一方・・・
クラスメイトサイドの話です。もう一話続きます。
剣 怜也が崖から落ち、川で流されているその頃。
デニス、グレン、ミュウの三人は雑談をしていた。そこへ、向こうから走ってくる人物が三人。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ」
「お、追ってきてないか?」
「あ、ああ」
走ってきた人物は、近藤、村上、内藤だ。
「三人共、どうしたんですか?」
「ど、ドラゴンに襲われたんだ!」
「「「ど、ドラゴン!?」」」
ミュウ達三人は驚き、声を上げる。彼らは、他の訓練官の元へ急いで向かう。
「皆さん!あの三人がドラゴンに襲われたようです」
「え!?」
「こんな所でドラゴンが?冗談じゃないのか?」
「それはないと思いま―――」
「グオォォォオォォォォォォ!!!」
「おいおい、冗談じゃねぇぞ。これ、完全にドラゴンの叫び声じゃねえか・・・」
「とりあえず、皆さんを避難させましょう。ミンクさん、お願いできますか?」
「はい。皆さんはどうするんですか?」
「俺達は、ドラゴンの相手だ。放っとくとヤバイだろうからな。そうだ、援軍の要請も頼むぜ?」
「分かりました」
担当は決まり、後は実行だ。全員を集めて、話をする。
「皆さん、避難をします!ドラゴンが現れました!」
そういった途端、ざわつく。
「あなた達は、ミンクさんに従い、城へと避難をしてください!」
「デニスさん達はどうするんですか?」
「放っておく訳にはいきませんので、私達はドラゴンと戦います。それでは、避難を開始してください!」
しかし、こんな話を聞いて、黙ってはいられない人物がいた。
「あの、俺も戦わせてください!」
話しかけたのは竜崎だった。
「ダメです」
「でも!俺だって、戦えるように頑張ったんです!」
「あなた達を危険に巻き込む訳にはいかないんです!城へ戻ってください!」
「・・・分かりました」
竜崎は渋々といった様子で下がる。と、今度は別の三人が話しかける。
「「「あ、あの!怜也(お兄ちゃん、弟)がいないんです!」」」
「え!レイヤ君が!?」
「そ、そういえば!あいつ、昼飯の後は姿見かけなかったな」
「ど、どうします?」
「そうだな・・・。レイヤを探す前にドラゴンを探した方が良いかもな」
「な、なんでですか?」
「なるほど、ドラゴンを探し出せば、レイヤ君は安全になります。方針は決まりました。三人とも避難してください」
「で、でも。俺達も―――」
「さあ!避難を開始してください!遅くなったらレイヤ君が助からないかもしれないから!」
実際はもう手遅れだが、そんな事は知る由もない。
「・・・分かりました。怜也をよろしくお願いします」
「怜也・・・」
「お兄ちゃん・・・」
そうして、今度こそ行動が開始した。
「とは言ったものの、ドラゴン、何処にいるんでしょうね?」
「次にドラゴンの叫び声が聞こえてきたら、そっちに直行だな」
そんな事を話しつつ、歩く事十分。例の叫び声が聞こえてきた。
「あっちの方向は・・・!?避難組の方角だ!急いで向かおう!」
四人は急いで声のした方へと向かう。
声のした場所の近くに辿り着くと、そこにはドラゴンがいた。幸い、避難組と遭遇はしていないようだ。
「! いました!」
「どうやら、レッサーレッドドラゴンのようだな。下位種のドラゴンで良かったぜ。あれなら何とかなるかもな」
「下位種でもドラゴンですから、油断しないでくださいよ。それに、あれは普通のレッサードラゴンより大きいですよ。8mはあるんじゃないですか?」
「分かってる」
そう話した後、彼らはドラゴンに襲い掛かる。
攻撃された事に気付いたドラゴンは、雄叫びを上げる。
「グルァァァァァァァアアァァァアァ!!!!!」
「くっ、流石に下位種とはいえ、ドラゴンだから、迫力がすげぇな」
ドラゴンは彼らに向かって、ブレスを吐く。
「うぉっ!ぶねぇ。こいつ、普通のレッサードラゴンよりブレスの威力が強くないか!」
「なんで、こんなドラゴンがこんなところに・・・」
攻撃しては離れるを繰り返すが、一向に終わらない。彼らの体力は無くなっていく。
「ちょっと、疲れてきたな」
「ハハ、そんな事言わないで下さいよ。あちらさんはピンピンしてるってのに」
「今からは、攻撃だけに集中するか。このままでは終わらん」
そんな事を言い合っていると、
「俺も戦います!」
そう言って、竜崎が出てきた。
「!駄目です、避難してください!」
「大丈夫です、足手まといにはなりませんから。俺だって、戦えます。うおお!竜化!」
そういった竜崎は、竜人へと変化する。
「うおお! 【竜殺しの剣】!切り裂けぇぇ!」
竜崎は高く跳躍し、刀を一閃。ドラゴンを倒す、とまではいかないが、その一撃で硬い鱗を切り裂き深い傷を負わせただろう。
「ギャオオオオォォォ!」
「・・・巻き込みたくはありませんでしたが、仕方ありません。もう少しです!一気に片を付けましょう!」
五人による集中砲火。流石のドラゴンも、それには耐えられず、とうとう地面へと倒れた。
「や、やったか?」
「の、ようですね・・・」
「この死体、どうしましょうか・・・」
「あ、それなら、俺の袋に入れてください」
「うん、お願いするね」
ドラゴンの死体は、竜崎の袋に吸い込まれていく。
「さて、皆さんは先に帰っていて下さい。僕はちょっと森を見回ってきます」
そういったのはミュウだ。もちろん、怜也を探しに行くためである。
「・・・怜也君、何処にいるんだろう」
彼は森の奥へと入っていく。
竜崎が使ったのは、スキルというものです。そのうち、説明します。




