プロローグ その2
その言葉のあと、部屋の中心に一人の女性が現れ、口を開く。
「私は、あなた達の住んでいる世界とは別の世界・・・テリスの神です。」
こんな状況でなければ、面白くもない冗談を言うなと言っていたかもしれない。周りも同じ事を考えているのではないだろうか。
そう思っていると、誰かが口を開く。
「あの・・・ここはどこなんでしょうか」
神様?は答える。
「ここは私が作った空間です。本当に申し訳ないのですが、皆さんにはこれからテリスへと向かってもらいます」
「どうして私達は、テリス?へと行かなくてはいけないのですか?」
「簡単に言えば、ある国の王家の娘が、異世界人を召喚する魔法を創ることに興味を持ち、王が援助をして、魔法を創ることに成功してしまったからです。テリスでは、何度か異世界人が現れた事があり、その全てが、優れた能力を持っていました。王はその能力が欲しいため、援助を行いました。皆さんが選ばれた理由は偶然で、たまたま、教室の扉が転移のゲートとなっただけです。魔法の効果はもう消えていて、今は元のただの扉に戻っていると思います。止めることができれば良かったのですが、不可能でしたので、せめて説明だけはと思い、この場所へと集めさせていただきました」
なるほど・・・今日学校を休んだやつは運が良いのかもしれんな。
他にも質問の声があがる。
「元の世界に帰る方法はあるんですか?」
「それは分かりませんね・・・異世界人召喚の魔法自体が無かったので、今の時点では恐らく存在しないかと。ただ、異世界人召喚の魔法を創ることができたように、元の世界へ帰るための魔法を創ることができるかもしれません」
無理だと思っといていいよな・・・可能性が0じゃないだけまだましなんだろう。まあ、帰れなくても俺は別に問題無いが。
「それでは、今からテリスについて少しだけですが説明しておこうと思います。皆さんの世界との違いはまず、魔法があることと、魔物がいることですね。街の外に出るならば戦う力は必須でしょう」
やっぱ魔物いるんだな。魔物と戦うなんて無理だと思うのだが・・・
同じ事を考えた人が当然いるようで、声をあげる。
「あの・・・戦う力と言われても、僕達のいた世界では、魔法は使えないし、戦い方だって教わっていませんよ」
「いえ、心配は要りませんよ。あくまで、街の外に出るならば、ということですから。今は戦争は起きていませんし、街には魔物が入らないよう、城壁などがありますので、街の中だけで生活するだけならば、基本的には戦えなくても生きていけます。また、皆さんは異世界人ですので、あちらへ転移した際になんらかの才能・・・特殊な能力が出現するはずですので大丈夫でしょう。それに、皆さんを召喚したのは王族なので、何らかの援助は受けられるでしょう」
その話を聞いて、とりあえず生きてはいけそうなので少しだけ安心する。
「言語は、私の力で会話については理解出来るようにします。ただ、文字は読めるようにはならないので、テリスに着いてから学ぶようになります。言語は全ての国で同じですので、覚えればどこでも使うことができます」
話せるようにはなるのに、読めるようにはならないって変だな。まあ、できないものはしょうがないだろう。それに、会話できるだけありがたい。
「地形についてですが、皆さんにこの地図をお渡ししますので、後で確認してください。それと、皆さんにはこの魔法の鞄も授けます。その鞄には、あなた達の通っていた学校一軒程度は物が入ります。地図はその鞄にでも入れておいてください。また、その鞄から物を取り出す時は、取り出すものを思い浮かべながら手を入れると、思い浮かべたものを取り出すことができます」
そう言って、地図と鞄を渡された。地図を入れてから、鞄の中に手を突っ込んでみると、自分の肩まで入ったが、何も感触はない。地図を思い浮かべてみると掌の上に地図が出てきた。
「鞄の使い方は大丈夫ですね。最後に、種族について簡単に説明させていただきます。種族は、人族、亜人族、魔族がいます。
人族は、皆さんと同じ人間ですね。亜人族は、エルフ、獣人、ドワーフ、巨人などの人族以外の人型の種族が総じてそう呼ばれます。
魔族は、人族と同じ様な見た目で、髪の色が、銀色か白色で、瞳の色は、真っ赤です。魔族が人族とは区別されている理由は、彼らが住んでいた場所もありますが、それよりも彼らの能力が優れているからです。亜人族に属さないのは、彼らも、元々は人族と呼ばれていたからです。
最後に、どの種族も、他の種族と敵対しているということもないのでご安心を。一部では、差別もありますが・・・種族については以上です」
人間以外の種族か。わくわくしてくる。いつかおともだちになれるといいなと思う。
「するべき説明は終わったので、今からテリスへと向かう事になりますが、何か質問はありますか?」
「えっと、死んでしまうとどうなるんでしょうか?」
「死んだ場合は、どうしようもありません。生き返ることはできませんし、元の世界に帰ることもできません。せめて、生き返らせることだけでもできれば良かったのですが・・・」
まあ、死んだらそれまでなのは当たり前なのでそこまでショックは受けない。周りは結構ざわついたが。
「他には質問も無いようなので、今から転移しますね。あちらの扉を出ますと、テリスへと向かいます」
そういったあと、ノブの無い扉が開く。その先は真っ暗闇である。
「それでは皆さん、どうか・・・お気をつけて」
その言葉を聞いた後、俺達は扉を通った。