあえず、そこに座りなさい」
「は、はい」
中に居たのは、なんというか、校長みたいな人。というか、校長。
言われた通り、俺は席に座る。
「さて、ここに呼ばれた理由は分かりますよね?」
「はい。お酒を飲みまくって、酔いつぶれた事ですよね?」
「うん、その通りだ。さて、何故それが悪いか分かるかね?」
そりゃあ、まあねぇ?体に悪いとか、酔っ払ったら周りに迷惑掛けるとか、色々理由出てくる。それを言うと、
「うん、ちゃんと分かってるみたいだね。なのに、そんなにお酒を飲んだのかい。知っててやるというのは・・・」
やばい、このままじゃ話が長引く。となれば、
「いえ、あれは不可抗力と言いますか・・・無理矢理飲まされたので」
「大体、その歳でお酒をそこまで飲むというのは・・・」
あ、駄目だ。聞こえてねぇ。
「いえ、あの」
「お酒を飲むというのが悪いと言っているのではありません。それによってですね・・・」
・・・どうしろと?酒を飲む事になってしまった理由とかさ、その辺、重要じゃない?
三十分後。
「つまり、自分の欲求を抑えるという事は強さに繋がってですね・・・」
「あの、話を」
「そもそも、強さというのはですね・・・」
・・・・・・駄目だな、こりゃ。頑張れって、もしかしてこういう事?
二日酔いで頭痛いのに、この話の長さ。殺しにかかってるとしか思えない。
更に一時間後。
「良いですか?この世の中には、様々な所に危険が・・・」
「・・・」
どうして、こんな話になっているのか?
更に、三十分後。
「・・・という事です。分かりましたか?」
「はい。分かりました」
・・・・・・んぁ?話が終わったっぽい。
「それで、何故、そこまでのお酒を飲んだんですか?」
え?今更理由ですか?
「ええっと、無理矢理飲まされたというか・・・」
「飲まされた・・・ですか?」
「はい、自分より力が強くて―――」
「駄目ですよ!例え、誰であろうと、断れるような、精神を持たないと!もし、これがお酒ではなく、アヘンなどの薬物だとしたらどうするんですか!」
あ、もしかして、またパターン入った?マジ勘弁。
ってか、この世界にも薬物あるのか。
「まあ、中毒や症状は魔法で完治できますが、それでも危険ですよ。治す前に、人を殺してしまうかもしれません」
あ、魔法で治せるのな。でも、ノーセンキューである。
「ですから!そのような事が無いようにですね、先程も言ったように、日頃から、自分の意思をですね・・・」
うん、完全にパターンに入った。
一時間後。
「で、あるからして・・・」
「はい、はい。はい、その通りです」
まだまだ、校長の話は絶好調。
更に二時間後
「ですから、そうする事で・・・」
・ ・ ・ ・ ・ ・
お腹が空いた。
ただいまの時刻、一時である。俺、朝から何も食べてないのに、その上、昼まで抜きって。
更に一時間後。
「という事です。分かりましたね」
「分かりました」
「よし、戻りなさい」
「はい、失礼、しました」
俺、足、固まった。動かす、頑張って。
俺、出る、部屋。
俺、出た、部屋。
「終わった、やっと、話」
「キャア!?・・・あ。・・・あの、レイヤさん、大丈夫ですか?」
「あ、エル、フィン、さん? 俺、だいじょう、ぶ」
「いや、どうみても大丈夫じゃ・・・。目が死んでますし」
俺、戻る、教室。
「戻る、教室」
「あ、はい、そうですね」
俺は、教室に戻った。戻る途中に、物凄い殺気を受けた。そのため、教室に着いた時、
「だいじょうぶだ・・・おれはきょうしつにもどった!」
と、言ってしまった。その後、
「キャッ!急にどうしたんですか!?レイヤさん!」
と、言われてしまった。当たり前だ。
しっかし、なんだったんだろうな、さっきまでの片言状態。殺気に当てられてから、正気に戻った。
ま、いいか。それより、席に着こう。
ただいまの時刻二時。後、二時間か。
はあ、あったまガンガンする・・・。
ちなみに、今は授業の最中。
「でだ、こういう時にはな、こうすれば良いんだ」
ただいま、モンスターとの戦い方講座である。頭は痛いが、頑張って聞かないといけないな。
なにせ、俺が強くなるのに、一番手っ取り早いのは、モンスターと戦う事だろうし。断言はできんが。
今回の授業では、囲まれた時の事とか、奇襲の掛け方とか、色々やった。とっても、ためになる。
これが終わったら、魔法の授業だった。魔法の原理みたいなのやった。んだが、途中で、
「まあ、この原理が本当に正しいかは分からないんだけどな」
というセリフを先生(担任)が言ってた。
という事で、大体聞き流した。それなりには、聞いたけどな。
授業が終わったら、すぐに飯食って、なんやかんやして、すぐに寝た。就寝時間、六時。
なんというか・・・こういう話をついつい、書いてしまう・・・。




